1. トップ
  2. ファッション
  3. クチュール界の大型新人、ミス・ソヒが創る甘美な装飾の世界【若手デザイナー連載】

クチュール界の大型新人、ミス・ソヒが創る甘美な装飾の世界【若手デザイナー連載】

  • 2025.2.8
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。

2020年のパンデミック中にロンドンのアパートで制作した卒業コレクションを発表して以来、韓国出身のデザイナー、パク・ソヒは大きな進歩を遂げてきた。セントラル セント マーチンズCENTRAL SAINT MARTINS)の学生から一転、ジジ・ハディッドからアニャ・テイラー=ジョイマイリー・サイラスからカーディ・Bに至るまで、あらゆるセレブの支持を得るクチュリエールになったのだ。

ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。

先月、パクは28歳の若さで2025年春夏オートクチュールコレクションで正式にデビュー。卒業後すぐに自身の名を冠したレーベルを立ち上げた彼女にとっては、並大抵のことではない。「ただただ光栄です」とショーの数日前、彼女はパリのカフェから電話でUK版『VOGUE』に語った。「オートクチュール&モード連盟から認められるなんて、夢のようです」

実のところ、パクは自分のブランドを立ち上げようと思っていたわけではなかった。だが、ロックダウン中にSNSに投稿したルックの数々が勢いを増して注目を集めていき、パクの知名度は上昇。「一番大切なポイントは、すべてが本当に自然に起こったことだと思います」と彼女は振り返る。「ミス・ソヒ」(MISS SOHEE)というブランド名も、もともとは彼女の個人インスタグラムのアカウント名で、フォロワーやファンなどがルックを拡散する際にパクをそう呼び始めたのが発端だという。

カーディ・Bのために制作したカスタムのヘッドピース。
ABC's Coverage Of The 2021 American Music Awardsカーディ・Bのために制作したカスタムのヘッドピース。
ミス・ソヒの2025年春夏オートクチュールコレクションで再解釈されたカーディ・Bのヘッドピース。
ミス・ソヒの2025年春夏オートクチュールコレクションで再解釈されたカーディ・Bのヘッドピース。

「卒業後の目標は、ごく普通なものでした」と語るパクは、今では40人のスタッフを抱えるアトリエを持つまでになり、その急成長ぶりがうかがえる。だからこそ、デビューショーでは最初に手がけたコレクションに立ち返りたかっと言う。「過去に作ったピースに立ち戻り、今の自分ならどう作るかを考えることは、私にとってとても意義のあることなのです」。例えば、2022年のアメリカン・ミュージック・アワードでカーディ・Bが身につけたクリスタル装飾のカスタムヘッドピースを、パクは2025年春夏オートクチュールコレクションで再解釈。光沢感のある植物由来の生地を使い、ブラックのボディスーツと組み合わせることでよりセクシーに生まれ変わらせた。

すべての女性に自信と美しさを

ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。

さらなぬ高みを目指して、今シーズンは新しい素材を取り入れることに挑戦したパク。その多くはデッドストックの素材で、ココ・ロシャが着用したレースアップコルセットに使用されたレザーもそのひとつだ。「今回のコレクションは、体に彫刻を施すかのようなアプローチで製作しました」と説明するパクは、「女性のための服を作る女性」として大いに才能を発揮している。「女性の体の構造をよく理解しているというフィードバックをたくさんいただくんです。私はただ、女性たちに自信を持って、美しくあってほしいだけなのですが」

ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。
ミス・ソヒ 2025年春夏オートクチュールコレクションより。

職人技がミス・ソヒというブランドの中枢を成すことは言うまでもない。パクは韓国の職人とともに、スピードや効率ではなくクオリティを重視したサステナブルな手法で、ボディプレートの鋳造から刺繍までのすべてを制作している。加えて今季は伝統的な民芸品に着目。花のモチーフをドレスの裾やケープの背中にあしらい、ヘッドピースはかつて韓国の皇后が身につけていた華麗なヘッドドレスにインスパイアされたものを現代風にアレンジした。

すでに錚々たる顔ぶれのセレブに愛用されているミス・ソヒだが、その成功の秘訣は何なのか。「私は常に誠意を持って創作に向き合っています」とパク。「それが、私の創るミス・ソヒの世界を成しているのです」

Text: Emily Chan Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

READ MORE

元記事で読む
の記事をもっとみる