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【40歳の私へ】東京でキャリアを積むことだけが正解ではない!子連れでUターン。持病の悪化、震災、コロナ禍、困難がすべて転機に

  • 2025.3.10
出典:シティリビングWeb

40歳といえば、キャリアや人生、あらゆる節目になる年代。どんな40歳になっていたい? 40歳の今どんなことを考えている? どんな40歳だった? 「40歳」をキーワードにあらゆる人々の「40歳」をひも解きます。多様性の現代で昔以上に正解はないからこそ、自分自身が納得できる「今」を見つけるきっかけに。

今回は、東京で大手小売業に就職し、女性初の本社店舗開発部員に抜擢されるほどのキャリアを経験後、出身地の島根県にUターンし、広報コンサルティング会社を起業。「地方の発信力を牽引する!」をミッションに、島根の老舗企業を中心に、SNSやプレスリリースなどを活用した集客、マーケティング、ファン作りのコンサルティングや運用サポートを行っている株式会社COME TREES(カムツリーズ)の代表取締役 二木春香さんに話を聞きました。

Uターンをした私だからこそ、できる仕事がある

出典:シティリビングWeb

二木春香さん/写真提供 COME TREES

現在は、広報・PRプロデューサーとして、島根県の老舗企業の商品リニューアル、新商品の開発のほか、広報・PRのサポート、コンサルティングを行っています。老舗企業には魅力的な商品があるにも関わらず、若い世代にPRできていなかったり、SNSを活用できていないという課題があります。その課題を一緒に解決し、地方の伝統を守り、より盛り上げていくことが目標です。東京で積んだ経験と知識、地元の老舗企業の魅力を熟知している私だからこそできる仕事だと思っています。

初めての子育てに重なった困難「戻る」決断が必要なときもある

今でこそ、出身地である島根県にUターンして起業していますが、元々そうしようと思っていたわけではありません。きっかけとなったのは、持病であるアトピー性皮膚炎の悪化と東日本大震災です。

出産後に悪化したアトピー性皮膚炎と戦いながらの初めての育児は、精神的にも体力的にも極限状態でした。そんな中で起こった東日本大震災。当時の仕事は好きだったし、東京でずっと仕事をしていくものだと考えていましたが、その2つの出来事があり「地元に戻ろう」と決断しました。

出典:シティリビングWeb

二木さんと家族/写真提供 COME TREES

頼れるものには頼る

「ご機嫌な母」でいることが子どものためになる

夫は仕事の都合で東京に残ることになりましたが、両親が健在のため「育児をサポートしてもらえる」というのは安心できる要素でした。

後に夫も島根に合流し、我が家には第二子、第三子が誕生しました。夫婦がそろったとはいえ、三人の子どもを育てながら仕事をするのは容易ではありません。

通常、母親はどうしても子ども優先になりがちですが、自分がやりたいことを我慢している状態はいいこととは言えません。気持ちに余裕がなくては、子どもに優しくもできません。私は育児において「母親がご機嫌でいられること」が大切だと思っています。私にはやりたい仕事がある。実家の近くに暮らすことで、両親の多大なサポートも受けられるようになりました。そのおかげで仕事に挑戦し続けられていることに、感謝しています。

「SNSはまだ必要ない」東京と地方とのニーズのギャップ

島根にUターンし、最初に始めたのは料理教室でした。アトピー性皮膚炎に悩んだ経験から「食の大切さを伝えたい」という想いと、「島根にはいい食材がたくさんあるのに知られていない!もっと知ってほしい」という想いがあり、やりがいを感じていました。

ただ、料理教室は軌道にのらず経営的には厳しい状況に。また、労力を使うため再び体調を崩すことに。東京にいたときからチャレンジしていた料理教室でしたが、あきらめることにしました。

料理教室ですでに多額の資金を使ってしまったのですが、再び多額の自己投資をし、事業に役立つSNS、マーケティング、顧客心理などを学び、現在の株式会社COME TREESの設立に至りました。「地方を底上げしたい」という私の想いを実現でき、「地元企業のお役に立てるのではないか」と考え、SNSやプレスリリースを活用したPRプロデュースをスタートしました。

しかし、意気揚々と地元で「広報PRコンサル」として売り込むも、「SNSも広報も、うちはまだいいかな」と、SNSを含めた広報の大切さが地方では通じないという現実。というのも、地方ではSNSや広報の影響力に対する認知度が低く、「集客といえば“チラシ”」に予算をかける価値観のままで、なかなかSNSも広報も必要とされない状態でした。

それでも、「地方こそSNS・広報が大事」という信念を曲げず、中小企業庁事業の派遣専門家を務めるなどの活動や、自分自身のメディアアプローチを地道に行いました。

「SNSが必要だ!」再びの転機はコロナ禍に

SNSを含めた広報PRが一気に注目されたのはコロナ禍でした。コロナ禍で世間が大混乱の中、島根に観光客が来なくなるという事態に。そのことで地元経営者の世論が変わって、これまで「SNSも広報も必要ない」とネガティブだった地元経営者たちが「SNSをやらないと!」と一転、強い必要性を訴えてくださるようになったのです。

地元での仕事が増えたのと並行して、コロナ前から伝え続けてきたノウハウを体系化して「SNS活用セミナー」を開講したところ、全国からSNS講師業の依頼をいただけるようになりました。「必要ない」と言われながらも、地道に続けていたことが、やっと実を結んだ瞬間でした。

根底にあるのは“おせっかい” これからも挑戦を続けたい

今後、力を入れていきたいこととしては、大学生を巻き込んで地元の飲食店や老舗菓子屋などのSNS運用をサポートする仕組みを作ることです。地方の飲食店や小売店は、男性経営者1人で切り盛りしていること店舗も多く、日々の運営で手がいっぱいでSNS発信にまでは手が回りません。その点、スマホの操作に慣れていて、流行に敏感な大学生ならばニーズに応じたSNS発信が容易にできるのではないかと思います。学生としてもインターシップの一環として経験を積めるのでメリットがあります。

この二つをマッチングできたら、お互いwin-winな関係が築けます。ただ、運用方法など、まだまだ課題が多く、これから整えていくところです。

出典:シティリビングWeb

大学生を含むプロジェクトメンバーとミーティングをする二木さん/写真提供 COME TREES

「おいしいものを紹介したい」「地元の伝統、魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」「地元の老舗企業、お店をサポートしたい」私が仕事にしてきたことの根底には“おせっかい”の要素がいつもあります。今後もこのおせっかいマインドで島根から情報を発信していきたいです。そして、人口減少と高齢化が進行している島根で培ったこれらのノウハウを全国に展開し、全国の“地方”や“小さな会社”を元気にして、地方活性化につないでいきたいと考えています。

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株式会社COME TREESは、「文化資産が次世代に引き継がれる社会」をビジョン、「地域活性化を牽引する」をミッションに掲げ、広報PRコンサルティング、広報PRマーケティング代行、広報担当者育成プログラムを事業展開する会社です。『経営者も、働く人も、地域の人も、みんな、幸せ』の実現を目指すCOME TREESのコンサルティングの最大の特徴は“全体最適化”を行う独自の技術にあります。個別の課題解決ではなく、企業全体の成長を見据えた包括的な支援と商品開発と組織開発を同時並行で進める統合的なアプローチを行いながら戦略的PRを仕掛けていくことで確実に売上UPや採用強化を叶えていきます。現在、「COME TREESメールレター」として、小さな会社に役立つ広報と、売れる商品づくりのヒントを無料配信しています。

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