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ハローキティ、XG、ゼベワンまで…中国で人気の日本&Kカルチャーを徹底解説

  • 2025.3.6

アイドルファンダムの結束や、キャラクターIPグッズの即完など、熱狂する力が話題になる中国では、いまどんなコンテンツや人が支持されているのか。中国でも愛されている人気の日本&Kカルチャーについても考察します。プロデューサー、クリエイティブディレクターの陳暁夏代さんにお話を伺いました。

実力ある「個」が輝く時代へ。

日本や韓国と同様、アイドルオーディション番組が大人気だった中国。しかし、ここ数年、大きな変化があったという。

「中国では、2018~2021年くらいにアイドルブームがピークを迎え、“みんなにとって一年で一番大きなニュースといえばアイドルオーディション”というくらい大きなムーブメントが起きていました。たとえば、日本人メンバーもデビューを果たした、サバイバルオーディション番組の『創造営』などが有名です。ところが、多くの人の関心を集めるコンテンツになったからこそ、投票制度などをはじめ問題が起こり、“改良しない限り公開は中止”というようなお達しが国から出てしまうなど、以後、下火となっていきました。アイドルのプロデュースをしていた人たちは、香港や台湾、タイなど、拠点を変えて番組を継続しようとしたものの、なかなか流行らないという状況がありました。一方、日本のオーディション番組では、昨年から今年にかけて、『timelesz project』や、ガールズグループのHANAを生み出した『No No Girls』などが大きな注目を集めており、日本の視聴者に焦点を当てたコンテンツに人気がシフトしているように感じます。中国でアイドルオーディションに代わり、多くの人を夢中にさせているのが、30~50代の実力派が競うバラエティ番組や、タレントがのんびり旅をする番組などです。原石のような若い人たちがパフォーマンススキルを磨き、次第に成長していく姿を見つめることが、アイドルオーディション番組の魅力の一つです。そのため、オーディション番組の全盛期である4~5年前は、ある意味で実力や経験を備えたアーティストたちが日の目を浴びづらい時期でもあったのです。それが、アイドルオーディション番組の人気が落ち着き始めてから、これまでの状況とは打って変わって注目を集めるように。歌やラップ、ダンスなど、本当に芸達者な人たちが出演する番組が、大きな話題を呼んでいます」

なかでも、ここ最近大ヒットしているのが、マンゴーTVが手がけるバラエティ番組、男性版『披荊斬棘的哥哥』(「荊」と「斬」は簡体字)と女性版『乘風破浪的姐姐』(「風」は簡体字)。国内外のベテランといわれるアーティストやタレントたちが登場して、与えられたミュージックショーの課題をクリアするために奮闘。そして、さらに上のステージを目指すというリアリティショーだ。そして、この番組には、日本からも驚くほど有名なビッグアーティストが参加している。

「シーズン4には、ロックミュージシャンでありギタリストのMIYAVIさんと、EXILEのメンバーであるAKIRAさんが参加したことで、大きな注目を集めました。MIYAVIさんは英語だけでなく中国語の練習にも前向きと、ハイスペックぶりも相まって大人気です。また、AKIRAさんは台湾出身の俳優であるリン・チーリンさんのパートナーということでもともと知名度がありましたが、番組の中で奮闘する姿に多くの人が胸を打たれ、中国の人からとても愛される存在になっています。中国の伝統演劇である京劇を披露するという課題に挑戦した時は、時に涙を流しながら真剣に向き合っていたことも大きな話題を呼びました」

また、アーティストの中島美嘉さんは、歌が好きな女子学生たちによるbilibili動画の音楽番組『愛唱歌的大学生女生季』(「愛」は簡体字)に出演。

「もともと中華圏で人気の方ですが、学生たちにアドバイスをするメンターという役割で出演しています。日本の実力ある方たちが海外に呼ばれ、高い評価を受けることは、嬉しいですよね。このように中国では、アイドルグループから、『実力ある個の時代』へと移行しているように感じます。ちなみに、『創造営』でデビューしたINTO1の日本人メンバーのSANTAさんとMIKAさん、力丸さんなどは、グループ解散後も、引き続き中国で人気があります。ダンスや歌など、なにか突出した実力があると、活躍の場は十分に存在するといえます」

また、「aespaやZEROBASEONEなど中国人メンバーがいる韓国アイドルグループは、そのメンバーが単独でバラエティ番組に出演することも多く、知名度が高いです」と陳暁さん。その一方で、日本発の7人組ガールズグループ、XGは中国でも多くのファンを獲得。音楽性はもちろん、「型にハマらない自由なファッションやメンバーのアイデンティティも大きな要因」と分析する。

「XGは、そもそも高いパフォーマンススキルの持ち主が集まっています。さらに、彼女たちの個性が強い、インパクトのあるファッションは中国の人たちが好むテイストで、自分たちの目指す理想のアイデンティティと近く、親近感を覚える人も多いと思います。『YUEQI QI』や『WINDOWSEN』をはじめ、中国ブランドを取り入れることも多く、デザイナーがXGが着用したことをSNSで発信することで、さらに盛り上がるようなシーンも。初のワールドツアーでは、上海、成都、北京と、多くの都市を巡っているので、中国での活動に力を入れていることも考えられます。ここまで高い人気を獲得しているのは、メンバーはもちろん、プロデューサーのSIMONさんのワールドワイドな戦略も素晴らしいんだと思います」

そして、日本のキャラクターは引き続き大人気。長年愛されているものだけでなく、ここ数年で登場した不憫かわいい系もヒットしているそう。

「1番人気は、サンリオです。特に『ハローキティ』は、コーヒーショップやアパレルなど現地のさまざまなIPとのコラボレーションを行っています。リリースされた途端に予約で即完売になるほど。中国人の消費力と行動力はものすごく、グッズを買うために日本など国外に行く人も少なくありません。また、『ちいかわ』も話題で、日本と同様に“不憫かわいいキャラ”が中国でも人気を集めています。最近では、人気キャラクターのミームも度々トレンドとなります。“仕事をしたくない”というような自分たちの気持ちをキャラクターにのせて表現したものが、めちゃくちゃ流行っています。日本のキャラクターは、シンプルなビジュアルの後ろにも、キャラクター設定がしっかりしているので自分の気持ちや生活を重ねやすいのではないでしょうか。また、キャラクターのグッズ展開が多いことも、日本の特徴。“このキャラクターが好き!”と思ったら、すぐに関連グッズを手に入れることができる。こうした状況も、キャラクターものが流行る大きな要因だと思います」

2021年は、アイドルオーディション番組の大ブーム&ピーク年。

写真提供:株式会社ドロップ

『CHUANG ASIA 2025(創造営2025)』
K‐POPに始まり、アジアを中心に一大ムーブメントとなったアイドルオーディション番組。中国では2018年頃から作られるようになり、『偶像練習生』『青春有※』(「※」には人偏に「爾」の簡体字が入る)『創造営』など、さまざま番組が誕生。実際に数多くのグループがデビューを果たすなど大きな話題に。2021年の『創造営』で、日本人メンバーを含むINTO1がデビューした。

創造営ボーイズ新シリーズが、ついに2月2日からスタート!
“中国版『PRODUCE 101』”としても知られる、アイドルオーディション番組、『CHUANGASIA 2025(創造営2025)』が、現在、WeTVで配信されている。今回は中国やタイ、マレーシア、ベトナム、アメリカなどから参加した練習生がデビューを目指す。日本からは稲吉ひかり、小松倖真、SHOYA(福田翔也)、HIKARU(ヴァサイェガ光)、LYU(児玉龍亮)が参加。注目です!

グッズは即完売! 日本まで買いに来る人もいるほどの大人気ぶり。

Ⓒ'25 SANRIO 著作 (株)サンリオ

【HELLO KITTY】
昨年、誕生50周年を迎えた「ハローキティ」をはじめ、サンリオのキャラクターは中国でも長く愛されており、グッズも発売と同時に予約完売するほどの人気ぶり。また、「ちいかわ」のような不憫さを感じるキャラクターも、日本と同様にウケている。

XGの中国での活動と、ファッショナブルなスタイリング。

anan web

【XG】
2022年にデビューした“固定観念を壊せ”を哲学に持つ7人組ガールズグループXG。規格外のパフォーマンスやビジュアルで世界で旋風を巻き起こしている。ワールドツアーでは中国の都市を数か所巡り、また、中国人デザイナーの衣装を身に纏うことも少なくない。そうした動きに親近感を覚えたり、盛り上がる人たちが増えている。

中国人メンバーが活躍するK-POPグループに熱視線。

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【ZEROBASEONE】
「ゼベワン」の愛称で知られる9人組ボーイズグループ、ZEROBASEONE。2023年にグローバルボーイズグループデビュープロジェクト『BOYS PLANET』から誕生し、デビューを果たした。デビュー以降リリースした4枚のアルバムはすべてミリオンセラーとなるなど勢いは増すばかり。中国出身のメンバー、ジャン・ハオは、国内でも大人気! 『KEEP RUNNING』など、さまざまなバラエティ番組にも出演している。

中国でも活躍する日本人アーティストに注目。

中国の番組に日本の実力派アーティストが出演し、人気に火をつけている。MIYAVIさんとAKIRAさんは『披荊斬棘的哥哥(Call Me By Fire)』(「荊」と「斬」は簡体字)で行ったパフォーマンスも話題。中島美嘉さんは『愛唱歌的大学生女生季』(「愛」は簡体字)で学生に優しく向き合う姿でより人気となった。

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【MIYAVI】
昨年11月に中国単独公演「雅‐MIYAVI‐I'M YOUR SUPERSTAR 2024 巡回演唱会」を行ったMIYAVIさん。今年も中国にておよそ10か所で単独ライブを開催予定。

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【AKIRA】
中国の大手検索サイト「SOHU」が主催する「2024 搜狐時尚盛典 SOHU FASHION AWARDS」(「時」は簡体字)の授賞式に出席したAKIRAさん。活動の幅を広げている。

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【中島美嘉】
上海、北京、武漢、広州でワンマンライブ「MIKA NAKASHIMA CONCERT TOUR 2024 YOU IN CHINA」を開催。約2万人を動員。

PROFILE プロフィール

陳暁夏代さん

ちんしょう・なつよ プロデューサー、クリエイティブディレクター。日本と中国に拠点を持ち、両トレンドに精通。企業のブランディングや、日本のエンタメやアーティスト、カルチャーなどの、中国マーケットへのプロデュースを行うなど、さまざまな分野で活躍。

anan 2436号(2025年2月26日発売)より

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