マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百五十一回 東洋水産「やきそば弁当」のオホーツクほたてバター醤油味」と「登別閻魔やきそば風」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百五十一回目となる今回は、東洋水産の北海道限定カップ焼そば「やきそば弁当 オホーツクほたてバター醤油味」と「やきそば弁当 登別閻魔やきそば風」を紹介します。
北海道民に愛される「やきそば弁当」、通称「やき弁」。
観光客のお土産としても重宝される人気商品で、多くのフレーバーやサイズを展開しながら、定期的に新フレーバーも投入されてます。
この連載では「やき弁」新商品が発売されるたびにご紹介しています。
オホーツクと登別の名物の味を再現
今回のやき弁は、北海道らしいフレーバー。
道東オホーツクの名物である「ほたて」を使った「ほたてバター醤油」と、温泉やクマ牧場でおなじみ登別のご当地麺「登別閻魔やきそば」の味を再現しています。
「やきそば弁当」といえば戻し湯で作る「スープ」が付いているのが大きな特徴ですが、今回の2品にもノーマル「やき弁」と同じく「中華スープ」が付属しています。
最近は北海道以外でも、アンテナショップや食品フェア等で「やきそば弁当」は手に入れられるようになっていますが、新フレーバーをすぐに手に入れるのは難しいようです。
「登別閻魔やきそば風」は限定商品なのでいずれ店頭から消えてしまうと思われますが、「オホーツクほたてバター醤油味」は新レギュラー商品なのでいずれ北海道外の店頭にも並ぶ機会があると思われます。
ちなみに、北海道のセブン-イレブンでは「やきそば弁当風焼きそばパン」という「頭痛が痛い」的なネーミングの商品も並んでいました。
筆者は正直、まったく「やき弁」らしさを感じませんでしたが、再現性も合わせて話のタネになりそうな商品です。
「やき弁」2品の内容物
さて、やき弁新商品に戻ります。
両商品とも別添袋は「液体ソース」「かやく」「ふりかけ+中華スープ」の3つ。3袋のうち「ふりかけ+中華スープ」は個装を見る限り両者共通のものが入っているようです。
また、別添袋の他に入っているのは麺のみでした。
どちらも先入れの「かやく」を麺の上に開けた状態。
「ほたてバター醤油味」はキャベツのみ、「閻魔やきそば風」にはキャベツの他に大豆挽肉が入っています。
また、「ほたてバター醤油味」は細めの麺なのに対し、「閻魔やきそば風」はやや太めの平打ち麺でした。
「やき弁」シリーズで平打ち麺は珍しいのではないかと思います。
「中華スープ」の粉末をカップに開けた状態。
やはり両者同じもののようで、おそらくノーマル「やき弁」とも同じだと思われます。
ホタテ香るやさしい味!「やきそば弁当 オホーツクほたてバター醤油味」
まずは「やきそば弁当 オホーツクほたてバター醤油味」。
新フレーバーですが、レギュラー商品として今後も継続して販売されていくようです。
北海道オホーツク地方は、紋別市を中心に漁業が盛んで、中でもほたては名物として有名。オホーツク産のほたてや牛乳を使った「オホーツクホワイトカレー」を名物として売り出しています。
ほたてバター焼きも地元料理として多くのお店で食べることができ、オホーツクならではのブリブリのほたてを堪能できます。
調理中に漂う香りがかなり凶暴なので、食べるつもりがなくてもついつい注文して食べてしまうんですよね。
それをやき弁で再現すると、どうなるのか?
ほたてバター醤油味のソースに中細で縮れのついた油揚げ麺と、白胡椒といりごまのふりかけ、そしてキャベツが合わせられています。
ソースはふわっとバターが香る醤油味で、オホーツク産のほたてエキスを使ったほたての味と香りがしっかり感じられます。
ほたて、バター、醤油のどの味もしっかり感じ取れる一方で、塩気が刺さらず全体的にかなりやさしい味。一般的に濃い味傾向の強いカップ焼そばとしては刺激がおとなしめです。
反面、付属の「中華スープ」は塩気が強めで、おそらく焼そばを食べてスープを飲むことで塩気が最適化されるように計算されていると思われます。
ちなみに、やさしい味は「やき弁」シリーズ全般の特徴だと言えます。それが、付属スープとの親和性ならびにマヨネーズやふりかけなど、オリジナルのアレンジがしやすいことにもつながっているのです。
麺は中細で縮れのついた油揚げ麺。おそらくノーマルの「やき弁」と同じタイプの麺だと思われます。
やや油揚げ麺特有の匂いが感じられますが、バターの風味がうまくその匂いを消しており、油揚げ麺がおとなしいソースの味を邪魔していません。
そのやさしい味のソースの中で、ふりかけに入っている白胡椒やのパンチやいりごまの香ばしさが味の輪郭を整えていますが、それほど目立つわけではありませんでした。
具はキャベツのみですが、量はまずまず。
ただ、ほたてを謳う商品ですが実際にほたてが入っているわけではないので注意が必要です。
まるで汁なし担々麺!「やきそば弁当 登別閻魔やきそば風」
続いては「やきそば弁当 登別閻魔やきそば風」。
登別市で供されているご当地焼そば「登別閻魔やきそば」の味が再現されています。これがカップ麺で再現されているのは、これまで見たことがありません。
「登別閻魔やきそば」は登別の観光地である「地獄谷」のイメージから作られたご当地焼そば。筆者はこの商品で初めて「登別閻魔やきそば」の存在を知りましたが、2015年から続くご当地麺のようです。
登別市内の20店以上で供されているんだとか。
やき弁では、ピリ辛で練りごまを効かせた味噌味のソースに、平打ちで縮れのついた太めの油揚げ麺と、白胡椒といりごまのふりかけ、大豆挽肉、キャベツが合わせられています。
こちらも戻し湯で作る「中華スープ」付き。
ソースは練りごまが濃い味噌味で、ピリ辛程度の辛味が効いています。
練りごまが強いので焼そばソースというよりは汁なし担々麺のよう。やさしい味が多い「やき弁」シリーズとしては濃い味です。
前述のとおり、他の「やき弁」シリーズではややおとなしいソースの塩気を、ちょっと塩辛い別添「中華スープ」や「コンソメスープ」が補うような役割を果たしていますが、今回に関してはソースが濃いため、スープの必要性はあまりないように感じました。
麺は平打ちで縮れのついた太めの油揚げ麺。
原材料を見ると「かんすい」が入っているので中華麺なのは間違いありませんが、カップうどんのような形状をしています。
麺は太めですがソースも濃いため、麺とソースのバランスは良好でした。
そしてこちらも同じように白胡椒といりごまの入ったふりかけが付いています。
練りごま主体のソースといりごまの相性が良く、よりいっそう汁なし担々麺感がありました。
具として入っているのは大豆挽肉とキャベツ。
キャベツだけではなく、大豆とはいえ挽肉を入れてくるあたり、やはり担々麺を意識しているのかもしれません。
ちなみに実際の「登別閻魔やきそば」では、登別もしくは登別周辺の産品をひとつ具として使用することが定義となっていますが、今回の具についてはそうではないようです。
なので「閻魔やきそば『味』」ではなく「閻魔やきそば『風』」なのでしょうか。
「やき弁」新味は北海道のご当地味紹介カップ麺
最近の「やき弁」新フレーバーは、北海道各地のご当地料理の味を再現したものが多くなっており、北海道に住んでいても知らなかったものも多いです。
今回の2品のうち「ほたてバター醤油」は北海道でもよく知られる存在ですが、「閻魔やきそば」はそれほど広くは知られていないのではないでしょうか。
「やき弁」は今後も面白そうなご当地料理を紹介してくれそうで、今から次の商品を期待してしまいます。