青春や結婚からも卒業!?人生のさまざまな“卒業”を描いた映画3選

2025.3.10

『卒業～Tell the World I Love You～』©2022 FLIM GURU CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

3月といえば卒業の季節。50代にとって自身の卒業式は遠い昔のことですが、その後の長い人生の中では、さまざまな“卒業”があったのではないでしょうか。今回は、いわゆる「学校の卒業式」を描いた映画ではなく、青春、結婚生活、自分の思い込みからの“卒業”を描いた映画を紹介します。

切なくて過酷な青春時代からの卒業。タイBLの人気俳優たちが共演『卒業～Tell the World I Love You～』

タイBLドラマでブレイクした若手俳優たちが共演した映画『卒業～Tell the World I Love You～』©2022 FLIM GURU CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED. — 大人のおしゃれ手帖

タイの若者3人のほろ苦い青春を描いた作品です。タイといえば、数年前にBLドラマ『2gether』が日本でも大ヒットし、「タイBL」ブームが巻き起こりました。本作『卒業～Tell the World I Love You～』にも、タイBLドラマで注目を集めた俳優が揃って出演しています。主人公のケン役を演じるのはアイドルとしても人気のスラデット・ピニワット（バース）、不良青年ボン役にタナポン・スクムパンタナーサーン（パース）、ケンの同級生タイ役にシラホップ・マニティクン（ネット）。ちなみに、バース、パース、ネットというのはニックネームです。

そんな旬のイケメン俳優たちによる甘い胸キュン映画かと思いきや、淡いボーイズラブだけでなく、裏社会を描いたダークな展開＆ハードなアクションの連続で、良い意味で予想を裏切られます。

タイの若者たちのほろ苦い青春を描く『卒業～Tell the World I Love You～』©2022 FLIM GURU CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED. — 大人のおしゃれ手帖

高校生のケンは、行き別れた母親を探すために幼馴染で同級生のタイの家に居候しながら、奨学金で中国への留学を目指しています。試験が迫るある日、ケンは、ヤクの密売組織から足を洗おうとしている不良青年のボンが袋叩きにあっているのを目撃し、思わず助けます。こうしてケンがボンと出会ったことで、ケンとタイの平穏な日々は大きく揺れ動きます。

アイドルとしても人気のバースことスラデット・ピニワットが主演『卒業～Tell the World I Love You～』©2022 FLIM GURU CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED. — 大人のおしゃれ手帖

可愛い顔をしているケンは、クラスメイトに「オカマ」とからかわれていますが、やり返す喧嘩っ早い一面もあります。そんなケンを守ろうとするタイ。このタイの優しい眼差しがなんとも素敵です。一方、闇組織から抜け出そうとしているボンもまた、応援したくなる存在です。ケンの気持ちも傾き始め、3人の淡い恋心は少しずつ形を変えていくのでした。

普通の高校生だったケンとタイですが、ボンとの出会いで思わぬ方向に進んでいきます。あまりに切なくて過酷な青春時代からの卒業といえるかもしれません。

『卒業～Tell the World I Love You～』

結婚生活からの卒業……離婚に悩む夫婦を描いた珠玉の作品『マリッジ・ストーリー』

Netflix映画『マリッジ・ストーリー』独占配信中

愛し合って結婚したはずなのに、いつしか心がすれ違い、悩み葛藤し、離婚へと進んでいく。そんな夫婦を描いたNetflix映画で、妻役をスカーレット・ヨハンソンが、夫役をアダム・ドライヴァーが演じています。

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舞台演出家のチャーリーと妻で女優のニコールは、幼い息子がいることもあり、円満離婚を望んでいました。しかし、いざ離婚となると互いへの積年の怒りが出てきてしまい、弁護士を立てて争うことに。離婚を有利に進めるためか、互いの弁護士は戦闘モードで、ついに泥沼化してしまいます。

『マリッジ・ストーリー』で弁護士を演じたローラ・ダーンがアカデミー賞助演女優賞を受賞。Netflixにて独占配信中。 — 大人のおしゃれ手帖

Netflix映画『マリッジ・ストーリー』独占配信中

離婚にいたる夫婦の心の機微を丁寧にすくった本作。いがみ合いながらも相手への愛情や優しさが残っていることがわかり、それゆえ観ている側も心が痛くなります。特に、妻・母・女優という職業人でもあるニコールを演じたヨハンソンの演技には、多くの女性が共感するのではないでしょうか。

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本作は、第92回アカデミー賞で作品賞のほか主演男優賞、主演女優賞など計6部門でノミネートされ、ニコールを助ける弁護士を演じたローラ・ダーンが助演女優賞を受賞しました。惜しくも受賞は逃したものの、主演二人の演技は素晴らしく、結婚とは、夫婦とは、離婚とは何かを考えさせられる作品です。

Netflix映画『マリッジ・ストーリー』

自己肯定感の低い自分から卒業！自分を愛することでハッピーに『ロマンティックじゃない？』

Netflix映画『ロマンティックじゃない？』独占配信中

シビアな内容の2作品を紹介したので、最後はロマンティック・コメディを。といっても、本作の主人公でぽっちゃり体型のナタリーは、大のロマコメ嫌い。なぜなら、子どもの頃はロマコメの王道『プリティ・ウーマン』が大好きだったのに、憧れる気持ちを母親にへし折られたことから、大嫌いになってしまったのです。

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そんなナタリーですが、ある日、頭を強打して気を失ってしまいます。意識を取り戻した彼女は、周囲の様子がおかしいことに気付きます。自分のヘアメイクは完璧で、医師はイケメン、家はきれいで、たくさんの洋服や靴を持っていて、隣人は陽気なゲイ。“ロマコメあるある”の世界に入り込んでしまったナタリーは、この異世界から抜け出すために、ヒロインを演じ切るしかなく……。

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本当はロマコメのような素敵な恋愛や生活に憧れているのに、自分には縁のない世界だとあきらめてしまい、ロマコメ嫌いを自称しているヒロインを、レベル・ウィルソンがチャーミングに演じています。自己肯定感が低めのナタリーが、渋々ロマコメ界を生きるうちに徐々に素直になり、自分に自信を持てるようになる過程にワクワクします。

自分にはこれは向いていない、できない、嫌い、といったネガティブな気持ちは誰にでもあるもの。そんな思い込みから卒業して素直になることが幸せへの近道なのではないか、と思わせてくれるハッピーな作品です。