1. トップ
  2. おでかけ
  3. 一般非公開の『kudan house(九段ハウス)』などで開催!『CURATION⇄FAIR(キュレーションフェア)』

一般非公開の『kudan house(九段ハウス)』などで開催!『CURATION⇄FAIR(キュレーションフェア)』

  • 2025.2.13

皆さん、ごきげんよう! LIVING東京地域特派員の西村美鈴です。

今回は、2025年2月1日(土)〜2月16日(日)に開催中の『CURATION⇄FAIR』に行ってきました。このイベントは東京・千代田区にある登録有形文化財『kudan house(九段ハウス)』がメイン会場。他にも、『赤坂ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町』などに会場が用意されています。

メイン会場となるkudan houseは、小間物商で成功を収めた山口家5代目、山口萬吉氏の私邸として建てられた洋館をリノベーションした施設です。鉄筋コンクリート造3階建て地下1階のスパニッシュ様式で、構造を手掛けたのは東京タワーや通天閣の設計で知られる「耐震構造の父・塔博士」内藤多仲氏。その卓越した耐震技術と美しいフォルムは、時代を超えてなお輝きを放っています。さらに、意匠は木子七郎氏、今井兼次氏、吉田鐵郎氏が担当し、家具や建具は梶田恵氏がデザイン。まさに日本建築界を代表する才能が結集した名建築です。

出典:リビング東京Web
出典:リビング東京Web

また、サテライト会場である赤坂ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町は、バブル時代に『赤プリ』の愛称で親しまれたグランドプリンスホテル赤坂(旧称:赤坂プリンスホテル)の跡地に建設された『東京ガーデンテラス紀尾井町』の高層部にあります。従来のプリンスホテルで最も上級ブランドであった「ザ・プリンス」を上回る最高級ブランドとして運営され、赤坂プリンスクラシックハウスと共に赤プリを継承した歴史と優雅さを備えたラグジュアリーなホテルです。

普段は一般公開されていないこの重厚で繊細な空間で、観て買うことのできる展覧会とアートフェアが2部構成で開催されています。歴史的な建築とアートが見事に調和し、訪れる人々を魅了する特別なひとときが広がっています。

建築フェチでアート好きな私にとって、まさに至福の時間!歴史を感じる空間に浸りながら、美術作品に心を奪われる贅沢なひとときを堪能してきました。

メイン会場となるkudan houseでは、3つのエキジビションが用意されています。遠藤水城氏、兼平彦太郎氏、岩田智哉氏をキュレーターとして迎え、それぞれの視点による展覧会を楽しめます。

展覧会の後半には、厳選されたギャラリーや美術商が参加するアートフェア「Art Kudan 2025」 も開催されます(2月22日〜24日)。ここでは、国内外のアート作品を購入することができるため、展覧会で心惹かれた作品を実際に手に入れることも可能です。

「見る」「感じる」「所有する」というアートの新たな楽しみ方を提案するイベントです。

遠藤水城による『美しさ、あいまいさ、時と場合に依る』:空間と作品の対話を重視した展示

この展覧会は、川端康成がノーベル文学賞受賞時に行った講演「美しい日本の私」と、大江健三郎がそれを引き継いだ「あいまいな日本の私」という講演タイトルに着想を得たものです。「日本」と「私」という枠組みを取り去り、芸術を根本から問い直す試みが展開されています。川端の日本が侘び寂びや自然観に象徴される伝統的な美を描く一方、大江の日本は近代化による矛盾を抱える複雑な存在です。その対照的な視点が、この展覧会の基調となっています。私自身、作品を前にして「日本」や「私」という固定観念から自由になる感覚を味わいました。それは、ただ「それ自体」として存在する作品が持つ力を改めて教えてくれる体験でした。美術の本質に立ち返る時間を過ごせた気がします。

出典:リビング東京Web

兼平彦太郎による『Pocket Full of Sparksーそれは小さいのに、とても大きい』:現代アートの視点から新たな価値を生み出すキュレーション

このテーマは、小さなひらめきが無限の可能性を秘めていることを象徴しています。特に印象的だったのは、昼夜で表情を変えるkudan house地下1階の展示空間。明かり取り窓から差し込む陽光に照らされた作品は、柔らかく親しみやすい印象を与えます。一方、日没後に暗闇の中から浮かび上がる作品は、神秘的で心を奪われるような美しさでした。アーティストたちはこの特徴的な空間を活かし、新作や国内未発表作品を通じてその創造性を存分に発揮しています。日々のドローイングやスケッチから生まれた作品には、小さなアイディアが結晶化し、新たな視点を提供してくれる力強さが感じられました。私自身、昼夜で異なる雰囲気を楽しむ中で、作品が持つ多様な魅力を堪能しました。限られた空間ならではの展示方法も、訪れる人々を魅了するポイントだと思います。

出典:リビング東京Web

岩田智哉による『ここに立つ』:伝統と現代の融合を意識した展示

1927年竣工のkudan houseの空間特性を活かした展示です。半屋外空間が多く、「庭」と「建物の中」が連続的かつ立体的に繋がるこの建築は、空間に足を踏み入れると自分の身体がどこか宙に浮いたような不思議な感覚を覚えます。この特異な空間を「内と外を反転させる仮の空間」へと変換し、柏木崇吾は、種子を埋め込んだ土の立体が時間とともに発芽し彫刻が変容していく作品を通じて、時間の流れを可視化。静かに移ろう生命の営みを感じながら、「今」という瞬間の意味を考えさせられるひとときでした。一方、木藤遼太は庭空間にサウンドインスタレーションを展開。「外」である庭に「内」なる感覚を呼び起こし、音が遠い時間や場所を想像させるきっかけを与えてくれます。

私にとってこの展覧会は、建築と展示が織り成す空間そのものが感覚を揺さぶる特別な体験であり、普段意識しない感覚や思考を引き出してくれる貴重な時間となりました。

出典:リビング東京Web

赤坂ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町の展示と関連イベント

『ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町, ラグジュアリーコレクションホテル』の最上階、36階ロビーでは、古美術と工芸作品の展示が行われています。また、イベント期間限定のコラボレーションスイーツ 『Rouge Noir』 を、環地中海料理レストラン 「All-Day Dining OASIS GARDEN」 で楽しむこともできます。地上約180mからの美しい景色と、洗練された空間で味わう美術作品やスイーツは、贅沢なひとときを演出してくれます。

出典:リビング東京Web
出典:リビング東京Web

このほかにも、『赤坂プリンスクラシックハウス』や『九段会館テラス』 などのサテライト会場で魅力的なプログラムが展開されています。赤坂プリンスクラシックハウスでは 音楽のインスタレーション が繰り広げられ、九段会館テラスでは トークプログラム が開催されるなど、アートと文化が多彩に交差する場となっています。

出典:リビング東京Web

各会場では、古美術・近代・現代美術の企画展、コマーシャルギャラリーや美術商によるアートフェア、そしてシンポジウムやトークプログラムといった多様な催しが用意されています。アートを「観る」「聴く」「学ぶ」といった異なる視点から楽しめるこのイベントは、まさに五感で味わう総合芸術空間といえるでしょう。

歴史ある建築と現代アートが響き合う特別な空間で、作品の魅力を堪能できることが本イベントの醍醐味。さらに、会場ごとに異なる体験ができるのも魅力のひとつです。 私自身も、展示をじっくりと巡りながら、アートに囲まれる贅沢な時間を満喫しました。気になる方は、公式サイトで最新情報をチェックし、ぜひ足を運んでみてくださいね。

元記事で読む
の記事をもっとみる