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「毎日筋トレ」は逆効果?プロテインは腎臓に悪い?筋肉博士・山本義徳先生Q&Aまとめ

  • 2025.3.4

筋トレ&ボディメイクに関するウワサ。その中で気になる疑問をピックアップし、筋肉博士・山本義徳先生にお答えいただく本企画。

ボディビルダーの世界大会で優勝した経験を持ち、数多くの有名アスリートを指導した経験もある山本先生は、VALXのYouTubeチャンネル『VALX 山本義徳 筋トレ大学』でさまざまな情報を発信しています。

今回は過去の質問集をまとめて一挙公開!

Q.タンパク質は食べ物から摂ったほうがいい?プロテインドリンクでもいい?

A. まずタンパク質単体で摂りたいのか、タンパク質+αの栄養素も摂りたいのかで変わってきます。

純粋なタンパク質だけで比較すると、やっぱりプロテインは優秀ですね。普通の食事ですと、プロテインスコアやアミノ酸スコア100のものは、結構少なくなってしまいます。

ちなみにアミノ酸スコアはプロテインスコアより後に制定されましたが、だいぶ基準がゆるいです。たとえば大豆のプロテインスコアは56ですが、アミノ酸スコアだと100ぐらい。

完璧なプロテインスコアの食品は“卵”と“しじみ”だけですが、大量に食べられるわけでもありません。ですので、タンパク質のスコアで考えますと、プロテインのほうが優れているということになります。

しじみってすごかったんだ……

筋トレの場合、BCAA、とくにロイシンが多いほうが優秀という目線になりますが、食事だとロイシンがあまり含まれておらず、ホエイプロテインはロイシンが多く含まれている。筋肉にいいアミノ酸はプロテインのほうが多く含まれていますし、全体のアミノ酸バランスとしてもプロテインが優れています。

あと、プロテインは消化吸収も早く、肉や魚に比べると胃腸への負担も少ないというメリットもあります。こうした理由から、タンパク質単体で考えると、プロテインのほうに軍配が上がります。

一方、食事はタンパク質以外のものも含まれていますから、その視点で見るとプロテインよりも優秀と言えます。どこに重点を置くかで答えが変わってきますね。

Q.プロテインを飲んでいるならBCAA、EAA は必要ない? BCAA、EAA はどんな人にオススメなのでしょうか。

A. プロテイン、BCAA、EAAは、アミノ酸の種類やバランスが異なります。

プロテインは20種類のアミノ酸、BCAAは3種類のアミノ酸、EAAは9種類のアミノ酸であり、この全てが必須アミノ酸となります。

たとえば「プロテイン10g」と「EAA10g」を比較すると、EAA10gのほうがロイシンが多く含まれています。タンパク質という視点ではまったく同じですが、筋合成に必要なアミノ酸はEAAのほうがずっと多くなります。

もちろんプロテインにもEAAと必須アミノ酸が含まれており、プロテインの半分はEAAと言えるのですが、やはりEAA単体と比べると、筋タンパク質合成の効果は低いということが研究で証明されています。

というわけで、プロテインを飲んでいればEAAに匹敵する効果があるかというと、ちょっと違うのです。

BCAAとプロテインの違いは?併用してもいい?管理栄養士に聞いた活用術

ただ、EAAは値段が高いとか、プロテインのほうがおいしいとか、さまざまな事情があります。

プロテインは、まずタンパク質量が足りない人、食事できちんとタンパク質を摂れていないという人が、全体のタンパク質量を稼ぐために活用するとよいでしょう。EAAは、全体のタンパク質量をキープしたうえで、さらに筋タンパク質合成を高めたいという中・上級者におすすめです。

BCAAは、ロイシン・イソロイシン・バリンが含まれており、筋タンパク質合成を高める働きはあるのですが、アミノ酸が3種類だけですので、材料が少し足りません。一時的に筋タンパク質合成は高まるものの、材料が足りないので、すぐ下がっちゃうんですね。筋タンパク質合成の時間が短いのです。

EAAは他のアミノ酸も含まれていて材料が揃っているため、筋タンパク質合成も結構長い時間続きます。

なら、ホエイプロテインにBCAAを追加すればいいのではと感じますが、「ホエイプロテイン+BCAA」と「EAA」を比較すると、やはりEAAのほうが効果が高いという研究結果が出ています。

材料がきちんと摂れている場合でしたら、BCAAでも良いです。たとえばプロテインや食事でタンパク質を大量に摂っている人が、筋タンパク質合成だけを高めたいという場合ですね。

あとは、BCAA自体がエネルギーにもなるので、トレーニング前に取ることでよりハードなトレーニングができるということが挙げられます。

Q.なぜマッチョはだいたいポジティブで自信がありそうなの? ネガティブなマッチョっているのでしょうか。

A. マッチョはポジティブ、そんなことはないですよ(笑)

結構、落ち込んでしまうマッチョは多いと思います。コンテスト大会の結果があんまりよくなくて、とか。

マッチョにもいろいろなレベルがいるのですが、トレーニングを始めたばかりの人はすごく自信に満ちています。でも上に行けば上に行くほど周りと比べちゃうんですね。自分よりすごい人がいっぱいいる。そうなると逆にネガティブになっちゃう。

でも、ネガティブになるからこそ頑張ろうってなるのです。ここで「俺のほうがすごい」と思ってると全然成長しない。むしろネガティブなほうが成長できる。まだまだ負けてる、頑張ろうっていう風になるのです。それがネガティブなのかは判断が難しいところですけれど、マッチョもポジティブで自己肯定感が強い人ばかりではないと思います。

なにより、自分を変えたいからトレーニングをしている。自分に自信があるポジティブな人だと「変えなくていい」と思ってしまいますから。

よくボディビルダーはナルシストだと言われますが、ナルシストだと自分をさらに良くしようと思わないのです。もう自分に満足しちゃってますから。むしろ自分に自信がないから、トレーニングをして自分を変えていこうと考える人が多いんじゃないかなとは思います。

Q.マッチョ界隈の人はどんな言葉に喜ぶことが多いでしょうか。逆に「これはマッチョ(トレーニー)に言っちゃダメ」みたいな言葉はありますか?

A. そうですね、「痩せた」って言われると落ち込みます。

コンテストに向けて減量していると絶対細くなってしまうのですが、そこで瘦せたねって言われると落ち込みます。

体脂肪が落ちて筋肉が見えてくると、たしかに体は締まってよく見えるのですが、洋服を着ている状態だと小さく見えてしまいますので、そこで「小さくなった」とか「瘦せた」とか言われると、もう、すごく傷つきます。ガックリきます。減量期のときは「痩せたね」ではなく「絞れたね」と言われるとうれしいですね。

そしてマッチョが喜ぶ言葉はやっぱり「でかくなったね」です。これは一番うれしいと思いますよ。

ちなみによく言われるのが「何を目指してるの?」です。トレーニングをしたことがない人からすると自然と出てきてしまう疑問なのだと思いますが、これを言われると、おそらく多くのマッチョがやや怒ると思います(笑)

Q.筋トレ後、プロテインなしでもいい? 軽い筋トレならいらない?

A. 最近の研究だと、どのタイミングで摂取しても、筋肉が増える量はさほど変わらないとは言われています。ただし、1日におけるタンパク質量がきちんと足りている場合です。

たとえばトレーニングを行い、その日は何も食べないで寝て、翌朝いっぱいタンパク質を摂るなら、さほど悪影響はありません。

とはいえ、すごく筋トレにこだわっている人は、0.1でも結果が違うならより良いほうを選びます。そういう人は、やはりトレーニング後にはプロテインを飲んだほうがいいでしょう。

軽く筋トレをする程度であれば、そのときにプロテインを飲まなくても、翌日にタンパク質を摂れば大丈夫です。

Q.「超回復は気にしなくていい、毎日筋トレをした方がいい」ってホント?

A. 30年ぐらい前に、エブリタイムトレーニングという方法が流行りました。毎日、同じ部位をトレーニングするという方法です。

雑誌で紹介され、人気になったのですが、半年ぐらいでみんなやめちゃったんですね。

同じ動きを続けているとそれに慣れてきますので、一時的に神経系が改善されて重い重量を挙げられるようになるんですね。それで記録が伸びたように感じてしまうのですが、2~3週間もすると、やはりやり過ぎで記録がガクンと落ちてしまう。

ただ、超回復の理論に基づいて行うというのも、実は違うのです。

超回復というのは、もともとはグリコーゲンの話でして。

糖を溜め込むカーボローディングのとき、一度グリコーゲンを減らしてその後いっぱい摂ると、満タン状態からさらに多くグリコーゲンを入れることができる。

これが“super compensation(スーパーコンペンセーション)”、つまり「超回復」と言われていたのですが、日本でだけ筋トレのほうに適用されてしまいました。超回復は、実のところ筋肉には適用されない理論なのです。

トレーニングをすると、まず筋肉の合成が起こりますが、“筋肉の分解と疲労”も発生します。合成と分解・疲労、どちらに傾くか。最初の数日は必ず分解が上回ります。合成も起こっていますが、分解・疲労のほうが絶対に上回ります。

ですので、毎日トレーニングを行うと筋肉は分解・疲労のほうに傾いてしまい、合成が起こらなくなる。そして怪我や免疫低下などが起こってしまいます。

ちなみに、日本でだけ超回復が筋トレに適用された理由は、おそらくですが、窪田登先生という方がウェイトトレーニングの本で超回復理論を紹介したことがあり、それがなんらかの流れで筋トレに適用されてしまったのではないかなと思っています。日本で最初に言い出したのは誰かというのは不明ですが。

超回復を筋トレに当てはめるのは理論としては間違っているのですが、実践する上で、何日か休んでからトレーニングを行うと効果的だという“結果”は合っているんです。ですので、ある程度休んでから前よりも合成が分解を上回ったところでトレーニングするというのは間違ってはいないです。

Q.腎臓や肝臓を悪くする可能性がある、プロテインのNG な飲み方はありますか?

A. プロテインは、1950年代ぐらいに登場して以来、ボディビルダーはプロテインをたくさん飲み続けてきましたが、プロテインの飲み過ぎで肝臓や腎臓を壊したというボディビルダーはいないです。

そうした歴史からもプロテインの安全性は証明されていますが、実際に研究も行われていて、体重1kgあたり3.3gのタンパク質を1年摂取しても、健康に悪影響はなかったという内容です。

体重1kgあたり4.4gを摂った経験もありまして、それを6週間続けても健康に悪影響はありませんでした。

体重1kgあたり4.4gというのは本当に超大量です。体重×3.3gのプロテイン摂取は結構やっているボディビルダーは多いと思いますが、少なくとも1年継続しても問題はなかったという結果です。

 

あとは、日本腎臓学会なども軽度の腎臓病であればタンパク質の摂取に問題はなく、普通の人、あるいは軽度の腎臓病でも、むしろタンパク質はきちんと摂ったほうがいいということになっています。

では、なぜ腎臓に悪いという説があるのか。これは、タンパク質の中でもとくにトリプトファンが問題になってしまいます。

トリプトファンが体内でインドール、さらにインドリルというのになって、それがさらにインドキシル硫酸になります。そのインドキシル硫酸が腎臓にダメージを与えるということが分かっているので、インドキシル硫酸が大量にできるようなタイプの人は、もしかしたら腎臓に問題が起こるかもという可能性は否定できません。

ただ、インドキシル硫酸は腸内の善玉菌が多いと出ません。腸内環境の悪い人が超高タンパクを取った場合に、もしかしたら腎臓に負担がかかるかもしれないということで、一般的な人にはほとんど問題ないということが分かっています。

もし超高タンパク質から腎臓を守りたいということであれば、腸内環境を整えるようにしましょう。

「運動」で腸内環境を整えるには?おすすめの種目、トレーニング頻度

Q.テストステロンがもっとも分泌される筋トレ種目は何ですか?

A. 「スクワットをすると増える」という研究結果があります。

スクワットとレッグプレスを比較したところ、スクワットのほうがテストステロン分泌量は増えたという内容です。

成長ホルモンはレッグプレスのほうが分泌されるとか、エクササイズによって違いがあるのは面白いですね。

レッグプレスの効果と正しいやり方、平均重量と回数|下半身を鍛える!筋トレマシントレーニング

女性の場合、スクワットを行うとテストステロンだけでなく女性ホルモンのエストロゲンも分泌されます。女性ホルモンが多いとテストステロンは下がってきますが、女性によってテストステロンが多く出るタイプと、エストロゲンが多く出るタイプがいます。

テストステロンが多く出るタイプですと、男性っぽくなることもありますね。逆に、エストロゲンが多く出るタイプの人は、女性っぽくなることも。

男性ホルモン「テストステロン」が高い男性、低い男性の特徴【調査】

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回答者プロフィール

山本義徳(やまもと・よしのり)

静岡県出身の日本のボディビルダー、トレーニング指導者。メジャーリーガーや総合格闘家などをはじめ、多くのクライアントを指導している。サプリメントにも精通しており、サプリメント博士の異名を持つ。2019年4月に開設したYouTubeチャンネル『山本義徳 筋トレ大学』は登録者数72万人を超える。一般社団法人 パーソナルトレーナー協会理事。

【主な著書】
・ウェイトトレーニングー実践編ー
・ウェイトトレーニングー理論編ー
・アスリートのための最新栄養学(上)
・アスリートのための最新栄養学 (下)
・最高の健康 科学的に衰えない体をつくる

【You Tube】
山本義徳先生の知識と経験に基づいたトレーニング方法や、プロテインやサプリメントの情報を科学的根拠(エビデンス)に基づいて、YouTube動画を随時更新しています。
https://www.youtube.com/channel/UC7F_CLFtxDetmUnORgmwImg

<Edit & Photo:編集部>

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