「えもんかけ」とは何かご存じですか? 若い世代にはなかなかなじみのない言葉ですが、もしかしたらおばあちゃんから「えもんかけ取って」とお願いされた経験がある人もいるかもしれません。中には「えもんかけ」という言葉を使っている年配の人でも、実は本来の意味を勘違いしている場合も。今回は、「えもんかけ」とはどういうものなのかについて探ってみました。
漢字では「衣紋掛け」
「えもんかけを取って」と言われたときは、「ハンガー」のことを指していることが多いかと思われます。SNS上では若者たちから、「えもんかけって言われて何のことか分からなかったよ」「ドラえもんの道具の一つかと思っちゃった」といった戸惑う声も。昭和や、さらに昔の時代によく使われていた言葉で、今ではあまり使われなくなってきているようですね。
そもそも「えもんかけ」は漢字では「衣紋掛け」と書き、正確には一般的なハンガーとは異なる物のこと。着物の後ろ側の襟部分のことを「衣紋」と言い、名前の通り和服をつるすときに使う用具が本来の衣紋掛けなのです。
一般的な衣紋掛けは、割竹や矢竹などの細い丸竹を材料にした、いわば“和服用ハンガー”。丈や袖幅が長い着物を美しく保管できるように、地面と平行になる直線状で幅約1m~1m50cmとワイドな形状が特徴です。
一方で、着物を掛けておくために用いる、細い木を組み合わせた鳥居のような形をした家具のことを「えもんかけ」と呼ぶ人も。呉服店や旅館などでたまに見かけることがある家具ですが、こちらは本当は「衣桁(いこう)」といいます。ただ、衣桁も「和服を掛ける」という用途は同じ。旅館などで見かけたときは、浴衣を掛けて和の風情を楽しんでみるのもいいかもしれません。
もし、今後「えもんかけ取って」とお願いされる機会があれば、迷わずそっとハンガーを差し出してあげてくださいね。
オトナンサー編集部