春の訪れを感じさせてくれる花といえば、チューリップやヒヤシンス(ヒアシンス)などの球根花! 本格的な春の到来はまだ少し先の話でも、フラワーショップには一足先にカラフルな春の花が並んでいます。明るいブルーのヒヤシンスで、爽やかな春のアレンジをお部屋に飾ってみませんか? フラワー&フォトスタイリストの海野美規さんが作るのは、キューブ型のガラスベースを使ったスタイリッシュなアレンジ。茎が曲がりやすいヒヤシンスをすっきり活ける一工夫もご紹介します。
青いヒヤシンス
今年は暖冬ではないとの予想に覚悟はしていましたが、思っていた以上に寒い冬となっています。早咲きで知られている河津桜の開花も、例年よりも遅くなっているようです。
我が家の庭では日本水仙の花の咲き出しも遅く、今のところは何本かちらほらと咲いているだけで、ちょっと寂しい感じです。でもその近くには、ヒヤシンスや黄水仙、ラッパスイセンなどの球根類の小さな芽が覗いていて、春の準備をしているようです。
フラワーショップでは、チューリップやスイートピーの花が色鮮やかに並んでいます。こちらは一足早く、春らしい景色です。
そんなフラワーショップの店先で、とても綺麗な青いヒヤシンスに惹かれました。今月は青いヒヤシンスのアレンジをしてみましょう!
ヒヤシンスの特徴とおすすめの活け方
ヒヤシンスは花の部分が大きめ。そして茎はやや柔らかめ。満開になると茎が伸び、またぐにゃりと曲がってしまいがちです。アレンジするのには、少し扱いが難しいかもしれません。
そこでおすすめなのは、スッと垂直に花を活ける方法です。少ない本数の花でもまっすぐに立たせるための工夫と一緒にご紹介します。
スクエアのフラワーベースに
今回のフラワーベースには、スクエアのガラスのベースを選びました。茎の部分も見せることができる花器がいいですね。
スクエアのガラスベースは、底のほうが細くなっているものやキューブ型のものがありますが、キューブ型の正方形のタイプがスタイリッシュに見えるかなと思います。人気の形なのでサイズバリエーションもいろいろ。透明のものや色付きのものなどもあります。
私は、10cm角の透明のベースをよく使います。
アレンジに用意するもの
- ヒヤシンス
- チューリップ
- チューリップの葉
- カラーの麻紐
アレンジの手順
1.ガラスのベースに水を入れます。水の量は、底から3〜4cmの浅水にします。
2.ヒヤシンスとチューリップをまっすぐに重ねて、花束にします。花茎をスパイラルに組まないのがポイント。
3.花束にチューリップの葉、ヒヤシンスの葉も入れます。ヒヤシンスの花の重さに負けないように、茎のほうもボリュームアップさせましょう。
4.束にしたヒヤシンスとチューリップの茎に、チューリップの葉を添わせ、外側に曲げて輪にします。その際、折り目はつけずふんわりと曲げるのがポイント。
5.ヒヤシンスの茎と葉を一緒に、別のチューリップの葉で巻きます。
6.カラーの麻紐を3〜4周巻きます。あまりぎゅっと巻きつけず、葉が抜けない程度にゆったりと巻いてください。
7.ガラスのベースに垂直に入れます。
出来上がり!
モグラかネズミか
庭に植えた球根のうち、スイセンとムスカリ以外のチューリップ、ヒヤシンス、ユリなどは、年々少なくなってしまいます。ちゃんと掘り起こせばよいのですが、そのままにしておくので仕方ないのかもしれません。
それでも、ヒヤシンスやクロッカスなど、いつも場所にいつもの花が咲くと、とても嬉しくて、久しぶりに旧友にあったような気分になります。ヒヤシンスは、年々花のつき具合が減り、かなり間引きされたような花姿になって咲くので、だいぶ寂しい感じでなんだか共感……。
球根類の中でも、特にユリの球根は早々に姿を消してしまいます。今まで、それはきっとモグラの仕業ではないかと、これまで家族で話していました。なにしろ、我が家の庭はあちらこちらにモグラの穴がボコボコと盛り上がっている状態で、地中はモグラの坑道だらけのことでしょう。ところが、モグラは肉食動物で、地中にいるミミズや虫などを食べるけれど、球根などは食べないのだそうです。調べてみると、どうも地中を荒らす犯人は、モグラが作ったトンネルを使って生活をしているネズミらしいと分かりました。ネズミは雑食なので、球根や野菜も食べるようです。
スイセンの球根には毒があることは、モグラもネズミもよく理解しているようで、スイセンだけは、年を追うにつれて増えています。
モグラは自分のトンネルを利用され、そのうえ球根泥棒の濡れ衣を着せられて、ちょっと気の毒ですね。
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -
うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。