私は10年前に結婚し、夫の連れ子の母親になりました。苦労して育てたその継娘も成人式を迎え、今後は夫婦で過ごせると思っていたら……。成人式が終わった瞬間、娘からとあるメッセージが届いたのです。
突然の言葉にショック
ここ数カ月、多忙を極めてほとんど家に帰らなくなった夫。その代わりに、娘の成人式の用意は全部私がおこないました。この10年、血のつながりはなくても一生懸命育てた娘の晴れ舞台ですから、感慨もひとしおです。ところがその翌朝。友だちの家に行くと言って出て行った娘からメッセージが届きました。
「本当のママじゃないのに育ててくれてありがとう」
「もう出てっていいよ」
「そんな…」
「いいから早く!」
私には訳がわかりません。しかし娘からは有無を言わさずの言葉が続きました。「パパと別れてほしい。そして二度と家には戻らないで。私たちと他人に戻ってほしいの」
本心は?
私は一瞬、目を疑いました。あんなに尽くして育ててきた娘が、こんなふうに私を切り捨てるだなんて……。しかし、冷静に考えれば腑(ふ)に落ちません。私は娘に電話をかけました。
「あのね、私はあなたと血のつながりはないけれど、この10年ずっと一緒に暮らしてあなたのことを見てきたの。だからあなたが、人を傷つけるようなことはできないやさしい子だって知っている。出ていけなんて言うのも、何か理由があるんでしょ? よくわからないけど、あなたがそう言うなら従うわ」
その言葉に、娘は泣きだしました。
「ママ……。ひどいことを書いたのに、私のことを信じてくれるの?」
そして、少しずつ本当のことを話してくれたのです。
「……パパには浮気相手がいる。ママを悲しませたくなくて隠していたけれど……。早く別れないとママが搾取されちゃう……」
そう。以前から父親を疑っていた娘は、ためたお小遣いで探偵を雇い、父親のことを調べたのだとか。彼が不倫していることは間違いなく、証拠も山のように集まったそうです。
夫に裁きを!
その夜、私と娘はソファに並び、遅くに帰宅した夫に詰問したのです。「あなた、不倫しているのね」。
夫は仰天。目を白黒させたかと思うと、急に挙動不審になり、言い訳を並べ始めました。
「ムダよ、証拠はそろっているもの」
「この間、パパが真夜中にこっそり浮気相手と電話していたのを聞いたの。パパはママの財産を浮気相手と使い込むつもりだったよね。10年間、連れ子の私を育ててくれた人に、ひど過ぎる。成人式のお金もうちの生活費も、全部ママが出していたんだよ……。外で女を作って散財して、あんたなんて父親じゃない!」
「あなたの娘は、あなたと違って人の恩をあだで返すようなことはしない。私が金づるにされるのを黙って見ていられなくて、自分が悪者になってまで縁を切り、私を守ろうとしてくれたのよ」
こうして夫は、私と娘に見放され、当てにしていたお金の出どころがなくなって浮気相手とも喧嘩別れに。その後は仕事以外、引きこもり生活をしているそうです。一方の私は、元夫と浮気相手から受け取った慰謝料を運用しつつ、娘との同居生活を楽しんでいます。家族の裏切りに一緒に立ち向かい、乗り越えたことで、本当の母娘以上に強い絆で結ばれたと思っています。
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突然「出て行って」とは、恩知らずの継娘かと思いきや、実は育ての母を守るためのやさしいウソでした。そのウソを見破って娘を信じた母親もすてきですね。血のつながりがなくても、2人が素晴らしい信頼関係を築いてきたことがわかるのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班
ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室