友人Sの話です。息子の大学受験で起きた入学金の騒動についてお話しします。Sの家庭では家計を握っているのは夫、大きな支出をする際には必ず夫の許可を得なければなりませんでした。息子の受験で夫と衝突してしまい──?
滑り止め大学の入学金問題
息子は国立大学を第一希望としていましたが、念のため滑り止めに私立大学も受験。
私立大学の受験日程の方が早く、合否も先に出たので、浪人を避けたいと思ったSは夫に入学金の支払いを頼みました。
ところが、夫は「払わない!」 と冷たく即答。
「え? 落ちたらどうするの? みんな払ってるよ!」 Sは珍しく夫に逆らい説得しましたが、息子が
「あまり行きたくないかも」 と言ったことを理由に取り合ってはくれません。
生活費も最低限な夫
実は夫、確定申告が必要なほどの収入がありながら、生活費もギリギリ最低限しか渡しません。
世に言う経済モラハラ夫なのです。
Sは仕方なくアルバイトをして家計を補っていましたが、それを知っていても夫は家族にお金を使うことを極端に嫌がるのです。
「子供が心配じゃないの!?」 と声を荒げそうになるのを必死にこらえましたが、夫は冷たい態度を崩さず、話は平行線のまま。
何度か説得を試みたものの、全く相手にしてくれませんでした。
入学金期限と合格発表日の一致
大学進学がダメになるかもしれない……焦りと不安で胸がいっぱいになる中、Sは最後の希望を求めて受験要項を必死に読み込みました。
そして、私立大学の入学金納付期限と国立大学の合格発表日が同じ日だということに気づいたのです。
運命の合格発表
合格発表当日、Sは二つの学校の振込用紙を用意し、いつでも銀行に出発できるように準備を整えました。
電話が鳴るたびに心臓が高鳴り、息子からの連絡を待ち続ける緊張の時間が続きます。
そしてついに「合格したよ!」 と息子から待ちに待った一報が届きました。
Sは涙がこぼれそうになるのを堪えながら、用意した私立大学の振込用紙を静かに片づけました。
ようやく安堵し夫にも連絡したものの、勝ち誇ったような夫の態度にモヤモヤが消えません。
不必要な支出は抑えるべきではありますが、お金を払って買う安心感もあると思うのです。
「家族よりお金が大事なの?」──今回の件で、夫の冷たい価値観が改めて浮き彫りになった気がしてなりません。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。