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ザ・ロウの「しなやかな強さ」は、まさに佐久間由衣さんに感じたアトモスフィアと同質のものでした【スタイリスト長澤実香連載】

  • 2025.3.14

「私が思うその人の魅力を、クリエイター同士の自由な化学反応で、ファッション誌だからできる表現で見せたい」と語るスタイリスト長澤実香さんの隔月連載。今月は3月に30歳という節目を迎える俳優・佐久間由衣さん。またひとつ人生の新しい扉を開け、美しく羽化する彼女の“而今(にこん)=現在地”に刮目せよ。

THE ROW

シャリッとしたハリ感と落ち感、相反する質感が絶妙にミックスされたリネン×ヴィスコースのセットアップ。
「体に程よくなじんで素肌にサラッと羽織る感じが新鮮。背中のシェイプやシワの表情まで美しい。帽子はバッグにもなる2ウェイ。この遊び心も好き」
佐久間さんも「ザ・ロウ」の大ファンで、プライベートでもジャケットを愛用しているそう。
ジャケット¥509,300、帽子として被ったバッグ[H20×φ19㎝(実寸)]¥119,900、(共にザ・ロウ/ザ・ロウ・ジャパン)

トライプのシャツの上にシアーな白シャツを重ね、チェック柄コートを羽織ったレイヤードスタイル。
「柄×柄でもトーンを合わせて重ねると、洗練されたスタイルになることが分かるルック」
コート¥561,000、シアーシャツ¥302,500、ストライプシャツ¥215,600、パンツ¥181,500、スニーカー¥198,000(全てザ・ロウ/ザ・ロウ・ジャパン)

セルティックブルーのワークジャケットは佐久間さんもお気に入り。「ラグジュアリー・ワークウエアの最たるもの。
“長い間大切に着てきた”みたいな風合いや色あいに惹かれます。インに着たTシャツに、少し透け感があるのもポイント」。
バッグは肉厚なディアスキンを使用。
ドレス¥1,699,500※麻布台ヒルズ限定メイド・トゥ・オーダーアイテム(ボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

スタイリスト長澤実香の視点

「しなやかな強さ」を自然体で纏える人

私の由衣さんの印象は「物静かな人」。初めて会ったのは5年ほど前の雑誌の撮影で、それ以来、数回ご一緒していますが、落ち着いた「静」のイメージは変わっていません。豊かで温かな芯が内側にあって、いろいろなことを内省しながら自分の中に取り入れていくような、「柔らかいのに強い感じ」。それを他の言葉で表現するなら「母性」という言葉がしっくりくるような気がします。
 
「ザ·ロウ」は、一見、見たことがあるような服に見えますが、実際に素材を手に取り、袖を通してみれば、今までありそうでなかった究極の日常着であることが分かります。例えば民藝は、用の美を追求したアートですが、「ザ·ロウ」はそれに近いものを感じます。
 
奇をてらわず、日々の生活の中で着る服で、自分たちの考える上質を追い求める―その「しなやかな強さ」は、まさに私が由衣さんに感じたアトモスフィアと同質のもの。そして、今季のプレイフルなディテールや、職人の手仕事から感じる温かみも、彼女の持つ母性的な優しさに似ていて。「ザ·ロウ」は最上の服を提供してくれますが、それをどう着こなすか、どう見えるのかは、着る人に委ねられていますよね? もしかしたら、由衣さんの俳優としての姿勢も同じかもしれないな、なんて想像しています。

ジャケット¥509,300、パンツ¥239,800、帽子として被ったバッグ[H20×φ19㎝(実寸)]¥119,900、スニーカー¥198,000(全てザ・ロウ/ザ・ロウ・ジャパン)

PROFILE_長澤実香(ながさわ・みか)。スタイリストとして女性誌や講演などで活躍。ハイファッションをリアルなコーディネートに落とし込むスタイリングに定評があり、数多くの俳優やモデルから絶大な支持を得る。

direction & styling :MIKA NAGASAWA
hair:KENSHIN[HEADS]
make-up:NOBUKO MAEKAWA[Perle Management]
text: MIWAKO YUZAWA

otona MUSE 2025年4月号より

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