私は28歳。大学時代に付き合い始めた彼との結婚が決まり、今は仕事をしながら結婚式の準備をしているところです。彼は、数年前に亡くなった父親の跡を継いで会社経営をしていて、毎日遅くまで頑張っています。結婚したら健康面のサポートもしていきたいと思っていたのですが……。
結婚式まで2カ月となったある日のこと。
プライベートでも仲良くしている会社の同僚が、部署のメンバーを集めて結婚祝いの食事会を開いてくれました。せっかくだから彼も一緒にと言ってくれたので、彼と2人で出席することに。
これが事件の始まりになるとは、思ってもいませんでした……。
後輩に鼻の下を長くする彼
「先輩の彼氏、めっちゃかっこいい! タイプ!」
彼を見てそうを言ったのは、私が教育係として面倒を見ている後輩。何度教えても同じミスをして、時間も守れず、私をサポートするするどころか仕事を増やすばかりで彼女には本当に困っています……。そんな彼女の空気が読めない発言に私は苦笑いでしたが、彼は悪い気はしなかったようで、完全に鼻の下を伸ばしていました。
その食事会からしばらくすると、彼は仕事が忙しくなり、週末に入れていた式場との打ち合わせをドタキャンすることが増えました。2人で会っていてもスマホばかり見ていて私の話なんてうわの空。さすがに怪しいと思い、私は仕事帰りの彼を尾行することにしたのです。
最近ずっと、仕事が忙しいと言っていたわりには、その日は定時ピッタリで退社した彼。そのままどこへ向かうのかと思いきや、真っ直ぐ帰宅。そして、彼の帰宅から数分も経たないうちに、なんと、食事会で彼をかっこいいと言った後輩が彼の部屋へと入っていきました……。
「えっ……どういうこと!?」
私は居ても立っても居られず、彼の部屋に突撃! 私がインターホンを鳴らすと、出てきたの彼ではなく後輩。「あ、バレちゃいました?」とヘラヘラ笑っています。私が彼を問い詰めると、2人が付き合っていること、そしてすでに同棲を始めているという衝撃発言を……。
何でも自分でこなしてしまう私と違って、後輩の彼女は危なっかしくて放っておけない、助けてあげたいと真顔で言われ、私はその場で彼への愛情が冷めていくのを感じていました。
もう顔を見たくない…!
翌日。私はもう後輩の顔を毎日見るのは耐えられないと、事情をすべて話して社長に退職届を提出しました。同僚は荷物をまとめる私を必死に引き留めてくれましたが、私の気持ちは変わりません。幸い、私の仕事はひととおり彼を奪った後輩に教えていたので、取引先に迷惑をかけることもありません。
「仕事までなくなっちゃってごめんなさ〜い」
後輩は「別に先輩が仕事を辞めなくても、私が社長夫人になったら辞めるのに〜」なんて、最後まで私に嫌みを言っていましたが、相手にする時間が無駄だと思い、私は淡々と支度を終わらせて有給消化という名目で自宅に帰りました。
その後、家族や親戚への説明や式場のキャンセル手続き、彼と後輩への慰謝料請求の準備など慌ただしくしていた私。すべてがひと段落して、しばらく旅行にでも出ようかと思っていたところで、社長から「お願いだから、会社に戻ってきてくれ」と、電話がかかってきました。直接話がしたいというので、仕方なく会社へ向かうと……。
そこには、同僚と後輩の姿がありました。どうやら、私がいないたった数日の間、後輩は打ち合わせをすっぽかし、商談の遅刻、資料の作成ミス、機密情報の流出などのさまざまなミスを重ね、数社のクライアントから今すぐ担当を戻さなければ取引を中止すると言われているのだとか。
同僚はこんなことになるだろうと思い、私の退職届を一旦保留にしてほしいと言っていたそうで、まだ私は社員として籍が残っているから、すぐにでも復帰してほしいとのことでした。
しばらく恋愛はおあずけ
「先輩、助けてぇ~」
そう言って弱々しい声で泣く彼女を横目に、社長は私が復帰を決断してくれるなら、この場で彼女を解雇すると約束してくれました。それを聞いた彼女は「そんなの無理! 不当解雇で訴える!」と。しかし、社長から「社内備品の持ち出し、社用車のプライベート利用、不正な経費申請……、こっちも訴える要素はたくさんあるけど?」と言われ、すぐに黙りました。
私が知らないところでも、彼女はやりたい放題だった様子。彼女がいなくなれば辞める理由はなくなるので、私はその場で復帰を決断。彼女は真っ赤な顔をして部屋から出ていきました。
そして、社長が私のためにしてくれたのは、これだけではなかったのです。実は、私のために、あるクライアントとの取引も中止してくれていました。その会社というのが、元婚約者が経営する会社。実は、彼の会社の主要取引先は私が働く会社だったのです。
この取引中がかなりのダメージだったようで、それから数カ月もしないうちに、彼の会社は倒産。彼を奪った後輩も夢の社長夫人にはなれず、今は2人で式場のキャンセル費用や私への慰謝料、倒産時に抱えた負債の返済に追われ、昼夜問わず働く日々を過ごしているそうです。
私は、同僚とペアを組んで大きなプロジェクトに挑戦中。しばらく恋愛する気にはなれないので、とことん仕事に打ち込むつもりです。
◇ ◇ ◇
簡単に誘惑に負けてしまうような人と結婚せずに済んだのは、逆にラッキーだったのかもしれませんね。愛していた彼の裏切りを知り、ショックは大きかったと思いますが、厄介な後輩とも、そんな後輩になびいた彼とも縁が切れた今は、仕事に打ち込み、傷が癒えたころにまた、素敵な人を見つけて幸せに暮らしてほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班
ベビーカレンダー編集部