映画ライター・ムービージャーナリストのよしひろまさみちさんが、今月もマストな映画ニュースをモリモリお届けします〜。
映画賞関連作 その1 ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞受賞のヒューマンドラマ 『ブルータリスト』
今年の米アカデミー賞授賞式は3月2日。その前後にドドッと関連作が公開されるんですよー。まずは『ブルータリスト』。昨年のヴェネチア国際映画祭で2位にあたる銀獅子賞を受賞したヒューマンドラマです。ホロコーストを生き延びたものの、家族とは離れ離れになった建築家が、アメリカで家族との再会を引き換えに礼拝堂の建築に携わるという物語。なんと215分の超大作(途中、一度インターミッションが入るので、お手洗い問題を抱えている方にも安心設計)。尺の長さだけでなく、30年間にも及ぶ物語の描写が圧倒的です。あ、これ実話ベースっぽく見えますが、フィクションですのであしからず。
『ブルータリスト』
story ハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー(A・ブロディ)は、ホロコーストを生き延びるが、妻エルジェーベト(F・ジョーンズ)らと離れ離れに。戦後、新しい生活を送るためにアメリカに移住した彼は、実業家ハリソン(G・ピアース)から、家族を呼び寄せることを条件に礼拝堂の設計建築を依頼される。
監督:ブラディ・コーベット/出演:エイドリアン・ブロディ、フェリシティ・ジョーンズ、ガイ・ピアース、ジョー・アルウィン、ラフィー・キャシディ ほか/配給:パルコ/公開:2月21日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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映画賞関連作 その2 ワンシチュエーション&たった2人の会話劇 『ドライブ・イン・マンハッタン』
こちらも映画賞レースで注目されているワンシチュエーション&たった2人の会話劇。『ドライブ・イン・マンハッタン』は、NYの空港からマンハッタンへと向かうタクシーの中、乗客の女性と運転手の会話だけで進行する物語です。最初は他愛のない会話から始まるものの、次第にプライベートの悩みを吐露するようになり、心の扉をオープン。内緒の話を共有することになっていくんだけど、そのきっかけや悩みの内容が超絶リアル。というか、小誌読者の世代だったら見事ドンズバのことだらけ。ぜひともオトナ同士でしっぽり鑑賞して。
『ドライブ・イン・マンハッタン』
story NYの空港からタクシーに乗り込んだ女性(D・ジョンソン)は、運転手(S・ペン)との会話を楽しみながら帰路につく。二度と会うことのない関係ならではの会話で本音をさらけ出し合う2人だったが、ひょんなことで女性は誰にも言えなかった秘密を打ち明けることに。
監督:クリスティ・ホール/出演:ダコタ・ジョンソン、ショーン・ペン/配給:東京テアトル/ 公開:2月14日より、ヒューマントラストシネマ 渋谷ほか全国順次ロードショー
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映画賞関連作 その3 重厚な社会派ドラマ 『セプテンバー5』
3本目は重厚な社会派。1972年のミュンヘンオリンピックで起きたテロ事件で、それを報じた現地のテレビクルーがどうしていたかを描いた『セプテンバー5』です。実際に起きたテロ事件を描いた映画はいくつかあるけど、この視点はなかったかも。というのも、生中継を担当したのが、報道畑のクルーではなくスポーツ番組担当(オリンピックだもの)。人質の命と時間制限がかかるなかで、彼らがどのように立ち回ったかをスリリングに描いています。95分という短さもあって、観ている側もあっという間に当時の混乱に巻き込まれる感覚ですよ。
『セプテンバー5』
story 1972年、ミュンヘン五輪選手村で、パレスチナ武装組織がイスラエル選手団を人質に籠城。そのテレビ中継を担当したのは、報道とは無縁のスポーツ番組専門のクルーたち。全世界が固唾をのんで見守るなか、彼らは何を報じ、何を伝えるかの選択に迫られる。
監督:ティム・フェールバウム/出演:ピーター・サースガード、ジョン・マガロ、ベン・チャップリン、ベンジャミン・ウォーカー ほか/配給:東和ピクチャーズ/公開:2月14日より、TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー
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text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2025年4月号より