グルメ界には、そのジャンルに特化したプロが多く存在する。
尋常ならざる熱量で食を重ねてきたアートディレクター・秋山具義氏から“最推しの店”を教えてもらった。
最推しの店を教えてくれたのは…
アートディレクター・秋山具義氏
広告やCDジャケットなど幅広く創作する一方、食べログのグルメ著名人としても活動。Instagramでの情報発信の他、雑誌でコラムなど担当。店舗のデザインワークも多数。
1.肉の名手による人気店ではパスタも悶絶級 『三和』
白金台の住宅街にひっそりと佇む肉イタリアン『三和』。そこで腕を振るう渡邉大祐シェフの料理は完全に自分好みで、特にパスタは絶品。
コースのみで、パスタは9種類ぐらいある中から選ぶ。毎回迷って、結局ひとつに絞れず、追加してふたつは頼んでしまう。
中でも必ず頼むのがこのスパゲッティ。
味の決め手は静岡「長谷川農産」のマッシュルーム。
栽培先進国であるオランダの技術を導入して無農薬、無漂白で育てている。
旨みのベースになるピュレはマッシュルームのデュクセルで、心地良い食感のために炒めたみじん切りも合わせており、仕上げにかける生のスライスで香りもプラス。
マッシュルームの三段活用で素材の魅力を引き出している。
2.待望の復活を遂げた老舗店の名品を求めて 『コルシカ1970』
恵比寿に復活した老舗洋食店『コルシカ1970』、今は3代目・北村 新さんがキッチンに立つ。
「ヤリイカの墨煮のスパゲッティ」は、漆黒に輝く美しい姿だけでそそられる名物で、生臭さが一切ないイカスミの美味しさに驚いた。
その理由は「よく炒めた玉ねぎの甘みとニンニクの香り、自家製トマトソースの酸味がしっかり効いているから」とシェフ。
何より、そのバランスが素晴らしくて、バターのコクも深みのある味わい作りにひと役買っている。
基本的には先達のレシピを実直に継承しているそうだが、このパスタに忍ばせるフュメ・ド・ポワソンにはローズマリー、タイム、ディルといったハーブに加え、昆布や干し椎茸などの旨みも追加。
常に最善を志し、変化も厭わない。この姿勢こそ同店の魂だ。
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