1. トップ
  2. レシピ
  3. 「チョコの食べ過ぎで鼻血」っていうけど…医学的に正しいと言い切れないワケ

「チョコの食べ過ぎで鼻血」っていうけど…医学的に正しいと言い切れないワケ

  • 2025.2.14
チョコレートの食べ過ぎで鼻血が出るのは本当?

2月14日は「バレンタインデー」です。この日にチョコレートを食べる人は多いと思います。ところで、昔から「チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出る」とよく言われます。このような俗説について、SNS上では「医学的に根拠がない」という声がある一方、「チョコレートを食べ過ぎたら鼻血が出た」という声も上がっています。

チョコレートの食べ過ぎで鼻血が出る根拠として、「血糖値や血圧の上昇」「カフェインが作用」「チョコレートに含まれる、血圧や心拍数を上昇させる作用がある『チラミン』が影響」「栄養バランスの崩れ」などが挙げられることがあります。チョコレートの食べ過ぎで鼻血が出るのは本当なのでしょうか。「eatLIFEクリニック」(横浜市旭区)院長で、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんが解説します。

動脈硬化が進んでいる人は…

そもそも鼻血の原因の多くは、鼻の粘膜や血管が傷つくことで起こります。特に、左右の鼻の穴を仕切る壁の入り口部分である「キーゼルバッハ部位」と呼ばれる場所からの出血が多いです。ここは、粘膜が薄く血管が集まっているため出血しやすいのです。

鼻をかんだりぶつけたりといった物理的な刺激のほか、鼻炎などの鼻症状に伴って出血します。また、鼻血は、高血圧や血液疾患にかかっている人、鼻の奥に腫瘍がある人、血液がサラサラになる薬を飲んでいる人にも起こります。

ここからは、チョコレートの食べ過ぎで鼻血になる原因として挙げられることが多い、次の4つの根拠を基に、それぞれ解説したいと思います。

(1)血糖値や血圧の上昇(2)興奮作用がある「カフェイン」の影響(3)血圧や心拍数を上昇させる作用がある「チラミン」の影響(4)栄養バランスの崩れ

(1)については、「チョコレートを食べ過ぎると、血糖値が急激に上昇して血圧も上がり、毛細血管が多い鼻の中の血管が切れて鼻血が出る」という説があるようです。

健康な人がチョコレートを食べ過ぎると血糖値は多少上がりますが、血圧が上がる可能性は低いです。また、高血糖が直接的に鼻血を誘発するとは考えにくいです。

ただし、高血圧の人は、血圧が高いときに鼻血を出すことはあります。また、高血糖や高血圧、脂質異常症などにより、徐々に動脈硬化が進んで血管が弱くなっている人は、鼻血が起こりやすくなる可能性はあります。

(2)については、「興奮作用があるカフェインを含むチョコレートを食べ過ぎると、血の巡りがよくなって多くの血が流れ、毛細血管の多い鼻の中の血管が切れて鼻血が出る」という説があります。

確かにカフェインに興奮作用はありますが、全身の血液の流れをよくするほどの効果は期待できません。チョコレートに含まれるカフェインが原因で血流がよくなって鼻血が出るとしたら、同様にカフェインが含まれるコーヒーや緑茶、紅茶などでも鼻血が出ることになってしまいます。

(3)の「チラミン」には、一時的に血管を収縮させた後に拡張させる働きがあることから、この物質が鼻の血管に負担をかけて鼻血が出る可能性があるといわれています。しかし、チラミンと鼻血の関係を調べた研究はなく、はっきりしたことは分かっていないのが現状です。また、栄養のバランスが崩れたからといって、鼻血が出やすくなることはありません。

これらを踏まえると、チョコレートを食べると鼻血が出るのを医学的に説明することは難しいです。

なお、チョコレートを食べ過ぎると、脂質や糖質、カロリーの過剰摂取となり、太りやすくなります。特に、子どもの場合、虫歯の原因になり体によくないため、昔から「食べ過ぎたら鼻血が出る」といわれていたようです。

厚生労働省が推奨する嗜好(しこう)品の摂取目安量は1日200キロカロリー以下で、板チョコで言うと半分程度に相当します。高カカオのチョコレートの場合、糖質は少なめですが、カロリーは一般的なチョコレートと同等です。カカオの含有率にかかわらず、チョコレートを食べ過ぎないようにしましょう。

オトナンサー編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる