1. トップ
  2. 恋愛
  3. “繊細さん”【HSP】=“生きづらい” は間違い?なぜマイナスイメージが定着しているのか

“繊細さん”【HSP】=“生きづらい” は間違い?なぜマイナスイメージが定着しているのか

  • 2025.2.22

そもそもHSPってなに?

そもそもHSPってなに?

環境からあらゆる刺激を感じやすいことから、“繊細さん”と呼ばれるHSP。しかし、HSPという言葉が独り歩きし、さまざまなマイナスイメージが定着してしまいました。HSPはどのような性質なのか、HSPに対する誤解についてご紹介します。

HSPとは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字を取った略称であり、神経が細やかで感受性が強い性質を生まれ持つ人のことを指します。カリフォルニアの心理学者であるエイレン・アーロン博士が提唱した心理学的概念です。

心理学の研究において「環境感受性」と呼ばれる特性が相対的に高い人を、HSPと分類する場合があります。環境感受性とは、環境から受ける影響の程度を表す概念のこと。家庭環境(被養育経験)やライフイベントなど、これらから受けるポジティブおよびネガティブな知覚の個人差を、環境感受性という概念で示します。

心理学の分野では、相対的に環境感受性が高い人がHSPに分類され、“いい環境と悪い環境からよくも悪くも影響を受けやすい人”として認識されています。

HSPに対する誤解

日本でもWebメディアやSNS、本を通じてHSPという言葉が広く知られるようになりました。しかし、近年ではHSPに関するさまざまな情報が発信されるようになった影響で、誤解を生む不確かな情報も広がっています。

(1)HSP=生きづらい「HSPは感受性が高く、敏感だから生きづらい」というイメージがありますが、HSPだからといって生きづらいとは限らず、学術上では不正確な見方とされています。素因ストレス理論・二重リスク理論に基づく古い研究パラダイムでは、感受性の高さが脆弱性とみなされました。しかし、現在の環境感受性理論に基づく研究パラダイムでは、感受性=生きづらい・弱いという見方が偏ったものだとされています。ネガティブな経験から悪い影響を受けやすいと同時に、ポジティブな経験からいい影響を受けやすいのがHSPであるという見解が支持されています。

(2)HSPは病気だ HSPは環境感受性が高い人を表すカテゴリであり、病名として挙げられる疾患ではありません。「HSPは病気だから治すことができる」というのは誤った認識であり、HSPの診断や治療を謳うクリニックは、HSPを誤解していると言えるでしょう。

(3)「○○型HSP」Webに限らず本でも「内向型HSP」「外向型HSP」などの言葉を見かけます。しかし「○○型HSP」というカテゴリの研究はなく、根拠のない不確かな言葉です。

【まとめ】HSPは感受性の高い性質を表す名称であり、治療対象の疾患でも生きていく上でハンデになる気質でもありません。感受性が高いことにネガティブな印象を抱きがちですが、その分いい影響を受けやすいという特長も持ち合わせています。「自分はHSPかもしれない」と感じる人は、置かれている環境への向き合い方や自身のふるまい方次第で、ポジティブなパワーに変えられるはず。真偽が不確かなネットの情報に惑わされずに、HSPという気質を受け入れるマインドを持つこともいいかもしれません。

(夏木紬衣)

元記事で読む
の記事をもっとみる