イギリスを代表するスパイ映画『007』シリーズを長年手がけてきたイーオン・プロダクションのマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリから、Amazon MGMスタジオにクリエイティブコントロール権が移ることになった。両者は2月20日（現地時間）、『007』シリーズの知的財産権を管理する新たな合弁会社を設立したと発表。今後はAmazon MGMがキャスティングなど、シリーズの製作に関して主導権を握ることになる。『スター・ウォーズ』シリーズのようにスピンオフ番組を製作するなど、多角的に展開される可能性もあるようだ。
今やスパイの代名詞となったジェームズ・ボンドの活躍を描く『007』シリーズは、1962年公開の『007／ドクター・ノオ』以来、ブロッコリの父アルバート・R・ブロッコリがハリー・サルツマンと立ち上げたイーオン・プロダクションによって60年以上にわたり製作されてきた。
Amazonは2021年に85億ドルを投じ、『007』シリーズの配給権を持つMGMを買収。『ヴァラエティ』によると、2021年に公開された『007／ノー・タイム・トゥ・ダイ』は大ヒットを記録し同社に利益をもたらしたが、クリエイティブ面で発言権がないことや、新作の発表に時間がかかっていることに不満を持っていたそうだ。『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、「アルゴリズム中心のAmazonには、ストーリーテリングと本能的直観を重視することで、神話的な成功を収めたこのキャラクターを託せない」とブロッコリが主張していると報道。イーオンとAmazonがシリーズの今後について「行き詰っている」と伝えていた。
ブロッコリは声明で、「これまでボンドを演じてきた並外れた才能を持つ4人の俳優、そして数千人にも及ぶ業界屈指のアーティストと身近で働けたことを誇りに思います」と表明。「『007／ノー・タイム・トゥ・ダイ』の成功と、マイケルのシリーズからの引退を受け、ほかのプロジェクトに移るときがきたと感じました」と述べている。84歳のウィルソンは今後、アートや慈善事業に専念すると発表。一方、Amazonのジェフ・ベゾス会長は契約締結を受け、X（旧ツイッター）に早くも「次のボンドに誰を選ぶ？」と投稿している。
Text: Tae Terai
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