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冬から春は火災が起こりやすい時期!その理由や備えるポイントを解説

  • 2025.3.6

画像:PIXTA

冬と春は、1年の中でも特に火災が起こりやすい季節です。

季節によって火災の起こりやすさが異なるのは、気象条件も大きく関係しています。
火災防災を考えるうえで、「どのような気象条件の時に火災が起こりやすくなるのか」「火災に備えるためには何が必要なのか」を知っておくことも大切です。

この記事では、冬から春にかけて火災が起こりやすい理由や備えるポイントを解説します。

月別の火災発生件数

以下は2021年と2022年における月別の建物火災件数です。

出典:消防庁「令和4年版消防白書」

出典:消防庁「令和5年版消防白書」

グラフから分かるように、1年を通して冬から春(特に12月から4月)にかけての火災件数が多くなっています。

冬に火災が起こりやすい理由

冬に火災が起こりやすい理由は主に以下の3つです。

・暖房器具を使用する機会が増えるため
・冬の強い季節風
・シベリア高気圧によって太平洋側で空気が乾燥しやすいため

冬に火災が起こりやすい原因の一つとして、石油ストーブやヒーターなどの暖房器具を使用する機会が増えることが挙げられます。

さらに冬は、シベリア高気圧から吹き出す乾燥した季節風が、日本海で一度水分を含んだ後、山脈にぶつかって雪や雨を降らせます。風下となる太平洋側では再び乾いた風になる
ため、冬は特に日本海側よりも太平洋側で乾燥しやすくなるのです。

空気が乾燥すると建物や家具に含まれる水分量も少なくなるため、引火して火事が発生しやすくなります。また、冬は北寄りの季節風が強く吹くため、小さな火種でも燃え広がりやすい特徴があります。

ちなみに、夏の蒸し暑さをもたらす太平洋高気圧は海上で作られるため、空気中に多く水分を含んでいて空気が湿っています。

春に火災が起こりやすい理由

春に火災が起こりやすい理由は主に以下の2つです。

・移動性高気圧による空気の乾燥
・フェーン現象による空気の乾燥と強い南風

春に火災が起こりやすいのは、大陸で生まれて、西から東へ移動する「移動性高気圧」が一つの原因です。移動性高気圧は大陸で発生するため、空気が比較的乾燥しています。

一方、フェーン現象は、太平洋で発生した水分を多く含んだ空気が、日本海側に向けて進む途中で日本列島の山地にぶつかって太平洋側で雨を降らせ、高温で乾燥した空気が山を越えて吹き下ろすことで起こります。

画像:フェーン現象模式図(筆者作成)

このフェーン現象によって火災が拡大する場合もあります。

1952年に発生した鳥取大火、1961年に発生した三陸フェーン大火、2016年に発生した糸魚川市の火災などの大規模火災では、フェーン現象によって火災が拡大しました。

火災原因のトップは「たばこ」

以下の表は、平成29年(2017年)から令和4年(2022年)における火災の主な出火原因です。

出典:消防庁「令和5年版消防白書」

この期間中の出火原因は、いずれもたばこが1位です。喫煙者数は減少傾向にあるものの、依然としてたばこが原因の火災は多く発生しています。

たばこで火事になる要因は、喫煙後の吸い殻を、消火が不十分な状態でゴミ箱に捨てたり、たばこの火種が布団や畳などに落下したりして出火するケースがほとんどです。

また、近年は電気機器における火災の件数が増加傾向にあります。これは家庭内で使用している電化製品の増加や多様化、経年劣化などが一因と考えられています。

火災を防ぐポイント

火災を防ぐためにも以下のポイントをチェックしましょう。

・コンロの周辺に燃えやすいものを置かない
・古いコンロは安全装置がついた新しいコンロへの買い替えを検討する
・コンセントのホコリを定期的に取り除く
・普段使わないコンセントは抜いておく
・電気器具は正しく使用し、タコ足配線はしない
・寝たばこをしない
・ストーブの周りに燃えやすいものを置かない
・火が燃え広がらないように部屋を整理整頓する
・寝具類やカーテンなどは防炎品にする
・住宅用火災警報器をすべての居室、台所、階段に設置する
・家庭用消火器を設置する

火災の多くは事前に注意することで防ぐことができます。

また、夏や秋は冬や春に比べると火災件数は少ないものの、それでも年間に1,000件以上の建物火災が発生しています。火災が発生しにくい季節だからと油断せず、自分や家族の命や大切な財産を守るためにも火災予防に努めましょう。

冬から春の火災は気象情報もチェック

冬から春の火災は気象条件によって起こりやすさが変わるため、火災予防のためにも気象情報をこまかくチェックしましょう。

特に以下の注意報・警報が発令されている場合は、いつも以上に火災が広がりやすくなっているため注意が必要です。

・乾燥注意報
・強風注意報
・風雪注意報
・暴風警報
・暴風雪警報

気象情報やニュースで「フェーン現象」「空気の乾燥」という言葉を見聞きした場合も要注意です。

また、火災が起こりやすい気象状況になった場合に、市町村が火災警報を発令する場合があります。火災警報が発令されると、サイレンや巡回広報、メールサービスによって通知があります。

火災警報が発令されると、市町村の条例により山林や原野などにおける火入れや、屋外でのたき火など、火の使用を制限されることがあります。地域ごとの火の取り扱いルールを守り、火災の発生を防ぎましょう。

〈執筆者プロフィル〉
田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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