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職場のわずらわしい人間関係から自由になれる…石橋を叩きすぎて壊すほどの心配性OLが起業を決めたワケ

  • 2025.2.26

「起業にチャレンジしてみたいが不安でできそうにない」という人はどうすればよいのか。強み発掘コンサルタントの土谷愛さんは「自分の中の『不安』や『恐怖』と向き合い、『うまくいかなかったとき』のシミュレーションを書き出してみるとよい」という――。

※本稿は、土谷愛『適職はどこにある? 夢なしOLの「転職・休職・副業・起業」実践ストーリー』(大和出版)の一部を再編集したものです。

副業の方が自分に合っている

平日の昼は会社で企画の仕事。夜や休日には副業で節約ブログを書く。

そんな二足のわらじ生活を続ける中で、しだいに「後者のほうが自分にはより合ってるのかもな」と感じるようになりました。

その理由は「人間関係」と「働き方」にあります。

最初に思ったのはやっぱり「人間関係」。

当時のわたしは転職先の人間関係に悩んでいました。

同じプロジェクトに割り当てられている以上、どうしても苦手な人とも、毎日関わっていかなければいけない。そのことで、本来の企画業務よりも「苦手なあの人の対応をどうするか」に自分の心や時間が割かれることにモヤモヤを感じていました。

※写真はイメージです
関わる人を自分で選ぶことができる

一方、副業のほうでは、人間関係のストレスはほとんどありません。

自分の裁量100%で始めた以上「関わる人を選ぶ権利」も自分にあるからです。

たとえば、ブログに読者がつき始めると、企業から「うちの商品をブログで紹介してくれませんか?」と依頼されることがたびたびありました。

新しくオープンしたカフェや居酒屋の感想を書いて報酬をもらえたり、企業が販売中の化粧品・ドライヤー・洋服などを無料でもらう代わりにブログで感想を書いたり、と内容はさまざま。

企業の担当者さんとやりとりする中で、ときにはモヤっとすることもあります。

「こちらの要望は一切無視で、ちょっと失礼な感じがするな……」
「細かく書いて欲しい感想を指定してくるけど、これって本当に読者さんにおすすめできる商品なのかな……?」

そんなときには「断る権利」が100%自分にあるのが、とても気が楽でした。

会社での人間関係は、自分の一存だけで変えることができず悩んでいたからこそ、「関わる人を自分で選ぶことができる」という働き方は魅力的でした。

毎日オフィスに出社していたOL時代

そして「働き方」も大きく違いました。

副業では、働く時間帯・長さ・休み・場所・格好、すべてが自分で決められたからです。

当時は毎日、始業時刻の9時にあわせて都心のオフィスへ出社していました。

しがない奨学金持ちOLゆえ、会社から自宅までは電車で30分ほど離れた距離。

息が苦しいほど激混みの電車に乗り込み、どうにか吊り革をつかんで倒れないように立ち、会社に着くころにはもはやフラフラになる。もちろん帰り道も満員電車です。

結局、往復で考えると毎日1時間ぎゅうぎゅう詰めの刑。週に5時間、月にすれば20時間もぎゅうぎゅう詰めの電車で過ごしていました。

出社時間を早めるにも、早起きが昔から大の苦手だったわたしは毎朝アラーム地獄。

スヌーズを20回くらい鳴らしながら「眠い……起きたくない……」と無理やり目を覚ます日々。

※写真はイメージです
「すべて自分で決める働き方」が心地よかった

一方、そんなわたしにとって副業での働き方は天国でした。

目がさえる夜中に作業しても、昼間パジャマでゴロゴロしながら作業してもいい。

ブログを早く書けるように自分で工夫すれば、作業時間もどんどん短縮できるからその日の気分や体調で、「今日はもう作業したくないなぁ」と思えば「午後は休みにしよう」と自分で決められる。

逆に、気分が乗ったときには好きなだけ仕事しまくりたい。そんなとき、誰にも「残業禁止!」と言われることなく、朝から深夜まで気が済むまでずっと没頭していられることもうれしかったです。

こんなふうに「働く時間」や「働く場所」を自分で選べることが、ずっと無理して会社の決まりに合わせていたわたしにとってたまらなく心地良かったのです。

時給で働く「アルバイト」や「会社員」の働き方しか知らなかったころには想像もつかなかった「すべて自分で決める働き方」を初めて経験し、わたしは大興奮でした。

「あ、これがいわゆる“起業”ってやつをしたときに選べる働き方なのか!」

「雇われる」以外の働き方を実際に体感したことで、「理想の未来」への道のりとして、それまで自分には絶対に無縁だと思っていた「起業」という選択肢が入りました。

自分にとって余計な負荷が少なく、楽しく働き続けられそうな働き方をする
→ゆとりがあるし、仕事が楽しいから「もっと頑張ろう」と努力できる
→スキルアップして収入が増え、稼いだお金で自分磨きもできる
→仕事や貯金などの目標を達成でき、そんな自分に自信もつく
→「目標の3大スキル:人間理解力・解釈力・思考力」も身につき、ずっとめざしてきた私に!(レベルアップした自分で素敵なパートナーとも結婚!)

……と、頭の中で「今よりも楽しみながら、理想の未来までつながるルート」がイメージできたのです。あとはそれを正解にできれば最高です。

不安を活かした「ネガティブ・シミュレーション」

とはいえ、もちろんこの時点では「起業して絶対にうまくいく」という自信も保証もまったくありません。

むしろ、もともと石橋を叩きすぎて壊すような心配性タイプ。

「もし会社を辞めちゃってうまくいかなかったら……」という不安から、なかなか勇気が出せませんでした。

それでもあきらめきれなかったわたしは、自分の中の「不安」や「恐怖」と向き合い、いっそ「うまくいかなかったとき」のシミュレーションを書き出してみることにしました。

Q:会社員を辞めるのにいちばん怖いのは?
……やっぱり、生活ができなくなること。安定した収入ではなくなるから。
→1年は収入ゼロでも暮らせるお金は貯めとこう(節約は慣れっこで良かった)!

Q:もし1年貯金を食いつぶしながら起業して稼げなかったら?
……とりあえず生活費分だけでもバイトするか、また会社員に戻るか。

Q:「やっぱり会社員に戻ろう」と思ったときに戻れるのかな?
……これはどうなんだろう。
20代で3社転々としてるし、1回「会社員」のレールから外れたら、今後「どうやっても入れない会社」が増えちゃうだろうし……。
→うーん、わからなくて不安なら、具体的に調べてみよう!

・転職サイトで「未経験可」「ブランクあり可」の求人情報を大量に見る
・「契約社員」「パート・バイト」「派遣社員」など、さまざまな雇用形態を知る
・非正規の雇用形態から正社員登用された事例もあると知り、経験談を読む

などなど、いろいろと調べていくうちに「自分がよく知らなかっただけで、世の中には意外と働く手段がたくさんあるんだな」とわかりました。

※写真はイメージです
理想の未来につながる道を進みたい

そもそもすっかり忘れていましたが、わたしの働いていた会社の中にも「1回会社辞めて起業したけど、また会社員に戻ってきました!」という人、いたんですよね。

たった一度「会社」という箱から飛び出すことで、仮に「入れない会社」が増えたとしても、「入れる会社」がゼロになるわけじゃない。

だったら、また頑張って何社も受けて、自分のことを丁寧に伝え続けて、いつかご縁をいただけた会社で必死に働いたらいい。そうして信頼を積み上げていけば、職場によっては「正社員」に戻るチャンスだってあるんだし。

べつにわたしが「正社員」や「大企業」にこだわりすぎなければ、「会社で働くカード」は人生から消えるわけじゃないんだ、と思えたら安心感がグッと増えました。

なにより、不安がるわたしの背中を押してくれたのは、会社の看板なしで自分にお金を払ってもらえた副業での小さな成功経験。

そして「理想の未来につながるこの道を進んでみたい」という素直な気持ちでした。

こうしてわたしは、1年分の生活費を貯めつつ、ちょうど会社で任されていた大きな仕事が一段落する絶好のタイミングで退職届を出したのでした。

経験を増やせば選択肢も増える

このエピソードからの1つの学びは、自分の中に1つでも「新しい経験」を増やしてみると「新しい選択肢」が自分の中に増えるということ。

わたしの場合、「小さな副業の経験」によって「起業」という選択肢が増えました。

それまでは「会社員」という働き方しか考えたこともなかった人生です。

「やったことがない」は、知らず知らず選択肢を狭めるんだな、と学びました。

メディアで頭の切れる社長たちを見て「起業=頭のいい人がするもの」と思い込んでいたのもあります。もし過去の自分に出会ったら「学校の勉強もロクにできなかった自分が起業⁉」とひっくりかえるくらい、自分には無縁な話だと思っていました。

そんな思考のブロックも、実際に違う働き方を経験してみたからこそ外れたのです。

※写真はイメージです
「調べる・見る・聞く」も有効

もちろん「やる」以外にも「調べる・見る・聞く」なども選択肢を増やす経験です。

・在宅で働きたいなら「自宅で稼いでいる人」のブログを探して読んでみる
・収入もやりがいも追求したいなら、憧れの上司をランチに誘って話を聞いたり、キャリア相談サービスを受けてみる
・子育てと仕事の両立が理想なら「子持ちの女性が活躍している会社」がないか転職サイトで情報を見てみる
・自分の可能性を広げたいなら、世の中の会社情報を集めた本や異業種の人が書いた本を読み、「こんな会社や仕事があるんだ」と新しい世界を覗いてみる

案外、自分が「そんな働き方は無理」と思い込んでいるだけで、本気で探せば、自分があきらめていた「理想の働き方」を実現している人はたくさんいたりします。

ちなみにもし会社員以外の働き方に興味がある人は、1日だけ有給を取って、平日の昼間にカフェやコワーキングスペース、高級ホテルのラウンジなどに実際に出かけてみるのも個人的にすごくいいと思います。

土谷愛『適職はどこにある? 夢なしOLの「転職・休職・副業・起業」実践ストーリー』(大和出版)

実際、わたしは起業してから、

「平日の昼間の街にも、スーツを着てない社会人って意外といるんだ!」
「カフェでパソコンを開いて仕事している人ってこんなにいるんだ……」
「リゾートホテルで海を見ながら仕事してる人もいるんだ……!」

など、これまで会社の中にいて見ることがなかった世界を目の当たりにして、「世の中、自由に働いてる人って意外と多いんだな」と心底驚いたものです。

いかに自分が「週5日オフィスに出勤して、朝から晩まで働くのが普通!」と思い込んでいただけだったのかを知りました。

こんなふうに、ちょっとした「やってみた」「聞いてみた」「調べてみた」経験が、きっとあなたの背中を強力に後押ししてくれるはずです。

土谷 愛(つちたに・あい)
強み発掘コンサルタント
社会人向け自己分析講座「アドバンテージゲーム」主宰。売上ビリの落ちこぼれ営業時代、ひょんなことから「自分の強み」を見つけて社内1位、最年少管理職に。退職後、「誰にでも輝く強みがある」という信念のもと、自己分析・強みの収益化・SNS発信などをテーマにオンライン講座を続々と開講。自分探しに迷う20~30代の会社員や主婦が口コミで集まり、総受講者500名超、公式メルマガの読者は累計7000名を突破。著書に『自分だけの強みが遊ぶように見つかる 適職の地図』(かんき出版)など。メディアにも多数出演。

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