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生理、そして出産。難儀な瞬間をストレスなく乗り切るためには?

  • 2025.3.11
Photo_ Christophe Kutner (Trunk Archive)
Photo: Christophe Kutner (Trunk Archive)

毎月、定期的にやってくる生理は女性の体の健康のバロメーター。とはいえ、生理痛がきつい人にとっては“生理なんて来なければいいのに......”と思わずにはいられないほど辛いものであることも。生理痛が“重い・軽い”の差は親から受け継いだ体質など先天的な要素が多少はあるが、むしろ食事や運動などの後天的な生活習慣によるものだと森田さん。「私たちの体は食べたもので作られています。肌や骨、血はもちろん、ホルモンも体の内側を満たす粘液も、食べたものが代謝されて作られるのです。その材料となる栄養素、ビタミン・ミネラル・タンパク質・脂質をしっかりと摂ること。月経時に失われるビタミンCやビタミンE、ヘム鉄や亜鉛などは積極的に摂りたいですね。思春期はダイエットに関心がありますが、栄養素が足りなければ体に影響が出ることを知っていてほしいです」

次に女性の人生の中で最もドラスティックな変化といえば、やはり出産。「出産はパチンコ玉大の穴からボーリング玉を出すほど痛い」、「おっぱいが張ってかちこちになり、搾乳する際の痛みときたら......!」など経験者のおどろおどろしい言葉に出産経験のない女性は妊娠・出産に恐怖心を抱くこともあるかもしれない。しかし、必要以上に恐れることはない、と有名俳優の産前から分娩に立会い、そして産後ケアまでしばしば行っている森田さんは言う。「何のケアもせず出産に臨めばもちろん、会陰が裂ける、おっぱいが張る、などさまざまなトラブルが起こりえますが、出産前後に会陰やおっぱいをオイルでマッサージするなど体をケアしてあげれば、幸せなお産は可能です。お産を『もう二度とこんな思いをしたくない』という辛い記憶にしないでほしいのです」。出産した女性が健康で健やかに過ごすことができたら、自ずと第2子、第3子を望む割合も増えるはず。森田さんが理事を務めるルボアフィトテラピースクールでは2025年3月から厚生労働省管轄の「日本産前産後ケア・子育て支援学会」からの依頼で、産前産後ケアについてのビデオ講習会(受講料3万3000円)を開くことが決まっている。産前産後の女性の体をいかにケアするかという方法が学べるプログラムで、受講すると産後ケアリストとしての仕事を得ることも可能になるそう。法律が変わり、助産師や介護士でなくても出産に立ち会うことが可能になったとのことで、産後の女性の体を守ることが職業支援になるという理想的な試みだ。

産前産後に行うマタニティケアの一例を森田さんが挙げてくれた。「産前からデリケートゾーン用のオイルで腟を緩めて、柔らかくしなやかにしておくと会陰切開しなくてすみます。仮に切開したとしても同じように会陰をマッサージしてあげることで回復を促せます。母乳が出ないという問題は、アーユルヴェーダ的なマッサージなら、脇の横の、気の道といわれる胸の上を蒸しタオルで温めて、オイルでマッサージしてあげる。いよいよ産道が開通するというときに分娩室でパートナーにやってもらうことをおすすめしているのですが、そこで男性は女性の体が出産でどんなに悲鳴を上げているかを理解できますし、妊婦を安心させることができます。フィトテラピーアプローチなら、フェンネルやチェストベリーのお茶は催乳作用があるので、産前から飲んでおくと、母乳が詰まって痛いなんてことはなくなります。産後は母乳によって、母体の栄養が子どもに奪われがち。出産後の体を整えるために、まずは消化のいい食べ物を摂ることが重要です。これは韓国の産後院(出産した病院を退院後、妊婦が養生のために滞在する施設)で出されている食事が参考になります。たっぷりのわかめが入ったスープ、かぼちゃや玄米の粥、高麗人参やクコ、ナツメの入った参鶏湯など。これは体を整えるとともに、出産した後、多くの女性がショックを受ける原因となる薄毛、抜け毛対策にもなります。ホルモンバランスの急激な変化から起きる産後うつの症状にはセントジョーンズワートやパッションフラワーなど薬草茶がおすすめ。韓国のクコ茶もいいですね」

生理も、そして出産も。女性という性の体の仕組みを理解し、その体を作る栄養素を摂る食事を見直すことで、痛みやダメージを最小限にすることは可能なのだ。さらに体を冷やさないように気をつけ、適度な運動や入浴で血流を促し、十分な睡眠を取る。生活習慣の見直しで体は整えられるということがわかったら、今日から実践したい。

話を聞いたのは......

YURIKO TATSUNO

助産師。女性の体と心の仕組みを漢方やヨガなど東洋医学の視点からアドバイス。自身も更年期を迎えたのを機に山梨県・八ヶ岳に移住し、ビボーン助産院(女性院)を開設。ホリスティックなフェミニンケアセラピーを提案している。

ATSUKO MORITA

客室乗務員時代に発病したのをきっかけにフランス国立パリ13大学で植物薬理学を学び、植物療法士に。フランス フィトテラピー普及医学協会認定校「ルボア フィトテラピースクール」主宰。膣ケアの重要性をさまざまな媒体で発信する。

Text: Teruno Taira Editor: Misaki Kawatsu

※『VOGUE JAPAN』2025年4月号「一生つき合う“性”との心地よい関係」転載記事。

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