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これで探し物のイライラから解放される…紙資料を大量に抱える和田秀樹さんが実践「捨てない整理術」

  • 2025.3.1

悩みやストレスを手放しやすくする生活習慣とは何か。『定年後の超・働き方改革 「楽しい仕事」が長寿に導く!』(光文社)を上梓した和田秀樹さんは「自分の気持ちや身の回りのものを『整理』することで、視界が明るくなり平常心を取り戻せることがある」という――。

不安を矯正してくれる認知療法

不安に駆られたり、心配になったり、悩みが深まったり……。こんなストレスを手放しやすくなる方法をご紹介します。自分の気持ちや身の回りのものを「整理」することで、視界がパッと明るくなり、平常心を取り戻せることがあるんです。

一つ目は「書くこと」です。

精神医学の分野では、「書くこと」を活用した心の健康法が注目されています。多くの人は、落ち込んだり不安を感じたりしたときに、心のなかに混乱した考えを抱えてしまうことで、さらに悩みが深まります。そこで「書く」という行為を用いて、心のなかを一度文章化し、不安や悩みを解消し、悪循環を断ち切ろうとする手法です。

このような健康法の代表例として、「認知療法」が挙げられます。

「認知療法」は、不安をより大きなものにしてしまう自動思考を矯正することを目的としています。たとえば上司から呼び出しを受けた際に、「リストラされるに違いない。もうどうしようもない」と極度の不安を抱いてしまう人がいますが、これは次のような思考パターンが根底にあるのではないでしょうか。

呼び出しの知らせを受けた瞬間、過去の上司との悪い関係の記憶が蘇り、心がネガティブな感情で満たされてしまう

そのネガティブな感情に影響され、「また同じような悪い結果が訪れるに違いない」という思考が生まれる

上司に会う前から、不安や怒りなどネガティブな感情が溜まり、思考回路は「悪いことが起こる」という方向に固定される

結果として、上司との会話が険悪なものになり、悪い結果を引き寄せてしまう

このような悪循環をくり返すことで、「やはり悪いことが起こった。自分の考えは正しかった」という思考が強まってしまい、さらなる悩みを生み出してしまいます。この自動思考の問題点は、当事者自身がその思考を疑わなくなる点です。

「書く」行為で人は冷静になれる

それを修正するために、たとえば、上司に呼び出されたときの感情や考え方のパターンを、0%から100%までの数字と一緒に記入するのです。

感情面では「不安90%」「怒り80%」、思考面では「リストラにあうはずだ80%」「上司は自分を嫌っている90%」などという具合です。

この記録を見ることで「100%確実に起こる」と信じ込んでいたリストラが、「じつは100%ではなかった」と気づいて冷静になれます。あるいは「80%だ」と予想していた場合、ほかの可能性も考えられるようになります。そして「100%確実に起こる」と信じ込んでいたのは、不安や怒りなどの感情の影響だったとわかります。

つまり「書く」という行為は、人間を冷静で客観的にしてくれる要素を持っているのです。怒りや不安が強まったときに書くことは、大きなメリットがあります。

※写真はイメージです
心の安心感を保てる整理法

二つ目は「資料の整理」です。

私は物を探すのに非常にストレスを感じるタイプなのですが、職業柄どうしても紙の資料が増えてしまいます。資料を探しているときになかなか見つからないと、時間が無駄になりますし、「もし見つからなかったらどうしよう」と不安になります。生産性が下がるだけでなく、嫌な気分にもなるため、整理には気を配っています。

そこで編み出した「安心感を保てる整理法」をご紹介します。資料以外の物の整理にも応用可能ですので、ぜひお試しください。

私の整理法は非常に簡単です。テーマごとに「袋」をつくるのです。

教育関係については「教育関係」の袋、高齢者医療関係については「高齢者医療関係」の袋をつくります。そして、それぞれの袋に資料を入れて、ある程度整理しておきます。とはいえきれいに整理されているわけではなく「一応分類ができている」という程度です。袋や段ボール箱のまま置いておくことが多いです。

これらの資料のなかで、絶対に必要がなくなったものは捨てることもありますが、ほとんどの場合は取ってあります。なぜなら、捨てる作業は時間がかかるからです。

一年分の資料を整理して捨てようとすると、1〜2日はかかりますし、一カ月分の資料を整理するのにも1日程度はかかります。

ですので、引っ越しや大幅な部屋の模様替えなど、緊急な事態がない限り、追加的な整理は避けるようにしています。その代わり、十分に分類できるように、収納スペースを広く確保しています。

※写真はイメージです
最小限の労力しか割かないのが基本

もし整理をしてくれる人を雇えるなら、その人に資料の整理をお願いしたり、スキャナーで資料を読み込んでもらってパソコン内に整理してもらうかもしれません。しかし、現状では自分で行わなければならないため、そこまで時間はかけられません。できるだけ時間をかけずに整理することが基本です。

そのため、スクラップブックなどは作成していません。スクラップした資料が有効活用できるのであれば作成してもかまいませんが、スクラップブックの作成にかかる時間と、それを活用して得られるものを比較すると、やはり無駄だと感じます。

ノートについても同様の方針で、きれいなノートを取らないようにしています。きれいに書く作業に気をとられると、大事な内容がおざなりになってしまう恐れがあるからです。読める程度であればそれでよしとし、あとは分類して保管しています。

このように整理を非常に重視しているのは、自分が不安にならないためです。とはいえ、そこには最小限の労力しか割かないようにしています。でもそれでいいのです。

見た目は悪いですが「この袋や段ボール箱のなかに必要な資料は必ずある」。そんな安心感があるだけで、目先の仕事はうんと捗はかどります。心の健康にも最高なのです。

メモやスケジュール管理は手帳を活用

本書の第4章では高齢者のスマホ活用についてお話ししました。SNSに投稿したり、スマホで写真を撮ったり。「遊び」の分野で活用しませんか、というお誘いでした。

一方「正確さ」「速さ」が問われる仕事の場面では、ムリしてスマホを使う必要はありません。操作が追いつかなかったり、不慣れなせいで誤操作をしてしまっては、仕事に差し支えるからです。実際私も仕事の面ではアナログ派の一面があります。

たとえばメモを取ったりスケジュールを管理する際は紙の手帳を活用しています。ポケットサイズの手帳をどこにでも携帯しているのです。

長年愛用しているのは、左側にスケジュール、右側にメモが書けるウィークリータイプ。そこに予定や気づきをどんどん書き込みます。

たとえば、テレビを見ていて感じたことや、ふと思いついたYouTubeのアイデアなどを記録していきます。

「とにかく読めればいい」というスタンスなので、見た目は決してきれいではありません(笑)。しかし、それでいいのです。手帳の目的とは「見せること」ではなく「すぐに記録すること」ですから。

※写真はイメージです
テクノロジーは必要に応じて使うだけ

「スマホを使わないとは意外ですね」と驚かれることもありますが、私は手書きに慣れているため、そのほうが圧倒的に速く記録できます。ですから、私にとってベストな選択は紙の手帳なのです。

そもそも私は、テクノロジーそのものに詳しくなりたいわけではありません。必要に応じて最低限使っているだけです。

パソコンも同様です。私の場合、おもに原稿を書くためにノートパソコンを持ち歩いています。手帳と同じように「携帯できること」が前提ですから(不測の事態も想定して)落としても壊れにくいパナソニック製を選んでいます。移動は基本的にタクシーなので重量は気にしません。軽量なものが必要な人は、そういう製品を選べばいいでしょう。

インストールするソフトも最小限に抑えています。多くのソフトをインストールすると、フリーズするリスクが高まります。画面が突然固まって、原稿が消えてしまう事態は避けたいですから、必要なソフトだけに絞っています。

インターネットも、必要な情報を得るためにしか使いません。ネットサーフィンを始めると、あっという間に数時間が過ぎるので、これも気をつけています。

改善策を考えてビジネス脳を鍛える

スマホに関しても連絡を取る手段として不可欠ですから携帯はしていますが、アプリは最低限しかインストールしていません。

和田秀樹『定年後の超・働き方改革 「楽しい仕事」が長寿に導く!』(光文社)

気になるのは、スマホが使いにくい点です。ガラケーからスマホに切り替えたとき、電話を取り損ねたことが何度かありました。操作ミスで応答ができなかったのです(今もよくあります)。

また画面のフリック入力についても、改善の余地がある気がしてなりません。どうしてもミスタッチをしてしまうのです。とはいえ入力用のペンを使って丁寧に操作しようという気にもなれません。

そこで考えたのは、スマホのタッチスクリーンとガラケーのボタン操作を組み合わせたデバイスです。表がタッチスクリーンで、裏面が数字のボタンになっているというアイデアです。なかなかよい案だと思いませんか(笑)。

このように「使いづらい」と感じたら「どうすれば使いやすくなるか」を考えることで、ビジネス脳を鍛えることができます。

「新しいものは面倒くさい」などとネガティブに捉えるのではなく、少しでも改善策を考えること。そんな姿勢が、大事なのです。

※写真はイメージです

和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。

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