北欧ものと呼ばれるプロダクトの奥をのぞけば、彼らの生活の営みがあり、大事にしている伝統がある。そんなプロダクトを、小さなストーリーとともにご紹介します。
幸せを呼ぶモチーフ、ホースとスワン
北欧の夏に咲く花、ケシやライラックなどをモチーフにした“ヴァルム”など、フィンランドが誇るアラビアの70 〜80年代に作られた、草花をあしらった食器。せめて日常にこそ花を。右からアラビア ヴァルム カップアンドソーサー エステリ・トムラデザイン¥12,800、アラビア フローラシリーズ コーヒーカップアンドソーサー エステリ・トムラ/ウラ・プロコッペ¥12,800、アラビア ボタニカル ナデシコ プレート エステリ・トムラデザイン¥7,800 / 以上すべてvintage(プレッセ)
幸せをこよなく願い、いわれのある動物のモチーフを身に付けたり、贈りものにすることは、世界共通の生活習慣。
スウェーデンで知られているのは、ダーラナホース。「幸福を呼ぶ馬」と呼ばれる木彫りの置物で、 家の窓辺などに飾られている。さしずめ日本の招き猫のような存在。
一方、フィンランドでは、国鳥であるスワンがラッキーモチーフ。長く厳しい冬が終わり、温かな日差しとともに春を連れてくることから、物事の始まりを告げる縁起のいいモチーフとして使われる。さらに白鳥のつがいは生涯添い遂げることから、忍耐や永遠の愛を象徴する存在としても。
心は近い遠くの友人へ、手紙とともに同封にするのは、ダーラナホースのボタンフック。首元や襟元、胸元やカフスとさまざまな場所のアクセントに。赤いスワンのシャープナーで鉛筆をきれいに削って、想いをしたためて。ダーラナホースボタンフック各¥1,760 / MERIKOTI(メリコティ)、スワン鉛筆削り¥ 363 /スタビロ(マークス)
onKuL vol.19(2023年10月売号)より。
photograph:Takafumi Matsumura
styling:Mariko Nakazato
text:Mitsuharu Yamamura
re-rdit : ONKUL