1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 「健康的な食品は2倍以上お金がかかる」ことが英調査で発覚。この2年で価格差が急拡大、低所得者層の子どもの肥満率は2倍に。

「健康的な食品は2倍以上お金がかかる」ことが英調査で発覚。この2年で価格差が急拡大、低所得者層の子どもの肥満率は2倍に。

  • 2025.2.22

英国の慈善団体フード・ファウンデーションの新しい調査によると、健康的な食品の価格はジャンクフードの2倍の速さで高騰しており、低所得世帯で栄養価の高い食事をすることがますます困難になっている。イギリス版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

フード・ファウンデーションの報告書『The Broken Plate 2025』の主な調査結果

1月末に発表された同団体の調査報告書『The Broken Plate 2025』は、英国のフードシステムに影響を与えている傾向と、健康的でサステナブルな食品を誰もが購入できるようにするために必要なアクションをまとめたもの。注目すべき主な調査結果は以下の通り。

健康的な食品は、カロリーあたりの価格が不健康な食品の2倍以上で入手しにくい。

経済的に最も貧しい5分の1の国民は、可処分所得の45%を食費に充てないと、政府が推奨する健康的な食生活を送れない。子どものいる家庭では、この割合が70%にまで上昇する。

イングランドの飲食店の4分の1はファストフード店。最も貧しい地域では、この割合が約3分の1になる。

「健康的な食品」と「不健康な食品」の価格差はこの2年で急拡大

この報告書によると、英国では経済的な理由からまともな食品を買えない人が非常に多い。実際、現在の英国では1000キロカロリー分の健康的な食品(新鮮な野菜やフルーツなど)が8.80ポンド(約1600円)もするのに対し、1000キロカロリー分の加工食品(インスタント食品や加工肉など)は半分の4.30ポンド(約800円)で購入できる。

健康的な食品と不健康な食品の価格差は、この2年間で劇的に広がった。これは、不健康な食品の値上がり率が11%に抑えられている一方で、健康的な食品の値上がり率が21%と約2倍になっているから。

その結果、英国では何百万もの低所得世帯が必需品の節約を余儀なくされている状態。フード・ファウンデーションによると、食糧不足の家庭の60%はフルーツの摂取量を減らし、44%は野菜の摂取量を減らしている。

低所得者層の子が肥満になる確率は2倍に

専門家によると、英国のフードシステムはパブリックヘルスをしっかり支えられていない。同団体事務局長のアナ・テイラー氏は、この状況を「悲劇的な不均衡」と呼ぶ。

「残念ながら私たちの報告書は、英国のフードシステムが国民の大部分に対し、健康と成長に必要な基本的な栄養を届けられていないことを示しています」

この報告書によると、経済的に最も貧しい5分の1の国民は、可処分所得(自由に使える収入)の45%を食費に充てないと、政府が推奨する健康的な食生活を送れない。子どものいる家庭では、この割合が70%にまで上昇する。

この報告書は、すべての所得層で不健康な食事をしている子どもたちが増えていることも指摘している。貧しい家庭の子どもたちは裕福な家庭の子どもたちに比べて、野菜とフルーツの摂取量が20%少なく、肥満になる確率が約2倍。

「不健康な食品」ほど広告費をかけて宣伝されている

食品メーカーや小売業者が不健康な食品をプッシュするのも、この状況に追い打ちをかけている。今回の調査では、食品・飲料メーカーの広告費の3分の1以上(36%)がジャンクフード(お菓子、スナック、デザート、ソフトドリンク)に充てられており、野菜とフルーツに充てられるマーケティング費はわずか2%であることも分かった。

また、今回の報告書を見る限り、イングランドの飲食店の4分の1はファストフード店であり、経済的に最も貧しい地域では、この割合が3分の1になる。

英国政府は、不健康な食生活を是正するため、国レベルの食糧戦略を導入すると約束している。でも、この分野の活動家たちに言わせると、栄養価の高い食品を誰もが手頃な価格で入手できるようにするには、緊急のアクションが必要。さもないと、健康的な食品と不健康な食品の価格差がさらに広がり、今後何世代にもわたって食の不均衡が深刻化しかねない。

※この記事はイギリス版ウィメンズへルスからの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

Text: Alice Barraclough Translation: Ai Igamoto

元記事で読む
の記事をもっとみる