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【ネタバレ】映画『ショウタイムセブン』犯人と折本の本当の目的とは。緊迫感あふれるリアルタイムサスペンス映画。報道やニュースに対する視聴者の姿勢を皮肉る

  • 2025.2.8

阿部寛が主演を務めるリアルタイム型のサスペンス映画『ショウタイムセブン』。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の渡辺一貴が監督を務め、2013年公開の韓国映画『テロ、ライブ』を原作に、オリジナル展開を交えながら、極限まで引き上げられた緊迫感と共に進行するノンストップサスペンスだ。テレビの生放送中に、爆弾犯との命懸けの交渉を行うキャスターの姿が描かれる。

『ショウタイムセブン』あらすじ

午後7時から生放送のワイドショー「ショウタイム7」の放送が開始。その頃、「ショウタイム7」の元キャスター・折本眞之輔(阿部寛)は、左遷されたラジオ局でラジオ番組の放送中だった。ラジオの放送中にリスナーから1本の電話がかかる。それは爆弾犯からの犯行予告だった。真面目に受け取らない折本だったが、その直後火力発電所で本当に爆発が発生。まだどこかに爆弾を仕掛けているという犯人は、交渉人として折本を指名する。折本は、「ショウタイム7」のスタジオに乗り込み、犯人との交渉をリアルタイムで放送することに。自身の発言が自分と周りの生死を分ける極限状態に追い込まれていく。

次々に明らかになる真実

折本が犯人との交渉を進めるうちに、政府の闇が徐々に明らかになっていく。犯人の父親が巻き込まれた事故を、現・総理大臣が過去に隠蔽したこと。それが許せない犯人は、スタジオに電力会社の社長や総理大臣を呼び出すように命じる。折本は、総理大臣を呼び出すために電話をするも、適当に受け流されてしまう。テレビ局の局員たちは内心、総理大臣を呼び出すのは不可能だと感じながらも、犯人をごまかし、時間を引き伸ばしていく。

火力発電所が爆発しようと、テレビ局員たちが人質になろうと、政府は動かない。一般人がどうなろうと、犯人にどんな恨みがあろうと関係ないという感情が滲む。

犯人が明かす事情などから徐々に犯人の正体が見えてくる。駆けつけた警察によって、犯人が“シゲフジ”という名前であることが明らかになる。シゲフジの恩師だという人物・城がスタジオに現れ、交渉をはじめるも、城はシゲフジを蔑み、煽ってしまう。キレたシゲフジは、仕掛けた爆弾を作動させ、城は倒れてしまう。

スタジオ内がばたつくなか、折本の後輩キャスター・安積(竜星涼)は、シゲフジからの電話を受け、折本に関する暴露を聞いていた。折本は、鷺沼製薬が作ったアブシルという薬の副作用被害のニュースを、2000万円をもらうことで隠蔽していた疑惑があることが明らかになる。折本は否定するが、シゲフジも安積もそれを信じない。

そんな時、爆発現場となった火力発電所近くで動きが。シゲフジが潜伏していたとされるマンションの一室に潜入するが、そこにシゲフジの姿はない。そして、スタジオに仕掛けられた爆弾のカウントダウンが一際大きくなる。スタジオごと爆発させられると感じ、誰しも逃げ出すが、折本だけは逃げ出さない。折本は犯人の目的が分かっていたのだ。

犯人の目的は?

がらんとしたスタジオに、シゲフジが現れる。犯人の目的は人を殺すことではなかった。彼の狙いは折本だったのだ。シゲフジは、電力会社社長よりも、総理大臣よりも、誰よりも折本を恨んでいた。

シゲフジは、折本に本当のことを話せと迫る。折本は、アブシル薬害のニュースで、2000万円の大金を受け取ってはいないと否定。賄賂のニュースを、何者かに捏造されたことで、「ショウタイム7」を降板させられたことを告げる。

しかし、折本にはさらに秘密があった。折本は、「ショウタイム7」のキャスターになる前に、シゲフジの父親が巻き込まれた事故について家族に取材をしていたのだ。火力発電所と政府の癒着なども含めてスクープしようとした矢先、テレビ局から止められてしまう。テレビ局も、火力発電所と政府との関係性を悪くしたくないがために、折本のニュースを止めたのだ。折本は、スクープしない代わりに「ショウタイム7」のメインキャスターの座を与えられたのだった。

シゲフジは、父の事故について取材していた折本が、事故の真相を暴くことを期待していた。しかし、それは裏切られた。それなのに、「ショウタイム7」のキャスターになった折本は、民衆の味方として持て囃されている。シゲフジはそれが許せず、折本にすべてを暴露させるために、この事件を企てたのだった。

折本はなぜ犯人の要求に乗った?

折本は、犯人との交渉を成功させれば、「ショウタイム7」のキャスターに返り咲けると考え、それが狙いで犯人の要求に乗っていた。しかし、犯人がシゲフジであることが分かった段階で、折本にすべてを暴露させることが狙いであると勘づいていたのだ。折本は最後に、贖罪の機会をくれてありがとうと、シゲフジへ礼を述べる。

すべての告白を終えた折本は、「2時間最高に楽しかった」「興奮した」と高揚する。折本は、自分のキャスターキャリアがどうなろうと、テレビ局の立場がどうなろうと関係ない。ただ、前代未聞のワイドショー番組を作るのが楽しくて仕方がなかったのだ。極限の緊迫状態を乗り越えた末に、そんな言葉が出てくる折本には恐怖すら感じる。

シゲフジは、そんな異常性を見せる折本に向けて爆弾を蹴り、折本は爆弾を握る。最後に視聴者投票を行う折本。折本は生きるべきか死ぬべきかという投票の結果は映し出されないまま、カメラはニュースを見る視聴者たちに切り替わる。

火力発電所の爆発、2時間に渡る犯人とのリアルタイム交渉とテレビ局員たちが人質に撮られた一連の事件。前代未聞の事件が起きていようと、一般市民には関係ない。何が起きようと市民は生活を続けている。そんなおり、「ロンドンの地下鉄で同時多発テロ」が発生し、ニュース速報が入る。凶悪な事件がさらに凶悪な事件に飲み込まれる。もっと新しいもの、もっと注目されるもの、もっと凶悪なものが求められるのだ。一つ一つの事件には、一人ひとりの人生が脅かされるほど、重大なことが起きているのに。

そして、テレビ局での重大事件、ロンドンでの同時多発テロが起きようと、歌番組などの娯楽番組が放送される。どんな事件が起きようと、結局は自分に起きなければ他人事なのだ。自分が困っていなければ、余裕の心持ちで娯楽番組が観れてしまう。この歌番組が映画のエンディングとして、エンドロールに繋がっていく。『ショウタイムセブン』は、最後の最後まで、テーマを伝えてくれる作品だ。一瞬たりとも見逃さないでほしい。

(c)2025『ショウタイムセブン』製作委員会

※2025年2月7日現在の情報です。

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