息子は、私と夫の希望で生後半年から英会話教室に通っています。まだ日本語の意味もはっきりとは理解できない月齢なので、授業には親も同席して一緒に英語を学ぶスタイル。その英会話教室で、以前同じクラスだったあるママが、息子の顔を見てさらりと放った言葉。そのひと言を、私はどうしても受け流すことができませんでした。
親しい仲でもないのに息子の顔を笑われた
そのママとは授業の前後にあいさつを交わす程度の間柄。しかし、私の代わりに夫が授業に参加した日、そのママが「△△さん(わが家の姓)ですよね!」と夫に話しかけてきたことがあったそう。近しい仲ではないものの、以前に夫と同じ会社に勤務していた知人であることが判明したのです。
そしてある日、授業に参加したときのこと。息子が特に理由もなく、そのママのほうに近づいていったことがあったのです。人懐っこい息子は、トレードマークの大きな口を開けてにっこり。するとママは「あら、おもしろい顔してるわね!」と意外な反応でした。
息子はふざけて変な顔をしたのではなかったのに、「おもしろい顔って……」。また別の日にも、息子のことを見ては「本当におもしろい顔」と含み笑い。ほとんど会話をしたことのない他人に息子を笑われ、私は内心ではかなり怒っていました。
実母に相談。冷静な答えにモヤモヤ倍増!?
そのあと、実母に会う機会がありました。育児の話をしているうちに、そのママの話題に。私は実母になぐさめてもらいたかったのです。しかし、「うーん、○○(息子)は、愛嬌があっておもしろい顔だよ。かわいい顔ではないかな!」とばっさり。
……ひどい、ひどすぎる! 私が毎日何度もおでこにキスをしている、愛する息子。傍から見ると、どうやら美形ではない様子。他人に言われても、実母に言われても、ショックなことには変わりありませんでした。
「おもしろい顔」の真意がわかった!
日が経つにつれて、そのママは授業前に「あ、○○くんだ」と息子に話しかけてくれることが増えました。それでも私は、息子を「おもしろい顔」と言われたことを相変わらず根に持っていたのです。そんなある日、授業後に立ち寄った場所で、そのママと鉢合わせした日がありました。すぐに立ち去るのは不自然なので、適当にママに話しかけると、それまでの意地悪なイメージとは真逆の気さくな雰囲気。そしてニコッと笑いながら言われたのです。
「○○(息子)くん、お父さんにそっくりですよね」。私はそのとき、大事なことを思い出しました。そのママと夫は、以前同じ会社にいた顔見知り……。さらに当時の2人は、メディアに出て話をする仕事という共通点がありました。そうしてやっとわかったのです。この人は夫のことを知っているからこそ、親しみや懐かしさを込めて息子に接してくれていたのだということが。このことに気づき、私はようやく腑に落ちました。
息子を「おもしろい顔」と笑うママ。失礼な人だと思っていたけれど、実は夫と顔見知りでした。夫と息子の顔が似ているので、親近感を持ってくれていたのだと思います。ずっと感じていたモヤモヤは晴れたけれど、それってつまり、夫の顔がおもしろいということ? なんて、私はまだ考えてしまいます。一方で夫は「へぇー、そういうことだったんだ」とうれしそう。そんなお気楽な性格も、息子に受け継がれているといいけれど……と思ったのでした。
著者:おかもとえみ/30代女性・主婦。1歳男児、0歳女児のママ。接客業や事務職、広告制作会社を経て現在は主婦ライター。ずぼらでマイペースな子ども好き。
イラスト:ななぎ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
ベビーカレンダー編集部