スカーレット・ヨハンソンが、彼女の許可なくAI生成された政治的メッセージが拡散されたことを受け、政府関係者に対しAI規制を求めた。彼女は『ピープル』を通じて出した声明にこう綴る。「残念ながら私は、AIの被害者として広く知られています。ですがその実、AIの脅威は我々一人ひとりに影響を及ぼしているのです。AIを巡り大波が押し寄せており、アメリカを除き、いくつかの先進国ではすでに責任ある対応を取っています。アメリカ政府が、AIによる火急の危機から国民全員を守る法律の制定に手をこまねいていることは、非常に恐ろしいことです」
2024年にも、自身の声を不正使用したとしてAI企業を糾弾していたスカーレットだが、このところ、ドレイクやスティーヴン・スピルバーグ、ジャック・ブラック、ミラ・クニス、レニー・クラヴィッツ、マーク・ザッカーバーグらユダヤ系セレブとともに、無断でAI生成された動画がネット上で拡散されている。この動画では、ユダヤの民謡が流れる中、中指を立てた手にダビデの星がデザインされ、「カニエ」とロゴの入ったTシャツを着た彼女たちの姿が次々映し出され、「もう十分だ。反ユダヤ主義に対する闘いに加わろう」というメッセージで終わる。カニエはグラミー賞で話題をさらった後、X(旧ツイッター)で反ユダヤ発言を繰り返したほか、鉤十字をデザインしたTシャツの広告を放映するなどしていた。
スカーレットは声明で、「家族や友人から、私の姿を不正使用し、反ユダヤ主義発言に反応するAI生成の動画が、オンライン上で注目を集めていることを知りました」と述べ、AIの脅威を改めて指摘。「私はユダヤ人女性であり、反ユダヤ主義をはじめ、いかなるヘイトスピーチも容認しません。しかし、AIによって増幅されたヘイトスピーチは、個人がその責任によって行うヘイトスピーチよりも、はるかに脅威となり得ることを確信しています。いかなるメッセージを含んだものであろうとも、AIの不正使用は糾弾せねばなりません。さもなくは、現実を見失うことになます」
そして「私はアメリカ政府に対し、AI使用の規制を定める法案の可決を最優先課題とすることを求めます。これは、人類全体の近い未来に対し多大な影響を及ぼす、党派を超えた問題です」と訴えている。
Text: Tae Terai
READ MORE