計算問題の中には、一見難しそうに見えても、工夫次第でとても簡単に答えが出せる問題があります。
今回は、繰り下がりのある引き算を暗算するための工夫について考えてみましょう。
問題
次の計算を暗算でしなさい。
411−285
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「126」です。
頭の中で筆算をすることもできなくはないですが、繰り下がりの操作がややこしいため、計算ミスが発生しやすくなります。
そこで、次の「ポイント」で紹介する工夫を使ってみましょう。
ポイント
この問題のポイントは、「引く数を切りのよい数にすること」です。
285という数字は、どうして411から引きづらいのでしょうか。これは引く数の一の位と十の位が、引かれる数の一の位と十の位よりも大きいためです。
そこで、285に近く一の位と十の位が0である300を代わりに引いてみましょう。
411−285
→411−300←285の代わりに300を引く
=111
切りのよい300を引く形であれば、繰り下がりは全く発生しません。
ただし、411−285と411−300は違う式ですので、111をそのままこの問題の答えとするわけにはいきません。
そこで、285と300の違いを考えてみましょう。300は285よりも15多い数です。285の代わりに300を引くことは、元の式よりも15多く引きすぎているといえます。
よって、元の式の答えと一致させるためには、変換後の式に引きすぎた15を足してやればよいのです。
では、ここまでの考え方を式の上で表してみましょう。
411−285
=411−300+(300−285)
=111+15
=126
ポイントとなるのは、二行目です。285を300という切りのよい数に変換しつつ、+(300−285)で変換後の誤差を調整しています。
こうすることで、111+15という簡単な足し算をすれば答えが出るようになります。
まとめ
今回は、引く数を切りのよい数にして、暗算しやすい形を作り出しました。
引く数が切りのよい数(末尾が0の数)になれば、繰り下がりを回避できます。
ただし、引く数を切りのよい数に変換するだけでは、元の式とは答えが変わってしまいます。「変換後の引く数」と「変換前の引く数」の差を求めて足すことも忘れないようにしましょう(変換後の引く数>変換前の引く数の場合)。
この暗算方法は、引く数が切りのよい数に少し足りないときに特に有効です。他の引き算でも使えないか、ぜひ試してみてくださいね。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。