イギリスの『エコノミスト』誌は13年前から毎年、3月8日の「国際女性デー」に合わせ、「ガラスの天井指数(glass ceiling index)」に基づくランキングを発表してきた。2025年も最新のデータに基づき、各国の女性の労働環境をその指数で比較した「女性が働きやすい上位20カ国」を公表している。
社会・経済の発展や環境の改善に関する政策の策定を支援する国際機関、経済協力開発機構(OECD)の加盟国のうち29カ国を対象にしたこのランキングは、「男女の賃金格差、労働参加率、高等教育機関への進学の比率、有給育児休暇の日数、女性議員の割合」など、女性の働きやすさに関連のある10の指標から割り出されたものとなっている。
最新のデータに基づく上位20カ国(19位はタイ)は下位から順に、以下のとおり──。
2025年版「女性が最も働きやすい国」
19位:アメリカ
19位:ギリシャ
18位:アイルランド
17位:スロバキア
16位:イタリア
15位:カナダ
14位:イギリス
13位:ポーランド
12位:オーストリア
11位:ベルギー
10位:オーストラリア
9位:デンマーク
8位:スペイン
7位:ポルトガル
6位:ニュージーランド
5位:フランス
4位:ノルウェー
3位:フィンランド
2位:アイスランド
1位:スウェーデン
いっぽう、収集されたデータを詳しく分析した結果、明らかになった重要な点には、次のようなものがある。
常に上位にランクインするのは、北欧諸国 (トップ4を独占)。この理由として『エコノミスト』誌は、「男女平等」と「働く親たち」に役立つ政策が取り入れられているおかげだと説明している。
29カ国すべてにおいて、平均賃金は依然として女性のほうが低くなっている(平均で、11.4%低い)――賃金格差があることは、議論の余地がない事実!
加盟国全体では、大学の学位を取得している女性は45%、男性は36.9%となっている。それにもかかわらず、労働年齢の女性の労働参加率は66.6%で、男性の81%よりも低くなっている。
アメリカは、「育児休暇の取得日数」と「育児負担の割合」の項目で特に遅れをとっている。それは、女性の労働参加率に大きな影響を及ぼしている。『エコノミスト』誌は、「米国は裕福な国で唯一、国が有給の育児休業制度を定めていない国。育児にかかる費用は、平均賃金の30%を超える」と指摘している。
取締役会のメンバーに占める女性の割合や、女性議員の割合は増加している。例えば、OECD加盟国では2024年、企業の取締役に占める女性の割合が33%となった(前年は21%)。そのほか政治においては、議席に占める女性の割合が過去最高の34%となっている。
全体として、祝うべき“前進”はいくつもみられたといえる。だが、いっぽうではアメリカをはじめ、職場を女性にとってより平等なものにするために「まだまだ、なすべきことが数多く残されている国がある」ことも、改めて明確になったといえる――この結果をみて、北欧に移住したくなったという人もいるかもしれない……?
From COSMOPOLITAN US