教えてくれたのは……
大久保公裕先生
日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学大学院教授。日本アレルギー協会理事。花粉症、特に舌下免疫療法など、新しいアレルギー性鼻炎の治療法の研究・治療に当たり、花粉症の名医としてメディア出演も多数。著書に『クスリいらずで鼻はスカッとよくなる!』(扶桑社)ほか多数。
「鼻がつまって苦しい」「鼻水がたれて大変」役立つ対処法を専門家に聞いてみた!
鼻づまり対策:外出先なら……ペットボトルを脇にはさむ
脇の下に液体の入ったペットボトルをはさみ、脇の下から指3本分ほど下に圧力がかかるように脇でギュッとはさむ。ペットボトルがなければ、ボールなどの硬いものでもOK。
大久保公裕先生
リラックスしたときに高まる副交感神経が活性化していると、鼻の血管が広がって粘膜が腫れ、鼻づまりを起こしやすくなります。逆に交感神経が活発になると粘膜の腫れがおさまって、鼻の通りがよくなります。これを応用した鼻づまり解消法がペットボトルを脇にはさむことです。体の側面には交感神経のスイッチのような圧力のセンサーがあり、そこを圧迫すると反対側の交感神経が刺激され、鼻づまりが解消されます。ポイントは右鼻がつまっていたら左脇にペットボトルをはさむこと。両方鼻がつまっていても、必ず片側ずつ行いましょう。
鼻づまり対策:外出先なら……「鼻づまり改善のツボ」を押す
後頭部で髪の生え際の中央のくぼみから、左右にある太い筋肉の外側が『天柱』。そこに左右の親指を当て、あごを少し上げて頭全体を両手で押さえながら、親指で圧をかけていく。
大久保公裕先生
後頭部の髪の生え際にあるツボ『天柱』は、自律神経系に作用するツボのひとつです。鼻に細菌やウイルスが侵入すると、自律神経の血流コントロールが悪くなり、鼻の粘膜の炎症が起こって鼻づまりが起きやすくなります。そんなときは『天柱』を押して自律神経のバランスを整えると、鼻づまりの改善に。
鼻づまり対策:自宅にいるなら……「タマネギ深呼吸」を行う
タマネギを皮付きのまま適当な大きさに切ったらお皿にのせ、鼻に近づけて深呼吸をする。
大久保公裕先生
タマネギに含まれる硫化アリルには抗菌・殺菌作用があり、新陳代謝を促す効果があります。またタマネギの皮に含まれるケルセチンは、アレルギーの原因となるヒスタミンを抑制する成分です。そのため皮付きのタマネギの香りをかぐと、この2つの成分を体内にとり入れることができ、アレルギー性鼻炎による鼻づまりの改善に役立ちます。
鼻づまり対策:寝るときなら……上半身を高くする
マットレスを傾けたり、布団の上にクッションを置いたりして、上半身を高くして寝る。ただし、枕を高くして首が曲がった姿勢になってしまうと血栓症の原因になることもあるので、首だけが高くなった状態にならないように注意。
大久保公裕先生
横に寝たときに頭と体が同じ高さだと、鼻の粘膜の血流が悪くなり、鼻づまりを起こしやすくなります。鼻づまりが気になったら上半身を高くして寝ると、鼻の粘膜の血流がよくなり、鼻の空気が通りやすくなります。
アロマを活用したり有酸素運動をするのもおすすめ!
大久保公裕先生
有酸素運動や深呼吸を意識することも、鼻の粘膜の血流を促すことができるため、鼻づまりを改善するのに役立ちます。また、ユーカリやペパーミントなど鼻の症状緩和に役立つ天然精油をハンカチに1滴落として、香りを吸い込むことでも鼻づまり改善効果が期待できるでしょう。そして何より鼻うがいは鼻づまりのセルフケアの代表格です。鼻の中のほこり、ウイルス、花粉などを洗い流すことができるので、1度行うだけで鼻がスッキリします。ただし気持ちがいいからといってやり過ぎもNG。夜1回の鼻うがいがおすすめです。
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鼻がたれるなら……「優しく鼻をかむ」一択です!
大久保公裕先生
正しい鼻のかみ方は鼻の穴を片側ずつ押さえて、静かにかむことです。それでも出てこない鼻水は病院でとってもらう以外にありません。耳がツーンとするような強い鼻のかみ方をすると、耳がつまったような症状が出て、「滲出性中耳炎」など耳の病気を引き起こす原因になります。
そもそも、鼻づまり・鼻水が出るときってどんな状態?原因は?
鼻の中の異物を洗い流してくれるのが鼻水
大久保公裕先生
鼻粘膜にウイルスや花粉などの異物がくっつくと、それを洗い流そうとしてたくさんの粘液が分泌され、それが鼻水となって排出されます。
また、寒暖差などの反射でも鼻水は出ることがあります。温かいラーメンを食べると突然鼻水が出ることがありますが、これは胃が温まった反射で鼻の自律神経のバランスが崩れ、副交感神経が高まって起こる現象です。
鼻づまりは体の防御反応のひとつ
大久保公裕先生
鼻づまりは鼻の中の血管が拡張して、粘膜が腫れることで異物の侵入を防いでくれる体の防御反応のひとつです。ほかにも鼻の中にポリープができている、鼻中隔が曲がっているなどの原因があると、鼻づまりが起きやすくなります。
特に30~40代の女性鼻づまりの原因の多くは、鼻中隔湾曲症やアレルギー性鼻炎です。
鼻づまりが長引くとどんな影響がある?
大久保公裕先生
ウイルスは水分が多いところで増殖しやすい性質があります。たとえば、風邪のウイルスが入ってきたときに鼻粘膜に鼻水がたまってつまっていると、そこに風邪のウイルスが増殖して、風邪をくり返しやすくなるのです。
セルフケアをしても、鼻づまりや鼻水の症状が長引くようなら、耳鼻咽喉科で投薬をしてもらい、なるべく鼻の中にたまった水分を少なくしてもらいましょう。
鼻をすすり続けるとどんな影響がある?
大久保公裕先生
鼻と耳は密接につながっています。鼻をすするとそのたびに耳に圧がかかり、耳の中の空気圧を調整する「耳管」に負担がかかって、耳がつまった感じがしたり、聞こえが悪くなったりします。それを放っておくと「耳管狭窄症(じかんきょうさくしょう)※」など耳の病気に発展することも。
※耳がつまった感じや自分の声や呼吸がひびいて聞こえるといった症状がある
鼻づまりや鼻の不快感……。これってコロナの影響?
大久保公裕先生
コロナのウイルスが鼻粘膜に入って、炎症が長引く人が増えています。コロナが治っても鼻水が多い、粘膜が腫れて鼻づまりしやすい、鼻の中がひりひりしたり、乾燥したりするなどの鼻の不快感があれば炎症が長引いているサインです。病名がつくものではなくても、コロナの後遺症の症状のひとつと考えられるでしょう。長引く場合には、耳鼻咽喉科へ相談するのがおすすめです。
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撮影/当瀬真衣(TRIVAL) ヘアメイク/金澤美保(MAKEUPBOX) モデル/理沙(VOCEアンバサダー) 取材・文/山本美和