子どもはもちろん、大人も手に取って「その時」に備えたい。
正しい知識によってさらに防災意識を高める!
近年の日本は毎年のように「異常気象」と言われ、豪雨や台風、大雪による災害が頻発しているうえ、猛暑も災害級と称されるまでに。さらには2024年の能登半島地震につづき、南海トラフ地震、首都直下地震、富士山の噴火など今後大きな災害が起こることも想定されています。
そんな現象を、気象学者の荒木健太郎氏が科学的かつわかりやすく説明! 正しい知識を身につけたうえでどう対応したら良いのかがしっかりわかるので、いざというときの心構えに役立ちます。
※本記事は荒木 健太郎著の書籍『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』から一部抜粋・編集しました。
雲や空を見て天気の急変を察知する「観天望気」
雲や空を見て、これから天気がどう変わるのかを予想することを観天望気(かんてんぼうき)といいます。ここでは、積乱雲による天気の急変を察知するための観天望気をご紹介します。
まず、天気が急変する可能性を少し前から教えてくれる雲として、積乱雲になる前の雄大積雲(ゆうだいせきうん)の上部にできる頭巾雲(ずきんぐも)があります。さらに、限界まで発達した積乱雲の上部に現れるかなとこ雲(ぐも)、かなとこ雲が上空の風に流された濃密巻雲(のうみつけんうん)、かなとこ雲や濃密巻雲の底に現れる乳房雲(ちぶさぐも)などがあります。
これらの雲を見かけたら、気象レーダーで積乱雲の位置や動きをチェックしましょう。天気の急変の直前に現れる雲もあります。ロールケーキのような形のアーククラウド、これが積乱雲本体とつながっている棚雲(たなぐも)、竜巻発生の直前に現れる漏斗雲(ろうとぐも)、土砂降りの雨そのものが見えている雨柱(あめばしら)、雷鳴などは、すぐ近くに積乱雲があって、今まさに天気が急変しそうなことを知らせてくれています。このような雲や現象に出会ったら安全な建物内などに避難しましょう。
■防災の豆知識
雲や空の観天望気は、科学的根拠があって信頼できるものが多いです。一方、生物の行動などをもとにする観天望気は、原因と結果が逆だったり、論理的に飛躍した考え方になっていたりするため、ほぼ信頼できません。
天気の急変の可能性を少し前から教えてくれる雲
頭巾雲
積乱雲へと発達中の雄大積雲の上部にできる雲。
※このあと頭巾を突き破って成長するよ!
かなとこ雲
限界まで発達した積乱雲の上部が横に広がった雲。
濃密巻雲
濃い巻雲。積乱雲のかなとこ雲が上空の風に流されて広がったものだと、その先に積乱雲がある。
乳房雲
かなとこ雲や濃密巻雲の底にできるコブ状の雲。積乱雲の進行方向に現れることがある。
※この雲たちを見たら、レーダーで積乱雲の位置や動きをチェック!
天気の急変の直前に現れる雲
アーククラウド
ロール状の雲で、積乱雲本体から離れている。アーチ雲のひとつ。ガストフロント上にでき、この雲が通過すると突風が起こる。
棚雲
アーククラウドが積乱雲本体にくっついたもの。アーチ雲のひとつ。すぐ背後に積乱雲がある。
※急に青空が暗くなったり、冷たい風が吹いたりするのも天気の急変の可能性があるよ。
漏斗雲
積乱雲の雲の底から垂れ下がるような見た目の雲。漏斗雲が地面に達すると竜巻になる。
雨柱
積乱雲の下の狭い範囲に降っている強い雨が見えているもの。
雷鳴
雷鳴が聞こえる場所では落雷の危険性がある。
※雷はゴム製の長靴やレインコートを身に着けていれば安全と思われることがあるけど、関係なく危険だよ!建物か自動車内に逃げよう。
山での天気の急変を教えてくれる雲
レンズ雲・吊るし雲
上空が湿っていて強い風が吹いているときに現れる。とくに登山中は天気の急変の目安になる。平地でも、西から天気がくずれるときなどに見られる。
著=荒木 健太郎/『すごすぎる天気の図鑑 防災の超図鑑』