キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、東京・PLAY! MUSEUMで開催中の『堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE』、東京ステーションギャラリーで開催中の『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』をピックアップします。
新しい雑誌、伸びやかな絵。 時代を切り開いた仕事の数々
東京、立川のPLAY! MUSEUMでは『堀内誠一展』が開催されている。堀内は『anan』や『BRUTUS』など雑誌のアートディレクターとしてビジュアル系雑誌の黄金時代を築いたデザイナー。両誌のほか、『POPEYE』や『クロワッサン』、『ESSE』など、私たちがよく目にする雑誌のロゴも堀内によるデザインだ。さらに堀内は「ぐるんぱのようちえん」「たろうのおでかけ」などの絵を描いた絵本作家でもある。
展覧会では、堀内の多様な世界を3つの章に分けて紹介する。最初のFASHIONでは堀内がアートディレクションした『anan』を大解剖。1971年刊行の創刊1周年記念号の全ページを30mの長さにわたって紹介し、ファッションや読み物ページを拡大して展示。続くFANTASYでは、高さ3mの巨大絵本のインスタレーションの中、「オズの魔法使い」など絵本の原画を楽しめる。最後のFUTUREでは、デザイナーや俳優など堀内を敬愛する約百名のお気に入りの堀内作品が並ぶ。絵本、地図、写真など、どんな作品に出合えるか? 会場で確かめよう。
東京ステーションギャラリーでは『宮脇綾子の芸術』展が開催中。宮脇は主婦として毎日のように目にする野菜や魚、花などをモチーフに、古い布でアプリケ、コラージュを制作。美しくデザイン性あふれる作品や資料、約1 50点が揃う。宮脇の造形世界に新たな光を当てその芸術性に迫る展覧会だ。
新春、見る者の心を明るく照らす伸びやかな表現の世界に触れてみたい。
『堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE』
『ぐるんぱのようちえん』(1965年)福音館書店 ©Seiichi Horiuchi
期間/開催中〜4月6日(日)
休館日/2/16(日)
住所/東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3棟 2F
会場/PLAY! MUSEUM
電話/042-518-9625
『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』
《ひなげし》1969年、豊田市美術館
期間/開催中〜3月16日(日)
休館日/月曜日(ただし2/24、3/10は開館)、2/25(火)
住所/東京都千代田区丸の内1-9-1
会場/東京ステーションギャラリー
電話/03-3212-2485
文=林綾野
※InRed2025年3月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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