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【上野】東京国立博物館 開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」

  • 2025.2.10

大覚寺 重要文化財《牡丹図》100面、華やかに大公開!

東京国立博物館 平成館 特別展示室で開催中の開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」[2025年1月21日(火) ~ 2025年3月16日(日)]を見て来ました。

約1200年前の平安京へ遷都した間もない頃、京都の西北・嵯峨の地に嵯峨天皇(さがてんのう)の離宮・嵯峨院(さがいん)が造営されます。

貞観18年(876)に嵯峨天皇の皇女・正子内親王(まさこないしんのう)が、子の恒寂入道親王(ごうじゃくにゅうどうしんのう)を開山に迎えて寺に改められ大覚寺として開創されました。

2026年に大覚寺が開創1150年を迎えるのに先立ち開催されている本展では、旧嵯峨御所 大本山・大覚寺の宸殿や正寝殿を飾る障壁画約240面のうち123面(前期100面、後期102面)を大公開! 重要文化財《牡丹図》をはじめ御所ゆかりの襖絵や障子絵が並ぶ展示会場は圧巻の華やかさと豪華さです。

※展示室内は第4章で展示されている作品を個人利用に限り写真撮影できます。第1章~3章は撮影禁止です。撮影の際は会場の注意事項をご確認の上、他のお客様へのご配慮をお願いします。

出典:リビング東京Web

重要文化財 牡丹図 狩野山楽筆 18面 江戸時代・17世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

女御御所(にょうごごしょ)を飾る花の襖絵・重要文化財《牡丹図(ぼたんず)》と重要文化財《紅白梅図(こうはくばいず)》

元和6年(1620)に後水尾天皇(ごみずのおてんのう)に入内した和子(東福門院)(まさこ:とうふくもんいん)の女御御所を後に移築したと伝えられる宸殿(重要文化財)は、大覚寺伽藍の中心となる建物です。

宸殿内部の襖絵・障子絵を描いたとされるのが、狩野永徳(かのうえいとく)の弟子で安土桃山~江戸時代を代表する画家・狩野山楽(かのうさんらく)です。

重要文化財《牡丹図》

宸殿「牡丹の間」を飾る襖絵《牡丹図》。安土桃山~江戸時代の画家・狩野山楽の代表作とされます。 金地に牡丹の花株がまとまりを見せながら連続して描かれています。所々に配された岩や鳥や虫の姿がアクセントになっています。 大ぶりな牡丹の花が開いた姿が金地の背景に映えて華やかな空間を作り出していました。

出典:リビング東京Web

重要文化財 牡丹図(部分) 狩野山楽筆 18面 江戸時代・17世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

重要文化財《紅白梅図》

宸殿「紅梅の間」の南面を飾る重要文化財《紅梅図》の大画面。 金雲に紅白梅の可憐な花を付けた大木が満開の枝を広げる豪壮な姿です。

大木を画面全体に大きく描いた表現は師・狩野永徳から引き継がれたものだそうです。写実性と装飾性を備えた山楽の洗練された表現が豪奢になり過ぎない気品を感じさせます。

出典:リビング東京Web

重要文化財 紅白梅図 狩野山楽筆 8面 江戸時代・17世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

嵯峨天皇と空海、大覚寺の本尊・五大明王像(ごだいみょうおうぞう)

大覚寺の前身である離宮・嵯峨院を造営された《嵯峨天皇像》(右)です。

京都西北の嵯峨の地は、天皇や平安貴族に愛された皇族専用の狩猟場・禁野でした。親王時代からたびたび嵯峨の地を訪れていた嵯峨天皇は譲位後に離宮内に御所を造営し晩年まで過ごします。

「緑地に桐竹鳳凰文」のある袍に、「窠に霰文」の表袴を身に着けた衣冠束帯の姿です。桐竹に鳳凰は天下太平の吉祥文です。曲線で描かれた柔装束の嵯峨天皇の面差しは静かな威厳を感じさせます。

嵯峨天皇の肖像と並ぶ《弘法大師空海像》(左)。「真如様と呼ばれる典型的な」肖像画です。弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)のよき理解者だった嵯峨天皇は、空海の勧めで持仏堂に五大明王像(現存せず)を安置されました。

出典:リビング東京Web

右から、嵯峨天皇像 1幅 鎌倉時代・14世紀 宮内庁蔵 前期展示:1月21日(火)~2月16日(日)、弘法大師像 1幅 鎌倉時代・14世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

平安時代の仏教彫刻の名品、重要文化財《五大明王像(ごだいみょうおうぞう)》

大覚寺は「五大明王像」を本尊とする真言宗(しんごんしゅう)の寺院です。 密教の仏である明王(みょうおう)は、中国・唐時代に成立したとされ、日本には唐の都・長安の青龍寺の恵果阿闍梨(けいかあじゃり)から法灯を受け継いだ真言宗の開祖・空海が密教の教えと共に伝えたのが始まりとされます。

平安時代の仏師・明円(みょうえん)作の重要文化財《五大明王像》。天皇家ゆかりの仏像です。

降魔と衆生の煩悩を断ち切る三鈷剣(さんこけん)と、魔を縛り衆生を救い出す羂索(けんさく)を手にした不動明王(ふどうみょうおう)が中心に座し、左右に多面多臂、中には多足の明王が居並ぶ5体一組で表されます。その面貌は逆立つ髪、吊り上がりカッと見開いた眼で睨みをきかせ、口元からは退転しようとする仏道修行者を一喝する声が響いて来そうな憤怒の表情です。

明円の五大明王像は、力強さと柔らかな身体表現に優美さを感じさせる平安時代の洗練された表現が見られる仏像です。

出典:リビング東京Web

重要文化財 五大明王像のうち不動明王 明円作 平安時代・12世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

出典:リビング東京Web

重要文化財 五大明王像 明円作 平安時代・12世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

出典:リビング東京Web

重要文化財 五大明王像 明円作 平安時代・12世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

大覚寺中興の祖・後宇多天皇(ごうだてんのう)の肖像

亀山天皇の第2皇子で、大覚寺中興の祖とされ真言宗を篤く信仰した《後宇多天皇像》(右)と、出家後の《後宇多法皇像》(左)です。後宇多天皇は伽藍を整備し、仙洞御所(せんとうごしょ)が新造されてから大覚寺は嵯峨御所と称されるようになったそうです。

大覚寺で院政を敷き「大覚寺殿」と呼ばれた後宇多天皇の出家前の姿を描いた肖像画(右)は「非常に細い線を何度も引き重ねて」描かれた気品ある容貌を見せています。

出典:リビング東京Web

右から、重要文化財 後宇多天皇像 1幅 鎌倉時代・14世紀、重要文化財 後宇多法皇像 1幅 鎌倉時代・14世紀 どちらも京都・大覚寺蔵 前期展示:1月21日(火)~2月16日(日)

国宝《後宇多天皇宸翰 弘法大師伝(ごうだてんのうしんかん こうぼうだいしでん)》

弘法大師空海の伝記を後宇多天皇自らが記した国宝《後宇多天皇宸翰 弘法大師伝》です。 冒頭に「第八祖大日本国」とあり、文中には「弘法大師者讃岐国多度郡人也」や「大唐青龍寺恵果和尚」の文字が見えます。 「空海の書風(大師流)の影響を受けた」とされる後宇多天皇自筆の貴重な書で、真言宗への信仰と空海への敬慕が偲ばれる作品です。

出典:リビング東京Web

国宝 後宇多天皇宸翰 弘法大師伝 後宇多天皇筆 1幅 鎌倉時代・正和4年(1315) 京都・大覚寺蔵 前期展示:1月21日(火)~2月16日(日)

重要文化財《太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉》と《太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉) 》

大覚寺所蔵の清和源氏代々に継承された源氏の「重宝」重要文化財《太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉》。 歴代の所持者と由緒が記された「薄緑太刀伝来記」によれば、源満仲(みなもとのみつなか)、頼光(よりみつ)、義家(よしいえ)、義経(よしつね)、そして曽我兄弟の仇討ちを経て頼朝(よりとも)へ受継がれたとのことです。 長大で身幅の広い刀身に細やかな小乱の刃文が見られる「鎌倉時代初期の備前風の作風」だそうです。

右は京都・北野天満宮所蔵の《太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉) 》。同じく源満仲から、頼朝まで受け継がれた源氏の「重宝」です。新田義貞、斯波高経、高経の子孫最上家に伝わり、江戸時代には徳川吉宗(とくがわよしむね)が上覧、明治時代には明治天皇(めいじてんのう)が天覧されたそうです。

出典:リビング東京Web

左から、重要文化財 太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉 1口 鎌倉時代・13世紀 京都・大覚寺蔵、重要文化財 太刀 銘 安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉) 1口 平安~鎌倉時代・12~14世紀 京都・北野天満宮蔵 どちらも通期展示

御所ゆかりの絵画、歴史の舞台となった大覚寺の名品に出会う

大覚寺にある大沢池(おおさわのいけ)は、嵯峨天皇が洞庭湖を模して造られた現存最古の池だそうです。 嵯峨天皇は崩御されるまで晩年を離宮・嵯峨院でお過ごしになられたそうです。

大覚寺で最上位の間とされ、歴代門跡の執務室だった重要文化財「正寝殿 御冠の間」(通常非公開)の再現展示を見ることが出来ました。 後宇多天皇が院政を敷き、元中9年(明徳3年、1392)に南北朝講和の舞台となったと伝えられる歴史的な場所です。 室内には狩野山楽の重要文化財《山水図》が描かれています。

東京国立博物館 平成館 特別展示室で開催中の開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」は3月16日(日)までです。 是非お出かけください。

出典:リビング東京Web

正寝殿 御冠の間(再現)

開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」オリジナルグッズ

特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」オリジナルグッズは、重文《野兎図》をイメージした俵屋吉富 久寿湯 月あかり(1‚512円)、重文《牡丹図》の柄が華やかな匂ひ袋 みやこの香(1,100円)を購入。

俵屋吉富 久寿湯 月あかりは、上品な甘さのくず湯です。濃い青色の信楽焼のお茶碗に入れてみました。お湯を入れるとお月様が浮かぶように見えます。(器は非売品です。お好みの器でお楽しみください。) ※価格は全て税込みです。文中の作品名は京都・大覚寺所蔵です。

出典:リビング東京Web

開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」オリジナルグッズ

出典:リビング東京Web

重要文化財 野兎図 渡辺始興 12面 江戸時代・18世紀 京都・大覚寺蔵 通期展示

〇東京国立博物館
URL:https://www.tnm.jp/
住 所:〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
アクセス:JR 上野駅公園口・鶯谷駅南口から徒歩10分、東京メトロ上野駅・根津駅、京成電鉄京成上野駅から徒歩15分
お問合せ:050-5541-8600 (ハローダイヤル)
開館時間:9時30分~17時 ※11月から総合文化展は毎週金・土曜日は夜19時まで ※入館は閉館の30分前まで
休 館 日:月曜日(祝・休日の場合は翌平日休館)
観 覧 料(総合文化展):一般 1,000 円/大学生 500 円
※特別展は別料金・黒田記念館は無料
※総合文化展は、事前予約不要。入館方法の詳細は東京国立博物館ウェブサイトをご確認ください。
※高校生以下、および満18歳未満と満70 歳以上の方は総合文化展は無料。入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。
※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
※開館日・開館時間・展示作品・展示期間等、今後の諸事情により変更する場合があります。最新情報は、東京国立博物館ウェブサイト等でご確認ください。

〇開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」
会期:2025年1月21日(火) ~ 2025年3月16日(日)※会期中、一部作品の展示替えが行われます
前期展示:1月21日(火)~2月16日(日)、後期展示:2月18日(火)~3月16日(日)
会場:東京国立博物館 平成館特別展示室
開館時間:9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日、2月25日(火)※ただし、2月10日(月)、2月24日(月・休)は開館
観覧料金:本展は事前予約不要
一般 2,100円、大学生 1,300円、高校生 900円
※中学生以下、障がい者とその介護者一名無料(入館の際に学生証、障がい者手帳などの提示要)
※混雑時は入場待ちとなる可能性があります。
※本券で、会期中観覧日当日に限り、総合文化展(平常展)も拝観できます。
※東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券1,100円(200円割引)で観覧できます。
(正門チケット売場窓口にてキャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証を掲示要)
*当日券:東京国立博物館正門チケット売場(窓口、開館日のみ、閉館の30分前まで)、展覧会公式サイト、各種プレイガイドにて、2025年1月21日(火)から3月16日(日)まで販売されます。
詳細は、展覧会公式チケットページでご確認ください。

〇特別展特設ミュージアムショップ
営業時間:特別展の開館時間に準ずる

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