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「南海トラフ地震」発生確率80%へ引き上げ! 背景や最新情報について解説

  • 2025.3.7

画像:PIXTA

いつ発生してもおかしくないと言われている地震の一つが南海トラフ地震です。

政府の地震調査委員会は、これまで南海トラフの発生確率は30年以内に「70%~80%」としていましたが、2025年1月に「80%程度」へ引き上げることを発表しました。

30年以内の発生確率が80%程度になったことで、私たちはどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。

この記事では、南海トラフ地震の発生確率が引き上げられた背景や、頻発する日向灘地震との関連性などを紹介します。

南海トラフ地震発生確率が引き上げられた背景

南海トラフ地震発生確率が「30年以内に80%」に引き上げられた主な理由は時間の経過によるものです。

地震調査委員会は毎年1月1日に地震発生確率の見直しを行っており、想定する地震が起こらない限り、時間の経過と共に南海トラフ地震の発生確率も高まります。

南海トラフ地震の発生確率は以下のように推移しています。

・2013年:60~70%

・2014年:70%程度

・2018年:70~80%

・2025年:80%程度

さらに細かく見ると、2024年1月1日の時点では30年以内に南海トラフ地震が発生する確率が74~81%と評価されていましたが、2025年1月1日の時点で75~82%と評価されたことで、80%に引き上げられました。

そのため、70~80%が80%になったからといって、確率が10%上がったというわけではありません。ただし、今すぐ南海トラフ地震が起こっても不思議ではない数字であることには変わりないため、引き続き地震への備えが必要です。

頻発する日向灘地震との関係

頻発する九州の日向灘地震と、南海トラフ地震の発生確率が80%に引き上げられたことは関係ありません。

日向灘では2024年8月8日にM 7.1、2025年1月13日にM6.6の大きな地震が立て続けに起こっています。このうち、2024年8月8日の地震では、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました。

南海トラフ地震臨時情報が発表されたのは、南海トラフ地震の想定震源域に日向灘地震の震源が含まれていたためです。

しかし、日向灘地震後の調査において、「南海トラフ地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる現象ではない」と結論付けられています。そのため、日向灘地震によって南海トラフ地震の発生確率が高まったわけではありません。

また、日向灘では1931年、1941年、1961年、1968年、1984年にもM7.0以上の地震が発生しています。定期的に大地震が発生しているエリアであり、その直後に南海トラフ地震が発生したということもありません。

南海トラフ地震以外に発生確率が引き上げられた地震

2025年1月に地震調査委員会が発表した地震発生確率について、南海トラフ地震以外にも引き上げられた地震があります。

海溝付近を震源域とする海溝型地震と、陸地の活断層で発生する地震に分けて紹介します。

海溝型地震

活断層

このように、地震発生確率が引き上げられた海溝型地震、活断層地震は多くあります。危険性が高まっているのは南海トラフ地震だけではないという点に注意しましょう。

被害予測に変化は?

南海トラフ地震やその他の一部の地震について発生確率が引き上げられましたが、被害予測自体に変化はありません。

被害予測は発生確率とは別に、最新のデータに基づき定期的に協議されて見直しが行われています。建築物や人口、ライフラインなどの最新データなどを反映し、定期的に見直すことにより、正確で現実的な被害予測が可能になります。

被害想定は各自治体のWebサイトやパンフレットなどにも掲載されているため、最新情報をチェックし、いつ起こるかわからない大地震に備えましょう。

〈執筆者プロフィル〉

田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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