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【水川かたまりさん映画初主演インタビュー】「映画の現場は、キッザニアに来たような感覚」

  • 2025.2.19

2021年の「キングオブコント」で歴代最高得点を記録し、第14代王者の称号を獲得。お笑いライブやレギュラーラジオ「空気階段の踊り場」も好評のお笑いコンビ・空気階段の水川かたまりさんが、映画『死に損なった男』で主演に挑戦。初めての経験を通じて得たものとは……?

自分の中にいろいろ溜め込んでしまう。そこは僕自身と同じ

お笑い芸人として高い評価を得る一方、俳優や脚本家としても活躍する空気階段の水川かたまりさん。2月21日公開の映画『死に損なった男』では、初の主演にチャレンジしています。

「今まで出させてもらったドラマは、基本的にワンシーンだけやってお疲れさまでした、みたいな感じだったので、撮影現場に朝から晩までいるっていうことがなかったんですよね。だから今回のようにずっと出ているのは不思議な感覚でした。映画の現場は知らないことだらけでしたし、芸人の自分が主演をやるとは思ってもいなかったので。『1か月半、映画の撮影現場を観てみよう』という社会科見学のようで、ただただ楽しかった。半分、キッザニアに来たような感覚です」

水川さんが演じているのは、お笑い芸人の構成作家、関谷一平。報われない人生に嫌気が差した一平は、駅のホームから飛び降りようと決意するものの、隣駅で人身事故が発生。死に損なった一平の前に、事故で亡くなった男性の幽霊が現れて、「娘につきまとう男を殺してほしい。さもなくば一生取り憑く」と脅迫してくる……というストーリーです。

「涙を流したり、アクションをしたり…とやることも多かったんですけど、あまり考えすぎるとプレッシャーになるので。とにかく他の演者さんやスタッフさんに迷惑をかけないように、というのを徹底してやっていました」

ネタを生み出す苦労や、芸人と構成作家、所属プロダクションの関係など、お笑いの裏側を描いたシーンにリアリティが生まれているのは、芸人である水川さんが演じているからこそ。そのハマリぶりは、試写を観た空気階段のファンからも「当て書きでは」との声が上がったほど。

「僕自身とかけ離れたキャラクターというわけではないですし、構成作家という職業も身近な存在なので、やりやすさはありましたね。一平は、『自分はこう思う』と人にはっきりぶつけられなくて、自分の中にいろいろ溜まっていって……という人だと思うんですけど、僕も自分が考えたコントとかじゃない限り、基本的に意見を伝えたりはしないので、コミュニケーションの取り方は似ているかもしれないですね。一平は構成作家という、なりたかった仕事に就いて、それでご飯が食べられる環境にいて。傍目から見ると羨ましい環境だと思うんですけど、それでも『この仕事の仕方は違うんじゃないか』『これは元々自分がやりたかったことなのか』と悶々と考えてしまう。そういうところは僕にもあるかもしれないです」

映画を経て、コントでの演技にも変化が

芸人として、コントのなかでもさまざまな設定や役柄を演じてきた水川さんですが、やはり映画やドラマで役を演じるのとは別ものだと話します。

「コントの場合は、その後に来るボケや笑いどころのための芝居だけど、映画では泣かせに行く、怖がらせる……などいろんな意図があって。ただ、この映画を撮ってからは、コントの芝居がちょっと変わった気がします。今までコントをやっているときは、映画ほど細かい表情までは気を配っていなかったけど、そういう部分まで意識するようになってきて。コントのときのお芝居のやり方が、ちょっと広がった気がします。(幽霊役の)正名僕蔵さんにも、撮影の待ち時間に『台詞ってどうやって覚えるんですか?』と聞いて。俳優さんはよく、自分の部分を空白にして他の人の台詞を読み上げたものをスマホの録音アプリに入れて、それを聞きながら練習すると教わったんです。そのやり方を取り入れたら、コントの台詞も劇的に覚えやすくなりましたね。撮影後の単独ライブも、ずっとそのやり方で覚えました」

俳優としても、芸人としても、新しい作品を生み出していくには日々のインプットも欠かせないもの。水川さん自身が映画を観るときは、映画通で知られる芸人、「ダンビラムーチョ」の原田フニャオさんに薦められた作品を選ぶことが多いそう。

「原田さんは世で面白いとされている映画のほとんどを観て、それが本当に面白かったかどうかを教えてくれるんです。だから原田さんが面白い、と太鼓判を押していたやつは間違いないですね。『ジョジョ・ラビット』(第二次世界大戦下のドイツを舞台にしたタイカ・ワイティティ監督作品)や韓国映画の『ハロー!? ゴースト』など、良かった作品はたくさんあります」

コントライブを中心に多忙な日々が続く中、プライベートでやりたいことは「自動車免許を取ること」。

「取ろうと思いつつずっと持ってなくて、チャイルドシートだけ買ってある……という状態で(水川さんは2024年に第一子が誕生)。でも教習所に通う時間がないので、一発試験で取ろう、とヒコロヒーさんと言ってるんです(笑)。何とか2025年中には免許を取って運転したいなと思っています」

PROFILE

水川かたまり(みずかわ・かたまり)
1990年生まれ、岡山県出身。慶應義塾大学中退。2012年、相方の鈴木もぐらとコンビ「空気階段」を結成。「キングオブコント」2021年優勝。俳優や声優としても活躍し、ドラマ『罠の戦争』『とりあえずカンパイしませんか?』『妻、小学生になる。』などの作品に出演。2022年にはドラマ『君のことだけ見ていたい』の脚本を手掛ける。2017年よりTBSラジオ「空気階段の踊り場」(毎週月曜日24:00~25:00放送)に出演中。

映画『死に損なった男』

空気階段の水川かたまりさんの映画初主演作。監督は長編映画デビュー作『メランコリック』で高い評価を得た田中征爾さん。お笑い芸人の構成作家・関谷一平(水川かたまり)は仕事に追われる日々に疲弊し、駅のホームに飛びこもうと決意する。しかし、隣の駅で人身事故が起き、死に損なってしまう。そんな一平の前に隣駅で亡くなった中年男性の幽霊が現れ、「娘に付きまとっている男を殺してほしい」と依頼してくるが……。

出演:水川かたまり 正名僕蔵 唐田えりか 喜矢武豊 堀未央奈 森岡龍 別府貴之 津田康平 山井祥子
監督・脚本:田中征爾
コント監修:板倉俊之
配給:クロックワークス
2025年2月21日(金)、全国公開

©2024 映画「死に損なった男」製作委員会
撮影/白井裕介 スタイリング/岩田沙帆 ヘアメイク/久保マリ子 取材・文/工藤花衣

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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