3年6300万ドル(約97億円)の大型契約でエンゼルスに加入した菊池雄星投手。昨年は、ブルージェイズからアストロズに移籍後、投手コーチからの助言でスライダーの比率を大きく増やしたことが功を奏し、10試合で5勝1敗、防御率2.77、WHIP0.93という素晴らしい成績を残した。
FA移籍の際は「優勝できるチームに行きたい」と語っていた中で、エンゼルスを選んだことには驚きの声もあがったものの、本人はチームに対して優勝できるポテンシャルを感じているようだ。
今季はローテーション1番手、エースとしての役割が求められる菊池は一体どこまで成績を伸ばせるのか? 米データサイト『Fangraphs』が算出した予想成績とともに紐解いていこう。
■変化球は高評価、スライダーが今年も生命線か
『Fangraphs』の成績予想システムSteamerによると、今季の菊池は31試合に登板、11勝10敗、防御率3.77、WHIP1.20とおおよそ例年通りの成績となることが予想されている。
MLB公式のデータサイト『Baseball savant』が掲載している投球データをもとにすると、菊池は打者の高めに4シームを投げ込み、決め球のカーブ、スライダーを低めに決めることで打者を打ち取るタイプ。Breaking Run Valueが「9」とかなりの高い数値となっており、変化球に対する評価が特に高い投手ということになる。
また、昨シーズンのK%は「28」と平均よりも高い。2023年の「25.9」よりも上向いていることからも、しっかりと空振りを奪えているということだろう。球種別の被打率をみると、4シーム「.274」、スライダー「.210」、カーブ「.264」、チェンジアップ「.194」となっており、アストロズ移籍後に駆使したスライダーに関してはやはり被打率が低く、今シーズンも決め球としての生命線となりそうだ。
一方、数値上の不安を上げるならハードヒット率が高いという点になるだろう。ハードヒット率「45%」という数値は、MLB全体で下位6%に位置する。また、Barrel%も「9.7」となっておりこちらも下位の部類に入る。
つまり、球を捉えられた場合にかなりの確率で速度の高い打球になっており、角度のついた打球になってしまうということだろう。スタットキャストが算出するパークファクターでは、本拠地エンゼルスタジアムはMLB全体で7番目に本塁打が出やすいという数値もある。昨シーズン被本塁打数が25と全体19番目に多い菊池にとっては課題となりそうだ。
伸び代のある若手も多くでてきたエンゼルスだが、ポストシーズン進出や優勝に向けてはまだまだベテランの活躍が必須。優勝請負人として、エース級の活躍ができるのか? 菊池の2024年シーズンに注目したい。