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"安価&ヘルシー"で大人気だが学習能力や記憶力を低下させる…長寿専門の医師が危惧する油、絶賛する油

  • 2025.2.25

認知症は加齢や病気によって脳の働きが低下し、記憶力や判断力など認知機能が徐々に落ちて日常生活に支障をきたした状態。認知症の大半を占めるアルツハイマー病や、抗加齢・長寿研究の第一人者である医師の白澤卓二さんは「世界中の膨大な研究論文を読むとアルツハイマー病予防、脳の老化予防のカギになるのは食事だと確信した。その結果、毎日食べるといい食材がわかった」という――。(後編/全3回)

※本稿は、白澤卓二『Dr.白澤の実践メソッド 100寿をめざす認知症最新戦略』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。

※アルツハイマー病専門医の第一人者が毎日食べたい必須の食材1~3(前編)、4~6(中編)はこちら

7 毎日食べたい必須の食材「ボーンブロス」
タンパク質が豊富で消化・吸収しやすい

●鶏、牛、豚などの骨と香味野菜を煮込んだスープ
●長時間煮込むので骨から栄養が溶け出す
●消化・吸収する力が落ちている人におすすめ
●腸の粘膜の修復に役立つ

旨みと栄養が溶け出たスープ

ボーンブロスは骨からとるだしです。牛や豚、鶏などの骨と香味野菜を、鍋でコトコトと煮込んでできるスープのことです。

※写真はイメージです

長時間かけて煮込むので、骨から栄養が溶け出し、カルシウム、リン、マグネシウム、コラーゲン、アミノ酸(タンパク質が分解されたもの)が豊富に含まれています。

ボーンブロスのいいところは、消化・吸収されやすい点です。加齢とともに、腸で栄養を吸収する力は落ちるので、高齢者はしっかり食事をしているつもりでも、低栄養に陥っているケースがよくあります。ボーンブロスは消化機能が落ちた高齢者にぴったりです。

また、タンパク質やビタミン、ミネラルが豊富なボーンブロスは腸粘膜の修復を促します。腸の粘膜がダメージを受けて、バリア機能が低下している人にもおすすめです。

腸のバリア機能が低下すると、疲労感、下痢や便秘、じんましん、アトピー性皮膚炎、リーキーガット症候群など、さまざまな不調が起こります。ボーンブロスはこうした不調の改善にも役立ちます。

ボーンブロスは手作りできる

牛テール、スペアリブ、手羽先、手羽元など骨のついた肉と、ねぎ、しょうが、にんにく、セロリなどの香味野菜を鍋に入れて、アクを取り除きながら数時間煮込みます。粗熱が取れたらザルなどでこし、できたスープがボーンブロスです。

旨みが濃いので、塩などで味つけしてそのまま飲んでもいいですし、具材を加えてスープにしたり、カレーやシチューなどの煮込み料理に活用したりするのもおすすめです。

ボーンブロスのレシピはインターネットで紹介されていますし、レシピ本などもあるので、ぜひ手作りしてみてください。

8 毎日食べたい必須の食材「旬の野菜と果物」
植物はアンチエイジングに効く栄養素の宝庫

●旬のものほど栄養価が優れている(ハウス野菜より露地野菜)
●赤、黄、緑、白、紫、茶、黒の7色の野菜や果物をバランスよく取り入れよう
●複数の野菜を組み合わせるといい

色で選ぶとバランスがいい

老化や病気の予防には、旬の野菜や果物をしっかりとりましょう。

白澤卓二『Dr.白澤の実践メソッド 100寿をめざす認知症最新戦略』(主婦の友社)

野菜や果物の色や香り、苦み、辛みのもとになる、フィトケミカルと呼ばれる成分は、植物が紫外線や虫などから身を守るためにつくり出した成分です。

その種類は数百とも数千ともいわれ、ひとつの野菜や果物に複数のフィトケミカルが含まれています。フィトケミカルは強力な抗酸化作用があるものが多く、アンチエイジングの強い味方。健康維持や病気予防に役立つことがわかっています。

おすすめはその時季にとれる旬の野菜や果物です。旬の野菜は、ハウス栽培のものに比べて栄養価が優れていますし、価格も下がります。ただ、最近は1年を通して流通する野菜や果物がほとんど。どれを選べばいいのか悩むという人は、色で選びましょう。

レインボーフーズという考え方

フィトケミカルは、ひとつだけとるよりも複数を一緒にとったほうが、相互作用を発揮します。そこで、私が着目したのが、食材を赤、黄、緑、白、紫、茶、黒の7色のグループに分けて考えるレインボーフーズです。複数の色を取り入れることで、異なる成分を効果的にとることができますし、わかりやすいのも魅力です。次ページから紹介する7色の食材を積極的に活用しましょう。

ビタミンやフィトケミカルのなかには、加熱すると失われてしまうものもあります。

栄養素を効率よくとるのであれば、野菜や果物をミキサーにかけたスムージーがおすすめ。攪拌かくはんするので、飲みやすく、消化しやすいという利点もあります。

朝、食欲がないという人は、朝食をスムージーにしてみてはいかがでしょうか。

コラム【7色の食材を取り入れる】
●赤の食材

トマト、赤ピーマン、唐辛子、いちご、りんご、すいか、さくらんぼなど

トマトのリコピン、唐辛子のカプサイシン、赤パプリカのカプサンチンなど、強力な抗酸化作用を持つフィトケミカルが豊富に含まれています。特にトマトは「医者いらず」という言葉があるくらい栄養価が優れています。

●緑の食材

ブロッコリー、ほうれん草、青ねぎ、キャベツ、ピーマン、オクラ、アスパラガス、水菜、アボカド、キウイフルーツなど

緑色の野菜はフィトケミカルの宝庫。カロテン、抗酸化ビタミン、カリウムなどが豊富で、濃い緑色の野菜には抗酸化作用が強いクロロフィル(葉緑素)も。

●黄の食材

とうもろこし、かぼちゃ、にんじん、さつまいも、菊花、みかん、バナナなど

にんじんのだいだい色、かぼちゃやさつまいもの黄色は、色素成分のβ-カロテンです。強力な抗酸化力があり、体内で活性酸素を抑制して老化予防や病気予防に役立ちます。

●白の食材

玉ねぎ、長ねぎ、カリフラワー、大根、セロリ、白菜、じゃがいも、長いも、大豆、にんにく、なしなど

色はついていなくても栄養素の宝庫です。玉ねぎや長ねぎに含まれるイオウ化合物は動脈硬化予防に役立ちますし、カリフラワーやじゃがいもは抗酸化ビタミンが豊富。

●茶の食材

しいたけ、まいたけ、なめこ、ごぼう、しょうが、ごま、ナッツ、納豆、厚揚げ、みそなど

茶色の食材には、香りや味に特徴のあるものが目立ちます。こうしたクセのある味や香りの素がフィトケミカルです。食物繊維が豊富なものが多く、解毒にも役立ちます。

●紫の食材

紫キャベツ、ラディッシュ、紫玉ねぎ、ビーツ、なす、紫いも、小豆、ブルーベリー、ぶどう、いちじくなど

紫キャベツ、紫玉ねぎ、ぶどうやブルーベリーに含まれる紫の色素成分であるアントシアニンは、抗酸化作用が非常に強く、認知症予防に役立つという報告もあります。

●黒の食材

黒ごま、黒にんにく、黒豆、きくらげ、のり、昆布など

黒豆、黒にんにく、黒ごまなど、黒い食材はそうでない食材(豆・にんにく・白ごま)に比べポリフェノールの色素を多く含んでいます。健康長寿に役立つ食材ばかりで、漢方では滋養強壮のが強いとされています。

※写真はイメージです
9 毎日食べたい必須の食材「健康的な油」
調理油にはオリーブオイルを活用しよう

●油のなかには体内の炎症を促し、老化や病気を招くものもある
●老化予防、病気予防にはオリーブオイル
●認知機能の維持、改善にはココナッツオイル

油の種類が寿命を左右する

安価で健康的な調理油として消費量が多いキャノーラ油(サラダ油の原料の1種)ですが、学習能力や記憶力を低下させ、体重増加を招くことがマウスの実験で明らかになりました。さらに、日本で消費されているキャノーラ油の多くは、カナダ産の遺伝子組み換えされたキャノーラ種が使用されています。遺伝子組み換え作物の影響はまだよくわかっておらず、それも心配です。

脳を若々しく保ち、病気を予防したいのであれば、調理油にはエクストラバージンオリーブオイルをおすすめします。

※写真はイメージです
長寿の油オリーブオイル

和食とともに、生活習慣病や認知症を予防する食事として取り上げられるのが地中海食です。その効果は数々の研究報告によって証明されていますが、健康長寿に役立つ食材として、もっとも注目されているのがエクストラバージンオリーブオイルです。

老化を抑制するポリフェノールが豊富に含まれていて、認知機能を改善する効果があることも確認されています。

エクストラバージンオリーブオイルの有用な成分を、丸ごと得たいのであれば、ドレッシングなどにして加熱せずとりましょう。酸化しにくいので加熱調理するときの油としても活用できます。

脳にはココナッツオイル

脳を活性化させるにはココナッツオイルがおすすめです。日本ではあまりなじみがありませんでしたが、若年性アルツハイマー病がココナッツオイルをとることで改善したことが書籍で発表され、世界的に注目を集めました。ココナッツオイルも積極的にとりましょう。

白澤 卓二(しらさわ・たくじ)
白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長
医学博士。お茶の水健康長寿クリニック院長。白澤抗加齢医学研究所所長。テレビや雑誌、書籍などのわかりやすい健康解説が人気。『Dr.白澤の アルツハイマー革命 ボケた脳がよみがえる』(主婦の友社)、『脳の毒を出す食事』(ダイヤモンド社)、『「いつものパン」があなたを殺す』(訳・三笠書房)、『「お菓子中毒」を抜け出す方法』(祥伝社)など、著書・監修書多数。

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