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カロリナ・クルコヴァ、スーパーモデルが起こす、世界中の子どもの未来のためのアクション【戦うモデルたち】

  • 2025.2.8
2023年8月、ドイツにて開催されたMARC CAIN(マーク・ケイン)の50周年式典に参加した、モデルのカロリナ・クルコヴァ。Photo_ Gisela Schober / Getty Images
Marc Cain Celebrates 50th Anniversary In Bodelshausen2023年8月、ドイツにて開催されたMARC CAIN(マーク・ケイン)の50周年式典に参加した、モデルのカロリナ・クルコヴァ。Photo: Gisela Schober / Getty Images

「『モデルのような競争の激しい世界で友達を作ることはできますか?』とよく聞かれますが、競争は悪いことばかりではありませんし、ライバルだからといって友達になれないという考え方はしません。問題は、友達になっても移動が多いからずっと関係を保つのが大変だということ。特にファッションウィークになると、お互い会って話をすることはほとんど不可能です。さらに私は25歳のときに長男を出産してからというもの、友人より家族を優先するようになったのでなおさらです」

2024年にルフトハンザドイツ航空インタビューでこう答えたモデルのカロリナ・クルコヴァは、 1984年2月にチェコ北部最大の都市ジチェーンで生まれ育ったスーパーモデルだ。幼少期は高身長をからかわれていたという彼女は、15歳のときに友人がプラハのモデルエージェンシーに写真を送ったことからモデルとしてのキャリアをスタート。その後ミラノに渡り、プラダPRADA)とモデル契約を結びスーパーモデルとしての道を切り拓いた。

パリで行われたエリー サーブ(ELIE SAAB)の2024/2025秋冬コレクションにて。Photo_ Peter White / Getty Images
Elie Saab: Runway - Paris Fashion Week - Haute Couture Fall/Winter 2024-2025パリで行われたエリー サーブ(ELIE SAAB)の2024/2025秋冬コレクションにて。Photo: Peter White / Getty Images

以降、ヴィクトリアズ・シークレットVICTORIA'S SECRET)のエンジェルを務めたり、『VOGUE』のカバーを飾るなど、第一線で活躍。2007年には『フォーブス』誌選出の「世界で最も稼いだモデル」の6位にランクインしたこともあった。そんな彼女は「もしモデルになっていなかったら、化学者か考古学者になりたいと思っていた」とかつて『タトラー』誌に明かしたが、フォトグラファーのマリオ・テスティーノから“最高のプロポーション”と称されるなど、モデルになることはもはや天命だったともいえる。

「チェコでは、昔から女性たちは皆で輪になって座って話し合い、出産を手伝うなどお互いをサポートし合っていました。 私は、現代社会においては、教師やウォール街の銀行家、そしてファッション界に至るまで、さまざまなジャンルで活躍する女性たちが集まってお互いの懸念などを話し合うことが重要だと思っています」

こう語る彼女は、多忙なモデル業のかたわら、3児の母として世界中の子どもたちの未来のために、さまざまな取り組みに長く尽力してきた活動家としても知られる。

読書かデジタルか。子どもの教育に提言

2024年3月、プロヴァンスにて撮影。MARC CAIN(マーク・ケイン)のコレクションをまとって。Photo_ Franziska Krug / Marc Cain via Getty Images
Marc Cain Glam Collection Presentation In Provence2024年3月、プロヴァンスにて撮影。MARC CAIN(マーク・ケイン)のコレクションをまとって。Photo: Franziska Krug / Marc Cain via Getty Images

そんなクルコヴァは、アメリカで子どもに健康的な食事を提供する団体「Feed Americas Hungry Children」や、香港で子どもたちへの本の読み聞かせを通じて家族と地域の絆を結ぶ団体「Bring Me A Book」をサポートするなど慈善活動に尽力している。そしてデジタル全盛の昨今、彼女は『フォーブス』誌に子どもたちに読書の重要性を説く一方、早期デジタル教育の導入についての懸念を明かしたこともあった。

「子どもたちに本を読んであげることはとても大切なことです。私も、息子が幼いころから毎晩読み聞かせをしてきました。寝る前の少しの時間ですが、本を読んだり、子どもと話をするなど、充実した時間を過ごすことはとても重要です。息子もこの時間がとても気に入っていたので、私たちはよく本を買いに行ったものです。だから家にはたくさん本があったにもかかわらず、不思議なことに彼は毎晩同じ本を手に取っていました。本を読むことは単に本を『読む』だけではなく、想像力を掻き立てる行為。だからデジタルのおもちゃを買うよりも、はるかに有益なことだと私は思うのです」

実際、学校教育の現場でいち早くデジタル化を図ったフィンランドでは、導入以降顕著に現れた子どもの学力低下との因果関係を疑ったことから、2024年より“脱デジタル化”が進んでおり、クルコヴァが指摘した早期デジタル教育導入の是非は、今後フィンランド以外でもますます問われる可能性が高まっている。

「モデルは外見の美しさではなく、それ以上に人を惹きつける何かを持つことが重要」

2024年5月、amfAR Gala Cannes 30th Editionに出席。Photo_ Cindy Ord / amFAR / Getty Images
VIP Arrivals: amfAR Gala Cannes 2024 - 30th Edition Presented By Chopard And Red Sea International Film Festival2024年5月、amfAR Gala Cannes 30th Editionに出席。Photo: Cindy Ord / amFAR / Getty Images

一方で、2018年に子ども向けのライフスタイルウェルネスブランド「Gryph & IvyRose」を共同設立し、起業家としても始動したクルコヴァは、よりホリスティックで機能重視のスキンケアラインを展開するため、医療従事者や子どもたちの協力を得て最高の製品を開発したという。

「スキンケア製品ひとつにしても、親は子どもたちがより健康になるための選択をしなければなりません。私が育ったチェコでは、祖母も私が幼いころによく自然療法に頼って健康を維持していました。それが、今回のブランドの製品開発のインスピレーションとなったのです」

生まれ育ったチェコを飛び出し、スーパーモデルとして世界で活躍するようになってから、故郷で培った人生哲学を胸にさまざまな活動に勤しんできたクルコヴァ。「モデルは外見の美しさではなく、それ以上に人を惹きつける何かを持つことが重要」と常に公言してきた彼女は、自身の活動の哲学についてこんなふうに語っている。

「私は、チェコ共和国の小さな街の出身です。この街で一生を終える人も多いのですが、ここを出て世界で活躍する機会に恵まれた私には、何か別の使命があるのではないかと思っていました。私はこれまで、素晴らしいものや人と触れ合い、世界を見てきました。だからこそ、私がこれまで得た”祝福”を、独り占めせず、他人と分かち合うことが重要だと思うのです」

Text: Masami Yokoyama Editor: Mina Oba

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