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パリス・ヒルトンの私物100点以上がチャリティセールへ。出品に込めた想いを本人に独占インタビュー

  • 2025.2.21

2002年、パリス・ヒルトンが21歳の誕生日パーティーで纏ったジュリアン・マクドナルドJULIEN MACDONALD)のミニドレスとラインストーンのチョーカーを合わせたルック。これは20年以上経った今もなお度々取り上げられるアイコニックなルックであり、ヒルトンがポップカルチャーファッションに与えたインパクトを物語るものだ。2000年代の彼女の装いが数多くのデザイナーやセレブリティ(ケンダル・ジェンナーは2016年に自身の21歳の誕生日パーティーで同じドレスを着用している)に絶大なインスピレーションを与え、Y2Kスタイルの再興に大きく貢献したことは言うまでもない。

Paris Hilton's 21st Birthday Party

中古ラグジュアリーファッションを扱うマーケットプレイスであるヴェスティエール・コレクティブ(VESTIAIRE COLLECTIVE)では、この時代に台頭したフェンディFENDI)の「バゲット」バッグなどの検索が増え続けているという。最近は2003年に発表されたルイ・ヴィトンLOUIS VUITTON)×村上隆コラボレーションバッグや、2001年のバレンシアガBALENCIAGA)「ル シティ」(新キャンペーンでは、ヒルトンをはじめタイラ・バンクス、ナターシャ・ポリーのパパラッチ写真にバッグがフォトショップ加工されている)の復刻版がリリースされるなど、2000年代のノスタルジックなスタイルの人気は未だ根強い。

その数100点以上。元祖Y2Kアイコン、パリス・ヒルトンの私物がチャリティセールへ

そんななか、ヴェスティエール・コレクティブは100点を超えるヒルトンの私物を集めたチャリティセールを2月19日(現地時間)に開催することになった。そのラインナップには、ルイ・ヴィトン×村上隆による「クリッシー」やジューシー クチュールJUICY COUTURE)のピンクトラックスーツミュウミュウMIU MIU)とヴェルサーチェ ジーンズ クチュールVERSACE JEANS COUTURE)のセットアップ、サイン入りのヴォン・ダッチ(VON DUCH)のダウンジャケットにジェレミー・スコットJEREMY SCOTT)×アディダスADIDAS)のスニーカーなど、元祖Y2Kスタイルを象徴するアイコニックなアイテムが一堂に揃う。価格は75ユーロからで、ファンはもちろんファッション愛好家にとっても貴重な機会となるに違いない。

ルイ・ヴィトン×村上隆「クリッシー」バッグ。
ルイ・ヴィトン×村上隆「クリッシー」バッグ。
サイン入りフォン・ダッチのダウンジャケット。
サイン入りフォン・ダッチのダウンジャケット。
ジューシークチュールのベルベットトラックスーツ。
ジューシークチュールのベルベットトラックスーツ。
ジェレミー・スコット×アディダスのスニーカー。
ジェレミー・スコット×アディダスのスニーカー。

売り上げはヒルトンが運営する非営利団体「11:11 Media Impact」に寄付

ヴェスティエール・コレクティブとのコラボレーションは重要な慈善活動の一環であり、売り上げの全額がヒルトンが運営する非営利団体「11:11 Media Impact」に寄付される。2020年にドキュメンタリー『This Is Paris』を発表して以来、彼女は自身の体験から子どもたちへの暴力に反対するキャンペーンを積極的に展開しており、昨夏は『Vanity Fair』に「声を持たない子どもたちの代弁者になるためにこの活動をしている」と語っている。チャリティセールで集まった資金は、自身も被害にあったロサンゼルスの山火事で家を失った人々に、一時的な宿泊施設や生活必需品を提供するために充てられるという。

ヴェスティエール・コレクティブが企画する「クローゼットセール」は2014年に始動して以来、エマ・ワトソンジェシカ・チャステインローラ・ダーンキム・カーダシアンといった著名人を迎え、サステナビリティと責任ある消費への意識向上を図るべくさまざまな慈善団体への寄付活動を行ってきた。社会・環境問題への取り組みでB Corp認証の認証を受けたこのプラットフォームは、長年サーキュラーファッションを提唱してきたヒルトンのビジョンに共感し、パートナーシップを結んだそうだ。

フランス版『VOGUE』はヒルトン本人との独占インタビューで彼女のファッション、慈善活動へのコミットメント、そして2025年の計画について話を聞くことができた。

──中古ラグジュアリーファッションに特化した初のマーケットプレイスであるヴェスティエール・コレクティブとのコラボレーションを決めた理由をお聞かせください。

ファッションは常に私の情熱だったし、ヴェスティエール・コレクティブはアイコニックなアイテムに第二の人生を与えてくれる理想的なプラットフォームです。すべてのアイテムは私自身のドレッシングルームとアーカイブにあったもので、ほかの人々が新しい思い出を作るのを見るのが待ちきれません。それに、このセールの収益金はすべて、世界中の子どもと女性のために活動する私の非営利団体「11:11 Media Impact」に寄付されます。私が大きな情熱を注ぐファッションと慈善活動の2つを組み合わせるまたとない機会。それってイケてるでしょ!(=「That's hot」は「シンプルライフ」での彼女の口癖として有名で、商標登録もしている)

ヴェルサーチェ ジーンズ クチュール。
ヴェルサーチェ ジーンズ クチュール。
ヴェルサーチェ ジーンズ クチュール。
ヴェルサーチェ ジーンズ クチュール。

──ファッションを愛する気持ちと、より責任ある消費活動の必要性をどのように両立させていますか?

ファッションは私の人生において重要な一部。自分を表現し、楽しむ手段でもあります。でも、意識ある消費をすることも大切だと信じているから、この企画には賛同できます。すてきなアイテムを使わずに置いておくのではなくて、ほかの誰かに楽しんでもらえるし、その収益がいい影響を生み出すのに役立つから。

──中古品やヴィンテージアイテムが、特に若い世代に支持されていることをどう思いますか?

新しい世代がY2Kスタイルを取り入れているのはすごくすてき。あの頃のルックをみんなが振り返っているのを見るのはすごく楽しいですね。私はファッションには周期性があることを学んだから、流行遅れになったアイテムでもとっておきたいんです。いつまた役に立つかわからないから。

Celebrities Out On The Town

──ご自身で集めているものはありますか?

昔からずっと香水が大好きなんです。香りは自己表現の手段であるだけでなく、思い出を作るものでもあるから、記憶を呼び起こしてくれるところも好きですね。何年にもわたって自分自身のフレグランスコレクションを開発し、築き上げてきました。この春には、記念すべき30作目もローンチします。一つひとつが私の人生のさまざまなステージを象徴しているし、私のフレグランスが世界中の多くの人たちのシグネチャーになっていることをとても誇りに思っています。

ミュウミュウのスタッズ付きレザージャケット。
ミュウミュウのスタッズ付きレザージャケット。
バルマンのメタリックパンツ。
バルマンのメタリックパンツ。

──今回のセールでは、あなたのスタイルを決定づけたアイテムの数々を出品されています。セレクトの基準は何だったのでしょうか?

2000年代のパーティーガール時代から今日のクラシックでタイムレスなルックまで、私のファッションの進化を反映したアイテムを出品したいと思いました。私のファンが気に入るアイテムを選ぼうと、自らクローゼットのなかを漁ったんですよ。アイコニックなアイテムを引っ張り出して、次にどんな人が着るのだろうと想像するのはすごく楽しくて、ノスタルジックな体験でした。

──セール品のなかでお気に入りはどれですか?

全部! 手放すのは辛かったけれど、新しい命が吹き込まれると思うとうれしい。本当に好きじゃなかったら選ばなかったから…… どれもアイコニックだと思う!

ジューシークチュールのラインストーン付きジョギングパンツ。
ジューシークチュールのラインストーン付きジョギングパンツ。
MCMのモノグラムサングラス。
MCMのモノグラムサングラス。

──ヴィンテージピースにはパーソナルなストーリーがありますよね。特に思い入れのあるアイテムはありますか?

2018年9月にニューヨークで開催されたダイヤモンド・ボールで、パメラ ローランドPAMELLA ROLAND)のフェザーとスパンコールのドレスを着たのですが、まさにプリンセス気分でした。ライトに照らされてキラキラと輝く様子はとにかく魔法のようだった。自分にぴったりだったから、レッドカーペットでは特に自信を持てたし、グラマラスだと感じたのを覚えています。このドレスを手にする人が、特別なイベントでこの感覚を味わえると思うとうれしいです!

2018年ニューヨークのダイヤモンド・ボールにて。パメラ・ロラーンドのフェザードレスを纏って。
Celebrity Sightings in New York City - September 13, 20182018年ニューヨークのダイヤモンド・ボールにて。パメラ・ロラーンドのフェザードレスを纏って。

──2000年代のあなたのスタイルがY2Kトレンドを形成したと言えます。セレブ自身がスタイリストであった時代、何にインスパイアされていましたか?

単純に、自分がハッピーになれるものを着ていましたね。ピンクやキラキラしたものが大好きでした。私はいつもファッションがどんな気持ちにしてくれるかを大切にしていて、なりたい自分を本当に反映しているルックを着ていました。このエネルギーこそが、Y2Kスタイルを伝説的なものにしたんだと思います。世界が私の意図を汲み取ってくれた気がする!

スキムスのドレス。
スキムスのドレス。
フォン・ダッチのトラックスーツ。
フォン・ダッチのトラックスーツ。

──メディアによるハラスメントが横行し、メンタルヘルスがあまり議論されなかった時代に、どうやって自分らしさを保つことができたのでしょうか?

決して簡単なことではありませんでした。当時のメディアは容赦なかったし、メンタルヘルスについて議論する機会もほとんどなかった。私は自分が経験した困難から身を守るために、キャラクターを演じることで対処していたんです。でも心の奥底では、自分が何者であるかきちんとわかっていました。強く、創造的で、根気のある女性。こういった信念と覚悟が私を前進させ、やがて自分の声を見つけることができました。心から私を愛し支えてくれる人たちや目標に意識を向けることが、世間からの注目を乗り越える助けとなりましたね。

今日、私がメンタルヘルスの啓蒙活動に深くコミットしているのは、真の支援があることによって人生がどれほど変わるかを身をもって知っているから。世界がようやくこういった重要話題に目を向け始めたことにとても感謝していますが、まだまだやるべきことはたくさん。私が運営する「11:11 Media Impact」では、メンタルヘルスケアへの理解や意識を向上させ、助けを必要とする人々がサポートにアクセスできるように、そして成長できるように全力を尽くしています。

──あなたは自身の10代の頃の体験から、子どもたちを施設内での虐待から守るために法改正を積極的に訴えていますよね。

私たちがこれまでに達成してきたことをすごく誇りに思っています。私たちはアメリカの10の州で10の法案を通してきましたが、これは1,300万人以上の子どもたち(の安全)に関わることです。12月には「Stop Institutional Child Abuse Act(施設内児童虐待防止法)」が議決され、バイデン元大統領によって署名されました。国会議事堂でこの法案が可決される瞬間を目にし、私のストーリーとコミットメントが役に立ったと知れて、私自身も救われました。

でも、私の仕事はここで終わりではありません。もっと多くの子どもたちを守るために、闘うことをやめるつもりはありませんから。このセールでの売上金は、私たちが変化を生み出し、世界中のサバイバーに声を与え続けるために役立ちます。みなさんからの支援に深く感謝しています。

アメリカ合衆国国会議事堂の前にて。議会では自らの体験を語り、「Stop Institutional Child Abuse Act(施設内児童虐待防止法)」の必要性を訴えた。
Paris Hilton On Capitol Hill To Urge Lawmakers To Pass The Stop Institutional Child Abuse Actアメリカ合衆国国会議事堂の前にて。議会では自らの体験を語り、「Stop Institutional Child Abuse Act(施設内児童虐待防止法)」の必要性を訴えた。

──ロサンゼルスでの壊滅的な山火事の後、あなたは困っている人々を助けるべく行動を起こしました。パサディナ・ヒューメイン・ソサエティの動物保護施設への寄付や、パートナーであるヒルトン・ホテルでの2万泊の宿泊を提供するなど、なぜこういった支援を行おうと決意したのですか?

私も、自分の家を失うことがどんなに辛いことか知っています(マリブにある彼女のビーチハウスも焼失している)。誰もたった一人でこんなことを経験する必要はありません。「11:11 Media Impact」を通じて、困っている家族や動物を支援できることに深く感謝しています。今日までに、私たちは150を超える家族に経済的支援を提供し、幼い子どもを持つ25以上の家族を長期的な宿泊施設に迎え入れました。私自身も動物を保護し、ソーシャルメディア上での私の活動を通じて家族とペットを再会させることもできました。同時に、長期的な復興支援のためにも動いているところです。私は家族の強さに心を動かされています。今後もこうした支援を続けていくつもりです。

──セカンドアルバムのリリースにリアリティ番組「シンプルライフ」の復活、そして議会での法案可決など、2024年はあなたにとって実り多き一年となりました。2025年の計画について教えてください。

これまで以上にエネルギーがみなぎっていますね。最高の一年になりそう。新しい音楽や「11:11 Media Impact」の画期的なイニシアチブなど、たくさんのエキサイティングなプロジェクトが控えています。毎日、好きなことができることにとても感謝しています。たくさんのことが待っているから、期待していてください。

Text: Thomas Delage Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.FR

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