富士山はいいなぁ。堂々と立派な姿がいいし、そこに優雅な美しさも携えているのが更にいい。大昔からその姿に惚れこむ人は多く、今や海外からも多くの人が訪れる。力強く雄大で立派なさまは、どちらかと言えば「剛」。なだらかな稜線や、雪をまとった優美なさまは、どちらかといえば「柔」。二律背反するものを、富士山は見事に両立してしまっている。富士山みたいに、立派に美しく生きられたらなあ。いや、いきなり頂上は無理だから、まずは五合目あたりを目指そうか。
絵・文/水野 学
みずの・まなぶ/クリエイティブディレクター。〈good design company〉代表。著書に『センスは知識からはじまる』『世界観をつくる「感性×知性」の仕事術』(ともに朝日新聞出版)ほか。