結婚記念日に、背伸びして予約した高級鮨店の店員に横柄な態度を取られてしまったB子夫婦。沈んだ気持ちでいたのですが、これがきっかけで出会った紳士の言葉に、感銘を受けたそうです。それはどんな言葉だったのでしょうか。尊敬する先人に倣い、素敵に歳を重ねていきたいですね。
普段行けない、高級鮨店へ
私たち夫婦の、3回目の結婚記念日の話です。
特別な日だからと夫が予約してくれたのは、普段行くことのないような高級鮨店。
少し緊張しながらも、ワクワクしながら暖簾をくぐりました。
せっかくの記念日なのに、、、
しかし、入店するやいなや、私はすぐにいたたまれない気持ちになってしまいました。
注文を受けてくださる店員が、明らかに私たちにだけ、横柄な態度をとっているように思えたからです。
その方は、まるでこちらを値踏みするかのような目で見たかと思うと、鼻で笑うような表情を見せました。
私たちが、周りのお客様より若く見えるから?
身なりには気をつけたつもりでしたが、やはり場違いだったのでしょうか。
特別な日になるはずだったのに、胸が締め付けられるような思いで、涙が出そうになってしまいました。
夫の表情にも戸惑いが見えます。
せっかくの記念日、こんな思いをしなければいけないなんて―—。
素敵な紳士
そのときです。渋く、重厚な声が店内に響きました。
「若いお客様を大切にしないで、どうするんですか」
振り返ると、常連らしき紳士が、毅然とした態度で例の店員に語りかけていました。
「お店側も、我々お客も、互いを尊重し合って、美味しく幸せな時間を共有したいものです。せっかくの旨い鮨なのに、もったいないとは思いませんか」
紳士の言葉を聞いた大将は、はっと気づいたような表情で私たちに深々と謝罪してくださり、店員もそれに続きました。
私たち夫婦はすっかり恐縮してしまったのですが、それを見ると紳士は、なんとお酒を振舞ってくださいました。
「お若い方々が高級店に足を運んでくださるのは、とても素晴らしいことですよ。これに懲りずに、これからも素敵なお店で食事を楽しんでください。きっとまたご一緒できるのを楽しみにしていますよ」
これから、夫婦ともに
もう高い店なんか来ない――。
そんな気持ちになっていたのですが、この紳士の優しさに、私は心打たれました。
少し背伸びしてみて、痛い目を見ながらでも、こんな素敵な大人になれたらいいな。
良い場所や人に、見合う自分になってみたい。
そう、前向きに感じることができました。
私たち夫婦は、世間から見たらまだまだ未熟なのでしょう。
しかし、ともに手を取り、様々な経験を重ねながら、将来、素敵な紳士淑女になれたらいいねと話しています。
【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。