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アメリア・グレイ・ハムリン、摂食障害とうつを克服した新時代のスーパーモデルが語る23歳の今

  • 2025.3.1

16歳でモデルデビュー後、一躍世界の“イットモデル”に

The 2024 Met Gala Celebrating "Sleeping Beauties: Reawakening Fashion" - Arrivals

「2021年。それは私が眉毛を脱色して夢を叶えた年。ニューヨークから一度も離れなかった年。そして、私が完全に“本物”(のモデル)へと脱皮した年。ありがとう 2021年。私の夢を叶えてくれた皆さんに感謝します。皆さんを愛してます!!!!!」

2021年12月、眉毛を脱色して大胆なイメージチェンジを図ったポートレートとともに、インスタグラムにこう投稿したアメリア・グレイ・ハムリン。そんな彼女にとって、2021年はキャリアにおけるターニングポイントとなった記念すべき年だ。

5歳の時からすでにモデルを目指していた彼女は、16歳で大手モデルエージェンシーIMGと契約し、2018年春夏ニューヨークファッションウィークのデニス・バッソ(DENNIS BASSO)でランウェイデビュー。以降ドルチェ&ガッバーナDOLCE&GABBANA)、マイケル コースMICHAEL KORS)、ヴェルサーチェVERSACE)などのキャンペーンで活躍した彼女は、2021年にラクアン スミスLAQUAN SMITH)やジャックムスJACQUEMUS)のランウェイに眉毛を抜いたルックで登場し、一気に世界の注目を集めた。

このとき、ようやく「スーパーモデルになる」という幼少期からの夢を叶えたと実感した彼女は、続く2022年の春夏ロンドンコレクションリチャード クインRICHARD QUINN)のショーでプラチナブロンドにブリーチした眉を披露してさらに進化。その変身の一部始終をインスタグラムで公開し、世界中にセンセーションを巻き起こした。

「90年代のスーパーモデルたちがランウェイを闊歩する姿に刺激されたことと、母の友人がシンディ・クロフォードだったことから、物心がついたときからモデルになりたいと思っていました。特に1994年秋冬ヴィヴィアン・ウエストウッドVIVIENNE WESTWOOD)のショーで、ケイト・モスがトップレスにマイクロスカートでアイスクリームを食べていた姿は今も鮮明に覚えています」と語ったアメリアは現在23歳。2024年12月2日には、英国ファッション評議会が主宰する「ファッション・アワード2024」で、中国出身のスーパーモデル、リウ・ウェンモナ・トゥガードらと並び「モデル・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、名実ともにスーパーモデルの地位を確立した。

家族とともに出演したリアリティショーで注目

左から、母リサ・リナ、デライラのパートナーのヘンリー・エイケンベリー、アメリア・グレイ・ハムリン、父ハリー・ハムリン、姉デライラ・ベル・ハムリン
The Daily Front Row's 8th Annual Fashion Los Angeles Awards左から、母リサ・リナ、デライラのパートナーのヘンリー・エイケンベリー、アメリア・グレイ・ハムリン、父ハリー・ハムリン、姉デライラ・ベル・ハムリン

「私は、両親から常に他人に優しくあることや、今日よりも明日頑張ることの大切さを教わりました。どんなに美しい女性でも、立ち振る舞い一つで醜い女性になってしまうこともあります。ですから、両親の考え方にはとても共感しています」

2024年には韓国版・アドリア版『VOGUE』のカバーを飾り、同年12月のメットガラで高橋盾によるイエローのバルーンドレスを纏って世界を魅了したアメリアが一躍注目を集めるきっかけとなったのが、俳優でモデルの母リサ・リナと俳優の父ハリー・ハムリン、そして3歳年上の姉でモデルのデライラ・ベルとともに出演したリアリティショー「The Real Housewives of Beverly Hills」(2010〜)だ。これを機にモデルデビューを果たした姉妹は、直後から各方面で引っ張りだこの存在となる傍ら、「L.A.collective」とのコラボレーションでアスレジャーブランド「DNA」をローンチするなど大きな話題をさらった。

また、大学進学のため移り住んだニューヨークに現在も暮らすアメリアは、番組中以前住んでいたロサンゼルスのアパートを公開。“カワイイ”インテリアが注目を集めただけでなく、その家賃が月5,700 USD(約75万円)と高額だったことや、両親ともに家賃を含む生活費を一切援助していないと母リサが語ったことで、その並外れた経済力でも世間を驚かせた。

摂食障害とうつの引き金となった学校の授業

The Attico - Runway - Milan Fashion Week - Womenswear Spring/Summer 2025

「私の摂食障害の告白が視聴率稼ぎの売名行為だなんて言われることは、本当に心外。精神疾患があると嘘をつくなんて絶対に考えられないし、やってはいけないこと。リアリティショーへの出演も頼まれてやっているだけで、望んでやってるわけじゃありません。だから、すでに有名な人が(売名で)病気を利用するということはないと願っています」

番組内でこう語ったアメリアは一方で、摂食障害とうつを克服し、自身のメンタルヘルスについてオープンに語る活動家としても知られる。19歳の時に出演した「The Skinny Confidential Him + Her Podcast」で、彼女は罹患したきっかけをこう明かした。

「今の私を見ると本当に摂食障害だったのかと疑うでしょう?(笑)母が小柄なのもあり成長が遅かった私はそれがコンプレックスでした。当時通っていた学校の教育方針がちょっと風変わりで、フェミニズムについて熱心に説く割には実践されていないという矛盾に毎日直面し、いつも混乱していました。この二つが原因で精神的に疲弊し、全ての物事をネガティブに捉えてうつっぽくなってしまい、食も細くなっていったのです」

そんな彼女のメンタルにさらに追い打ちをかけたのが、9年生のときの社会の授業だった。アメリアを含むクラス全員の前で、教師が母リサの写真を見せながら「モデルという職業はフェミニズムの思想に反する」と説教を始めたのだ。これを知った両親はすぐに姉のデライラ・ベルとともに別の女子校に転校させたが、アメリアのうつは改善せず体重も減り続ける一方だった。しかし、本人にはその自覚がなかったことから、見かねた家族はついに診療のため彼女をUCLAに連れて行き、ようやく事態が好転し始めたという。

栄養学を学び、メンタルヘルス向上のために尽力

Celebrity Sightings In New York City - October 29, 2024

「そうだね、このペースで体重が減り続けたら、間違いなくきみは4カ月以内に死んでしまうよ」

診療にあたった医師からこうあっさり告げられたことで、ついに目が覚めた彼女は本格的に治療を開始。その成果もあって体重も徐々に増え続け、ついに標準まで戻したとき不思議と心の不調も改善していったという。「モデルになって最高の人生を送るために痩せる必要なんてない。 痩せすぎで死ぬか、ありのままの自分で幸せになるかの瀬戸際だった」と当時を振り返る彼女は、その後摂食障害とうつになった本当の理由についてこんな分析をしている。

「あのとき、私の母を含む女性に対する先生たちの歪んだ見解をきちんと正すことができなくて本当に悔しかった──それが一番の理由だったと思います。私が味わった孤独を、ほかの女性たちの誰一人として感じて欲しくない。だから今、私は自分の体験を世界に向けて語り続けているのです」

この体験からニューヨークのカレッジで栄養学と健康について学び、現在は心身ともに万全なコンディションでスーパーモデルとして錚々たるビッグメゾンの”顔”をつとめるアメリア。約177cmの健康的なプロポーションで彼女が堂々と着こなすルックは、レッドカーペットでも、ランウェイでも、ソーシャルメディアでも常に注目の的だ。そんな彼女は、現在の自身のコンディションについてアドリア版『VOGUE』でこう語っている。

「メンタルヘルス維持のため、特に運動と食生活には気を配っています。本格的なトレーニングをする時間がないときでも、朝少し体を動かすことで1日のいいスタートを切ることができます。そして今夢中なのが、オーツミルクとバニラを加えた抹茶! コーヒーが体に合わないので、休憩時間には抹茶が欠かせません。撮影で世界中を移動するといつも抹茶があるお店を探しますが、見つからないときは本当に苦労します。最近パリに抹茶のおいしいお店を見けたので、とりあえずひと安心(笑)。食事と心の健康は直結していますから」

Text: Masami Yokoyama Editor: Nanami Kobayashi

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