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こんな病院にはかからないほうがいい…和田秀樹「いい医者かどうかの見極めで真っ先に見るべき場所」

  • 2025.3.1

いい医者と巡り会うにはどうすればいいか。医師の和田秀樹さんは「医者が患者さんに『大丈夫や』と言って笑顔にしてくれるようなパーソナリティの人なら、そこはいい病院と言える。医者に行くたびに気が重くなるとか、薬を飲んだら体調が悪くなるという状態を我慢するべきではない」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

握手する医師
※写真はイメージです
不必要な薬を飲めば、必ず何かしらの副作用がある

病院に行くと、多くの薬が処方されます。「そんなに飲まないのに」「家に余ってるのに」と思いながらも、いらないとは言えずにもらってきてしまう人が多いのではないでしょうか。

本当にそんなに多くの薬がいるのでしょうか。私はかなり懐疑的です。薬は安易に飲まない方がいいと思っています。不必要な薬を飲めば、必ず何かしらの副作用はあるので、飲まないに越したことはないと思うのです。

何事も手抜きをしてはいけないと思う人は、薬の飲み方にも手を抜きません。

1日3回と言われたら、時間を決めて3回きちんと飲まなくてはいけないと思います。けれども、言われたことをそのまま守るということが、果たして本当に自分の体にとっていいことなのでしょうか。

「大人は1日3回服用」と決まっていれば、医者はそのとおりに指導します。その人の体の調子や状態を考えているわけではありません。

薬には半減期というものがあります。これは、肝臓で分解、腎臓で濾過して排泄することによって、薬の体内濃度が最大ピークの時の半分になるまでの時間です。

半減期に合わせて次の薬を飲むと血中濃度が安定するというのが一般的なモデルで、多くの薬は半減期がおよそ8時間ほどになるように設定されています。だから、朝昼晩の1日3回服用となるのです。

高齢者相手に薬の量を減らせない医者は不誠実

ところが年をとると、肝機能が低下してきて分解速度も遅くなります。腎臓の機能も鈍くなって排泄も減るので、ほとんどの薬で半減期が延びるのが当然です。

それなのに、1日3回服用の薬は20代の頃と同じく、年をとっても3回のままです。「若い人は3回だけれど、あなたの年齢なら2回でいいよ」と言ってくれる医者はほとんどいません。

1歳の子どもと14歳の子どもに同じ量の薬を出す小児科の医者はいませんが、老人となるとその配慮がないのです。高齢者相手に薬の量を減らせない医者の方が、よほど不誠実だと思います。

丸薬を手に持つ高齢女性
※写真はイメージです

薬は必ずしも3回飲まなくてもいいものですし、3回飲まないといけないと厳格に考えすぎる方がよほど体に悪いでしょう。

薬を勝手にやめるのはよくないと言われていますが、本当に深刻な事態に陥る場合には厳重な注意があるはずです。そうでなければ大きな問題はありません。

薬を飲むのをやめたところで飲みはじめる前に戻るだけです。体調がよくなるならそのままやめた方がいいし、体調が悪化したらまた飲みはじめればいいだけです。

自分で考えて判断しようという意識を持つ

「朝1回服用の薬は、昼になったら飲んではいけないのですか」と聞かれることもよくありますが、ほとんどの場合、朝飲もうが昼飲もうが問題ありません。

夜1回服用という指示のあるものは、眠くなる成分が入っている場合もあるので、「いつ飲んでも大丈夫だけれど眠くなるかもしれません」と伝えるだけです。

薬をお茶で飲んではいけないのかと聞かれることもありますが、多少吸収が落ちるくらいで大きな問題はありません。むしろ、高齢になれば薬の量も少なくていいのですから、吸収が落ちてちょうどいいくらいかもしれません。

医者や薬剤師は決められたことをそのまま話していることがほとんどで、その人に合わせて考えてくれるわけではありません。

きちんと守らなくてはいけないと思いすぎず、言われたことをそのまま守れなくても大丈夫、むしろ自分で考えて判断しようという意識を持った方がいいのです。

話すだけで元気になるのがいい医者

世の中に医者は星の数ほど存在しますが、いい医者はそうそう多くないだろうと私は思います。何しろ、医者になってからろくに勉強していない人も多いのですから。

よく、いい医者と巡り会うにはどうしたらいいかと聞かれるのですが、これという方法はありません。ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、その医者に通うようになって体調がいいならいい医者だろうということです。

医者に行くたびに気が重くなるとか、薬を飲んだら体調が悪くなるというなら、そんな状態を我慢するべきではありません。

いつも笑顔で「大丈夫、大丈夫」と言ってくれて、話を聞くだけで安心できるとか、その場に行くだけで元気になるという医者もいます。それが何よりの薬とも言えるわけで、そんな医者こそいい医者だと思うのです。

いい病院の判断で見るべき場所

病院やクリニックに行く時は、まずは待合室を見るべきです。待合室で元気そうな患者さんたちが、楽しげに旅行の相談をしているようなところがいい病院です。

和田秀樹『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)
和田秀樹『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)

「あの人今日来てまへんな」「病気になったから来てないんですわ」という病院の待合室での会話が笑いを誘うのは、桂文珍師匠の新作落語「老婆の休日」ですが、年をとって病気になったら本人が来られないのは当然であり、高齢者医療のリアルです。

こんな会話が待合室で行われているとしたら、医者が「大丈夫や」と言って患者さんを笑顔にしてくれるようなパーソナリティの人で、それこそいい病院ということになるでしょう。

待合室に入ると患者さんが皆どよんとした雰囲気でなんだか居心地が悪いぞと感じたら、きっとそこの医者は薬を出しすぎて厳しいことばかり言っているのでしょう。さっさと別のところを探すに限ります。

和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。

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