桁数の多い数の掛け算の計算を、筆算以外の方法で計算することはできますか。
この問題のように100に近い数字(99や101など)どうしの掛け算は、ある工夫をすることで簡単に答えを出すことができてしまいます。一緒に学んでいきましょう。
問題
次の計算をしなさい。
98×96
小学生の時に習った筆算を使えばできそうですが、頭の中で計算するのは結構大変そうですね。
ここでは、ある工夫をして筆算を使わずに計算していきます。
解説
答えは「9408」です。
では、どのような工夫をして計算しているのでしょうか。次のポイントにまとめましたので、ご確認お願い致します。
ポイント
この計算で使うのは「分配法則」です。この法則は掛け算を分けて配る法則のことです。
しかし、ここでは(多項式)×(多項式)の分配法則である「展開」という公式を使って変形していきます。これは中学三年生で習う範囲になります。
<展開の公式>
(a+b)(c+d)
=a×c+a×d+b×c+b×d
=ac+ad+bc+bd
この展開の公式が理解できても、この問題でどのように利用するか分かるでしょうか。
ここで考えるのは、98を100と2に、96を100と4に分けるということです。つまり、「98=100−2」「96=100−4」にするということです。このように変形すれば展開の公式を使うことができます。
これらの数を100を含む式にする理由は、計算が簡単になるからです。
98×96
=(100−2)×(100−4)
=100×100−4×100−2×100+(−2)×(−4)
=10000−400−200+8
=10000−600+8
=9400+8
=9408
計算途中で出てくる「(−2)×(−4)」ですが、負の数どうしの掛け算は正の数になることを合わせて確認しておきましょう。
変形する数字は問題によって変わってきますので、どうしたら計算が速くなるのかを考えてから変形しましょう。100や1000などのキリのいい数字が含まれるように変形するとうまくいきますね。
この問題のように多項式に同じ数(この問題では100)が含まれている場合は、展開の公式を以下のようにまとめることができます。
(a+b)(a+d)
=a×a+a×d+b×a+b×d
=a^2+(b+d)a+bd
※a^2はaの2乗を表しています。
この公式を使用することで、より計算が簡単になりそうですね! ぜひ活用してみましょう。
まとめ
何気ない筆算でも展開の公式を使うことで、簡単に計算できるようになります。
この公式はさまざまな計算を簡単にしてくれます。たくさん計算演習を積んで、いつでも使えるようにしましょう。
計算は、一問や二問だけしてもあまり意味がありません。計算こそたくさん演習を積んで、理解度を深めていくことがとても大事になってきます。類似問題にもぜひチャレンジしてみてください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。
あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):ニシケン
2年間、地方の学習塾に勤めて独立。現在はプロの家庭教師として働きながら、都内の難関私立中学や高校の予想問題や適性検査の執筆活動を行っている。どんな人が見てもわかりやすい解答解説作成を志す。
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