「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」の46階にある屋内展望回廊SKY GALLERYでは、アートの才能をもつ知的障害者たちの知的財産を管理・紹介する「ヘラルボニー」の展示会が開催されています。期間は2025年3月31日まで。渋谷上空229mからの眺望とともに、誰もが驚き見入ってしまう異才のアートは見応え十分です。
ヘラルボニーが提案するアートの世界
スカイギャラリーに展示されているのは、厳選した原画約50点。この展示会のために描き下ろした作品も登場します。渋谷スカイの入場料で入館できますが、たいへん人気の施設のため前もって予約することをおすすめします。
▲立体的な展示もあります
天井から吊るされたタペストリーや床の敷物など、豊かな色彩や自由な発想は知的障害を持つ作家の特徴のひとつです。
▲立体的な動物たちの作品も並びます
▲鳥山シュウ 「ひろがる」
展示会を控え、渋谷スカイを訪れた鳥山シュウ氏は、その眺望からインスピレーションを得て東京の町の俯瞰図を制作。東京タワーや東京スカイツリーⓇ、渋谷の街のランドマークなどを細かく描き込みました。
▲鳥山シュウ 「東京」 <画像提供:ヘラルボニー>
同じく鳥山シュウ氏による「東京」は、雷門など浅草界隈を中心に上野のパンダや東京スカイツリーなどのランドマークが散りばめられています。街を行き交う江戸時代の人々も描かれ、まるで鳥山氏による “江戸・東京見物” を思わせる作品です。
▲高山凌賀 「吹雪の冬のパイソン」
独特のタッチで、動物たちを実物以上の存在感に描き上げる高山凌賀氏。多彩な色を使い分けながら、野生を感じる孤高の姿は、今にもこちらに突進してきそうな力強さに満ちています。
▲澁田大輔 「サバンナに生きる」
打って変わって、まるで共存しているかのようなサバンナの動物たち。その色の重なりは、渋谷スカイの眼下に広がる都市と、行き来する人々の流れを思わせます。
▲岩瀬俊一 「ふくろう」
色鉛筆や水彩顔料ペンを使ったカラー作品。高精細な描き込みと多彩な色使いで “ふくろう” を描きます。
▲「ふくろう」の驚くべき描き込みに、つい魅入ってしまいます
▲動画が流れるLEDディスプレー
大きなLEDディスプレーでには、展示会のために制作された作品を動画放映しています。
▲岩瀬俊一「くじらとサメ」や、 岩堀里美「とぶさかな」、佐藤皓平「恐竜時代」など
▲浅野春香 「ヒョウカ」
昨年開催された「HERALBONY Art Prize 2024」では28か国の国と地域から1,973点の作品が応募。グランプリを受賞したのは、統合失調症の浅野春香氏による「ヒョウカ」です。サンゴの研究者の父の影響で、米袋に隙間なく描かれているのはサンゴの産卵です。
▲絵に近づいて隅々まで見てみると
サンゴの産卵という海の豊かな営みを、驚くほどの細かな円のつながりで色彩豊かに描きあげています。
▲絵と共にSHIBUYA SKY 46階からの眺めを満喫
▲会場の一角にあるポップアップストア
スカーフやソックス、メッセージカードなど、持ち帰れるアートとしてお土産にもオススメです。
渋谷上空229mにある天望施設「SHIBUYA SKY(渋谷スカイ)」で開催中のヘラルボニーの企画展。今までわたしたちが知りえなかった知的障害者が描く世界に、ぜひ近づいて見てくださいね。<text&photo:湯川カオル子 予約・問:ヘラルボニー https://www.shibuya-scramble-square.com/sky/exhibition_heralbony/>