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衣装チェンジは4、5回が当たり前? 目まぐるしく変わる、セレブたちのレッドカーペットルック

  • 2025.2.23

今月初め、最新主演映画『深い谷の間に』のプレスイベントのため、ニューヨーク市内を駆け回っていたアニャ・テイラー=ジョイ。ただでさえ多忙を極めているにもかかわらず、彼女はこの日だけで5着ものルックを披露。マックイーン(McQUEEN)シアリングコートからセリーヌCELINE)のスカートスーツロエベLOEWE)のトラペーズジャケットまで、イベントごとに異なるテイストの衣装へと次々チェンジした。

このように、作品のプロモーション活動を名目に、1日に何度も衣装替えをするセレブは彼女だけではない。最近ではブレイク・ライブリーシドニー・スウィーニーキキ・パーマーが出演作品のプレスツアー中に何着ものルックを纏い、グラミー賞ではドーチーチャペル・ローンが数時間のうちに複数の衣装を着用。今や授賞式やプレミアといったレッドカーペットイベントに、衣装チェンジは付きものなのだ。

1月16日、映画『One of Them Days(原題)』のプロモーションの一環として「レイト・ナイト・ウィズ・セス・マイヤーズ」に出演した際のキキ・パーマー。着用したのはジョン・ガリアーノのドレス。
Celebrity Sightings In New York City - January 16, 20251月16日、映画『One of Them Days(原題)』のプロモーションの一環として「レイト・ナイト・ウィズ・セス・マイヤーズ」に出演した際のキキ・パーマー。着用したのはジョン・ガリアーノのドレス。
1月16日、「ケリー・クラークソン・ショー」出演時のルック。
Celebrity Sightings In New York City - January 16, 20251月16日、「ケリー・クラークソン・ショー」出演時のルック。
1月15日、ドルチェ&ガッバーナのドレスで「グッド・モーニング・アメリカ」の収録現場に到着。
Celebrity Sightings In New York City - January 15, 20251月15日、ドルチェ&ガッバーナのドレスで「グッド・モーニング・アメリカ」の収録現場に到着。
1月15日、トークショー「Watch What Happens Live with Andy Cohen」の収録現場にて。身につけているのはエルメスのセットアップとケイトのコート。
Celebrity Sightings In New York City - January 15, 20251月15日、トークショー「Watch What Happens Live with Andy Cohen」の収録現場にて。身につけているのはエルメスのセットアップとケイトのコート。

セレブがイベントに合わせて衣装を替えるのは、今に始まったことではないが、最近はその頻度と回数が急増しているように思う。無論、背景には実務的な理由もあり、取材や収録を24時間という限られた時間で何本もこなさなければならないとなると、当然、1日のうちに着るコーデの数も増える。それに、それぞれの場面で違うルックを着用している方が夢がある。生放送でない限り、インタビューやトークショーがすべて同じ日に録られたものだと知りたい人はいないし、セレブたちが時間に追われて、現場から現場へと駆けずり回っている姿は、特に想像したくない。

第67回グラミー賞でのチャペル・ローン。纏っているのはトム ブラウンのガウン。
The 67th Annual Grammy Awards第67回グラミー賞でのチャペル・ローン。纏っているのはトム ブラウンのガウン。
レッドカーペットにはジャンポール・ゴルチエのドレスで登場。
67th Annual GRAMMY Awards - Arrivalsレッドカーペットにはジャンポール・ゴルチエのドレスで登場。
受賞スピーチの際に着用していたのは、アクネ ストゥディオズの1枚。
67th Annual GRAMMY Awards - Backstage受賞スピーチの際に着用していたのは、アクネ ストゥディオズの1枚。

その一方で、授賞式において衣装チェンジは一種のストーリーテリングになる。今年のグラミー賞で最優秀新人賞にノミネートされたドーチーとチャペル・ローンなどは、ファッションを最大限活用し、新人とは思えない存在感をアワードで放った。ステージ衣装のほかに、同賞を受賞したローンはジャンポール・ゴルチエJEAN PAUL GAULTIER)のクチュールガウンやトム ブラウンTHOM BROWNE)によるカスタムルックに身を包み、ドーチーはトム ブラウンによる4つのカスタム衣装をパフォーマンスでもレッドカーペットで着こなした。

だが、一夜だけで複数回も衣装を替えるのは、いささか多いように思える。彼女たちが着用するようなルックは製作にも調達にも多大な労力を要し、たった数分だけ日の目を見るにはあまりにももったいない。その上、ルックの数が多ければ多いほど、1着あたりのインパクトは薄れてしまう。

第67回グラミー賞でのドーチー。この日のルックはすべてトム ブラウンによるもの。
67th Annual GRAMMY Awards - Red Carpet第67回グラミー賞でのドーチー。この日のルックはすべてトム ブラウンによるもの。
受賞スピーチもカスタムのトム ブラウンのルックで。
67th GRAMMY Awards - Show受賞スピーチもカスタムのトム ブラウンのルックで。
受賞後はバブルスカートが印象的なピースにチェンジ。
67th GRAMMY Awards - Press Room受賞後はバブルスカートが印象的なピースにチェンジ。

しかし、これはファッション業界に限った現象ではない。現代社会は常に「新しさ」を求めていて、刺激に貪欲だ。だが、絶え間なく変化し続けることは、環境、労働力、そして時間の面でも無理がある。スタイリストやセレブへの負担を減らし、「量より質」を重んじたファッションを推進するためにも、1つのルックにおさめる方が賢明ではないのか。素晴らしいルックが1つあれば、十分人びとの心に残るのだから。

Text: Hannah Jackson Adaptation: Anzu Kawano

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