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「生きづらいなら病院へ」夫の不注意な行動に違和感…数カ月にわたる検査の結果、下された診断は

  • 2025.2.23

以前から物事の得意・不得意の差や、不注意な部分・衝動的な部分が目立っていた夫。私も一緒にチェックしてあげないと忘れ物も多く、時には普段しているはずの眼鏡を忘れて職場へ向かうほど。そんな夫について、私は「本人の気の持ちようが原因」だと思っていました。しかしある日、友人から「検査をしたら、自分は発達障害だった」という話を聞いたのです。

発達障害って何?

発達障害という病名は最近よく聞くものの、内容についてはまったく知りませんでした。なので、友人の話をきっかけにいろいろと調べてみることにしました。すると、まるで夫の説明書を読んでいるかのように、大体の事柄がピタリと夫に当てはまることにとても驚きました。

しかし、私から夫への伝え方によっては、夫の人格や尊厳を深く傷つけてしまうかもしれないと思い、どのように伝えようかとても迷っていました。

友人の力を借り、夫に伝えてみると…

そこで、失礼かもしれないけれどと前置きした上で、発達障害の話をしてくれた友人に、再度話を聞いてみることにしました。すると友人は快く「適切に認識され始めてからまだ日が浅い病気なので、きちんと診断・診察できる医師は限られている」ということや、「投薬である程度の症状は抑えることができるので、本人が生きづらさを感じているのであれば、すぐにでも伝えてあげたほうが良い」ということを教えてくれました。

友人の話を聞いた私は早速、夫に発達障害の説明と共に、「生きづらさを感じているのであれば病院を探して一緒に行こう」と提案してみました。すると夫も思うところがあったようで、すぐに病院探しが始まりました。

そして、自宅から車で片道2時間半ほどかかる場所にある、発達障害を専門に開院している精神科のクリニックを見つけました。決して近くはないものの、迷わずその病院を予約しました。友人にも予約した病院について共有したところ、「手厚そうな病院で良いと思うよ、ご主人にとって良い選択になると良いね」と温かい言葉をくれました。

発達障害専門の精神科クリニックへ

実際に行ってみると、私が従来抱いていた精神科のイメージとは違い、とてもきれいな静かで落ち着く空間であることに驚きました。また、診察を待つ人たちを見ても、明らかに言動が目立った人はいないように感じました。

検査は採血から始まり、カウンセリングや心理検査を数カ月にわたっておこないました。検査結果が出る日は、医師の許可を得た上で私も同席しました。まず検査結果の総括として、医師は夫のことを「得意なことと不得意なことの差が大きく、不注意さや衝動性が目立つ」とまとめていらっしゃいました。まるで長年一緒に過ごしてきたかのようで、本当に驚きました。そして下った診断名は、やはり「発達障害※」で自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)とのことでした。
※生まれつきの脳の特性が原因で、社会生活や仕事において困難を引き起こす状態を差す。主に以下の自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つに分類される。

同時に「発達障害は先天的なもので、後天的な病気ではないので、薬を飲んでも治ることはない」という説明を医師から聞きました。しかし夫は「少しでも生きづらさを軽減したい」という希望を医師に伝え、これから薬を飲みながら生活することを選択しました。

また、通院が長期間かつ定期的にあることから、会社にも伝えることにしました。私自身は正直、心の病気に対してはいろいろな考えがあるだろうから、会社に伝えることは慎重になったほうが良いと思っていました。でも、夫によると「クリエイティブな職場のためか、暖かく受け入れていただけた」とのことで、とても安心しました。

まとめ

薬を飲み始めた夫が、いきなり大きく変わることはないものの、少しずつ確実に良い方向に動いている実感があります。何よりもよかったことは、今回のことで夫が自己理解を深め、ポジティブな気持ちで苦手なことを対策し、改善しようと試みてくれている点です。

体の不調のときにかかる病院より、精神科の受診というのはハードルが高いものと感じます。しかし、家庭内で悩んでいたことも、医師に診ていただけたらすぐ解決に向かいました。体の不調と同様に、心の不調も、なかなか解決しない場合はすぐに医師に診ていただいたほうが良いことを今回の一件から学びました。

【町田先生からのアドバイス】
ADHDの方の場合、例えば椅子に座っていられる時間が短かったものが、薬を使用することで長く座れるようになることが期待されます。しかし、これは投薬だけでなく、生活環境を整える工夫を併せておこなうことで、より実感されやすくなります。

例えば、以下のような工夫が考えられます。
整理整頓:不要なものを処分し、机の上を整えることで、余計な刺激を減らす。
予定管理:手帳やスマホのカレンダーなど、管理ツールを1つに絞り、視覚的に予定を把握することで抜け漏れを防ぐ。
詳細なスケジュール作成:目的の場所へ行くという予定に対し、「10時に出発」「11時の電車に乗る」など具体的な手順を複数設定することで、取り掛かりの負担を軽減し、予定の管理をより確実にする。
また、抑うつ症状や自信喪失が見られる場合には、臨床心理士や公認心理師など専門家による認知行動療法などのカウンセリングを活用することも望ましいです。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害持ちの夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている。

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年12月)


監修者:臨床心理士 町田奈穂先生

臨床心理士、公認心理士。同志社大学大学院在学時より睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動をおこなう。修了後は学校やクリニックを経て、大阪カウンセリングセンターBellflowerを設立。現在は、臨床・研究活動に加え、インクルーシブな職場づくりをサポートする人事コンサルタントとして活動している。

ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室

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