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ガーデニングシーズンに向けた庭支度! 春の種まき準備や庭仕事いろいろ

  • 2025.3.3

さまざまな花が一斉に咲き出す春まであと少し。ガーデナーにとっても、ワクワクする季節の始まりです。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんも、この時期は種まきや庭の大掃除など、ガーデニングシーズンに向けた庭の準備に勤しんでいます。今やっておきたい庭仕事を今一度確認し、準備万端でスタートダッシュを切りましょう!

ガーデニングシーズンはもうすぐ!

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

私が暮らす温暖な神奈川県の湘南地域では、冬の終わりがようやく見えてきました。

春の訪れが予感できたら、そろそろ今シーズンのための種まき準備をする時期。種子袋のパッケージの裏面には、地域ごとの播きどきの目安や収穫のタイミングなど、お役立ち情報がたくさん記載されています。こうしたパッケージの図を見て、一度ご自分の暮らす地域がどの地域に色分けされているかを確認しておくのをおすすめします。

私の故郷のドイツでは、このような地域別の情報は特に気にする必要がありませんでした。なぜなら、ドイツでは地域ごとにさほど気候の差はなかったから。アルプス山脈にある標高が高く非常に寒冷な地域を除き、地域差を考慮する必要はほとんどありませんでした。一方日本では、かなり多くの気候ゾーンがあるため、こうした図によって地域を確認しておくことはとても重要です。

もっとも、たとえ温暖な地域に住んでいても、植物が期待通りのパフォーマンスを発揮してくれるかは、その植物が置かれた場所の微気候によっても左右されます。まだ幼い苗を守るためには、風よけや安定した温度、それぞれに合わせた環境作りなどが有効。小さな温室やプラスチックで覆ったエリアなどがあればベストですね。

一足先の種まきもおすすめ

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

春や夏のシーズンに向け、暖かいキッチンやリビングの一角で夏野菜の種まきをしておけば、シーズンには素晴らしいスタートを切ることができますよ。室内で種まきをすれば、小さな可愛らしいトマトたちが、1つ、また1つと芽吹く様子も目の前で見ることができます。ただし、室内のスペースは限られているうえ、日照不足など生育に適した条件との不一致から、ずっと室内で苗を健全に育てるのは難しいかもしれないことには注意しましょう。

ぜひ育てたい伝統品種

私は、種まきの際にF1品種を使わないことを意識しています。世代から世代へと受け継がれてきた伝統品種は、長い年月の間に生まれたもので、生物多様性を守るためにも有効とされています。ぜひ、伝統品種の目くるめく世界を味わってみてください。

こうした伝統品種には次のような特徴があります。

  • 固定種
    特定の品種同士を掛け合わせた交配種とは異なり、ミツバチや昆虫、風などにより受粉して生まれた株も形質が変わらないこと。
  • 世代から世代へと受け継がれる
    優れた特性があるため、何世代にもわたって保存する価値がある植物だとみなされてきたこと。
  • 純血種
    種子から育てた株も親と同じ形質を示すこと。
  • GMO (遺伝子組み換え生物) ではない
    遺伝子を人工的に変化させた遺伝子組み換え植物ではないこと。

何世紀にもわたり、人々はよい特徴を持つ株を選抜して増やしてきました。こうして固定された伝統品種は過去からの味わいをそのまま留め、また信頼性が高く、種子をとっても親と同じ品種を育てることができます。

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

伝統品種の種子を手に入れるには、近所の人や友人など、ガーデナー仲間でシェアし合うのがおすすめ。また、「種子の交換所」を探してみるのも一案です。ドイツでは、コミュニティガーデンやホームセンター、図書館、地元のショップなどの一角に、ひっそりと小さな種子の交換ボックスが置かれていることがあります。ガーデナーは、余った少量の種子を包んで品種名や植物名、種まき時期やアドバイスを書いて、ボックスに入れておきます。ハーブや花、野菜、フルーツなど、種類ごとにボックスが用意されていると便利ですね。こうした場所があれば、無料で素晴らしい種子をいろいろ手に入れることができます。

私にとってガーデンでの大きな楽しみの一つが、種子の採取と、それを翌年どこに播こうか、どの人に自家採種の種子をプレゼントしようかと考えること。誕生日やクリスマスに、春に向けたガーデンからの素敵なギフトです。こうした種子の膨大なバリエーションについて、一度でも書いたり考えてみると、それはほとんど中毒性があるほど魅力にあふれています。庭仕事ができない冬の日には、自分にぴったりの種子を探してみるのも楽しいものですよ。

冬のうちにガーデンの大掃除を

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Koll, Alicja

春が来る前に済ませたいのがガーデンの整理。ススキなどグラス類を切り戻し、庭のコーナーや、普段あまり使っていない場所を掃除しましょう。夏には育ちすぎた雑草に覆われ、蚊や暑さのために手入れしにくいので、この時期にやっておくのがおすすめです。

また、ガーデンシェッドを確認し、新しいシーズンに向けて道具を選抜したり、修繕しましょう。壊れたものはリサイクルするか廃棄し、より実用的に配置し直します。例えば、道具はフックを用意して壁掛けにすれば、より取り出しやすく使いやすくなります。

残り物の用土や肥料、資材は、何がどれだけ残っているかを把握しておくと、同じものを重複して購入しないで済みますよ!

フェンスもオーバーホールを。木製の場合は塗装やリペアなど、アイアン製の場合はジョイント部分に油を差すなどのメンテナンスが必要です。

育ちすぎた庭木や灌木の剪定も大切な仕事です。また、堆肥を花壇に入れ、雑草の手入れをしましょう。特に根を張るタイプの雑草は、この時期に取り除いておくと後々がラクになります。こうした仕事を済ませた後、しばらく休んでガーデンを眺める時間は、とても楽しいものです。

ガーデンシェッドの中には不要品もいっぱい

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

先日、私も義母の家のガーデンシェッドを掃除しました。そこで姿を現した雑多なものたちは驚くばかり。洗濯ばさみ、畳縁、麻紐、プラスチックロープ、さまざまなサイズのワイヤーや被覆ワイヤー、通気孔をあけた球根が入ったビニール袋が多数……。長さがまちまちの支柱も多く出てきましたが、ほとんどはすでに壊れていました。ほかにもつる植物の誘引や鳥よけ、防寒対策に使うネット、植木鉢に入った軽石などの石、空の盆栽鉢や栽培道具、園芸バサミ、ツール、ちり取り、ホウキなどなど。ホウキはもう傷んでいたので、新しいものと取り換えることにしました。

幸い、義母は几帳面で分かりやすい収納メソッドを持っていたので、残すものと捨てるものを選別するのは簡単でした。空っぽにしてから拭き掃除をし、もう一度きれいに中身を詰め込んだシェッドはすっきりと片付き、扉を開くたびに楽しくなります。

この余勢を駆って、ダイニングの窓から見える隣家の古いガーデンシェッドも整理したいと申し出ましたが、お隣さんはあまり乗り気ではない様子。嵐の度に飛んでいかないかと心配になりますが、まだしばらくはこの状況は続きそうです。

ガーデンのくれる喜び

BirdMoreBo/Shutterstock.com

先日、我が家の庭にタヌキがやってきて、陽だまりで一休みしていました。近くには緑のある場所が少ないので、タヌキたちは夜をどこで過ごしているのか気になります。多くの庭は、舗装された駐車スペースにシンボルツリーがあるくらいで、昆虫たちのための花も、野鳥の隠れ家となる生け垣もほとんどありません。我が家の庭や隣家の庭がナチュラル寄りなのかもしれませんが、多くの家では緑がきっちり管理されすぎているか、そもそも植物がなく、舗装やタイル、砂利だけのこともしばしばあり、少し寂しく思います。

Photo/Elfriede Fuji-Zellner

昨年のガーデンで一番の驚きは、11月につぼみをつけ、12月に咲き始めた赤いバラ。冬のさなかの開花にも関わらず、まるで5月のような姿で咲きました。この花は、子供時代、リビングの窓から見えたローズガーデンに、同じような姿のバラがあったことを思い起こさせてくれました。もっとも、それら25本ほどのバラが咲いたのは6月だったので、季節はまったく違いますけどね。

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今、私の菜園では、芽キャベツの芽吹きが喜びを与えてくれています。野鳥たちが新芽をついばんでも、小さな芽は健気に伸びて日ごとに大きくなっています。芽キャベツの収穫はちょっと大変ですが、熱いブイヨンに入れたり、副菜にしたり、楽しみ方はいろいろ。ブロッコリーも寒い季節に確実に育ってくれる野菜です。

多くの冬野菜は野鳥の被害にあい、硬い赤キャベツの葉も食べられることがあります。この時期の鳥たちは、とても空腹で必死なのでしょうね。多少かじられるくらいなら気にしませんが、放っておくと何もかも食べつくされてしまうのは困りもの。鳥よけネットを設置することもできますが、個人的には風で吹き飛ばされたり、庭に人工的な雰囲気をもたらすものはできるだけ避けるようにしています。もっとも、時々ネットを設置することもありますので、結局のところ手に入るものと私の気分次第です。

Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

ガーデニングシーズンはもうすぐ。私はすでに、たくさんの種子を購入してシーズンに備えています。春の訪れが楽しみですね!

Credit
話 / Elfriede Fuji-Zellner - ガーデナー -

エルフリーデ・フジ・ツェルナー/南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood

まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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