友人Sの話です。Sの夫の会社では一年に一度長期休暇をとれる制度があります。大抵は皆家族との時間に充てるのですが───
変わらない生活スタイル
Sの夫は自分の欲求を最優先にする人です。
趣味はスポーツ観戦。
高校野球からプロ野球、アメリカンフットボールまで、転勤先で行われる大きな試合は必ず観戦していました。
もう一つの趣味は買い物。
家のクローゼットは夫の洋服でいっぱいに。
しかも、それらを着ているところはほとんど見たことがなく、タグが付いたままの洋服もたくさんあるのです。
一人で出かける休日
S家族は転勤族で社宅住まいでした。
休日になると、他の住人たちが家族と出かける中、夫は家族を置いて一人でアウトレットに行ったり、スポーツ観戦に出かけたりしていました。
長期休暇も同じで、皆が家族旅行を計画しているなか、夫は休暇の予定を家族には知らせず。
数日前になって突然
「ちょっと高校野球を観に甲子園に行ってくるから」
と出かけるのです。
数少ない家族の思い出
夫婦二人の時や子供が小さかった時は、夫が趣味を楽しむことを理解しようと努めていましたが、子供が成長しても、夫のスタイルは変わりませんでした。
家族でテーマパークに行ったこともなければ、旅行で楽しい思い出を作った経験もありません。
たまに夫が誘ってくれて出かけることになっても、行き先はほぼ【アウトレット】。
夫と過ごす休日を楽しみにしていましたが、施設内では別行動で、Sは子供達と買い物をし、夫は一人で自分の買い物を行うスタイル。
待ち合わせ場所に両手いっぱいのショッピングバッグを下げ満足そうに現れる夫の姿に、子供達も不満を感じていたのでしょう。
何度も繰り返される光景に深いため息をつく彼らの姿を見て、Sは心が痛みました。
取り戻せない家族の時間
この状況が十数年も続くうちに子供達もすっかり慣れてしまい、もう期待もしなくなったようでした。
成人してそれぞれに暮らしている中、夫はさみしくなったのか今更
「みんなでどこかに行こうか?」
と誘うようになりました。
しかし、子供達から返ってくる返事は
「別にいいよ、予定あるし、大丈夫」
という冷たい返事ばかり。
大人になった子供達に相手にされない現実を、夫がどう考えているのかわかりません。
【今まで家族を顧みなかったつけが回ってきた!】と冷めた気持ちで夫を見てしまうSなのでした。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。