すべての人には、「実年齢」と「生物学的年齢」がある。実年齢は生まれてから経過した年数を指し、生物学的年齢は複数のバイオマーカーによって示される、その人の“実質的な”身体的な老化の程度を表すもの。
もちろん、実年齢を変えることはできないが、生物学的年齢を変えることはできるのかもしれない。そのことを示唆する研究結果が増え続けるなか、オンライン・ジャーナル『ネイチャー・エイジング』に先ごろ、新たな論文が発表された。
では、具体的にどのようなことが明らかになったのだろうか。また、報告された結果を神経科医はどのように見ているのだろうか――?
生物学的年齢とは?
イリノイ州シカゴにある医療機関、ノースウェスタン・メディシンはウェブサイトで、生物学的年齢は「細胞の年齢」だと説明している。その老化の程度は、血液バイオマーカーと遺伝子検査、生理学的検査を組み合わせて行うことなどによって、測定することができる。
明らかになったことは?
発表された論文は、ヨーロッパの5カ国(7都市)に居住する70歳以上の高齢者2157人が参加した、大規模なランダム化比較臨床試験「DO-HEALTH」の結果をまとめたもの。3年間のビタミンDとオメガ3脂肪酸の摂取と、自宅での運動が与える影響を調べるため、要因臨床試験の結果に関する777人のデータを分析した。
複数のバイオマーカーについて調べたところ、一日1グラムのオメガ3脂肪酸を摂取していた人は、生物学的な老化の進行が最長で4カ月遅くなっていたという。また、同量のオメガ3脂肪酸に加えて一日2000IUのビタミンDを摂取し、同時に30分間の筋力トレーニングを週に3回行っていた人は、さらに進行が減速していた。
そのほか、日常生活にこれら3つの要因がそろっていた人は、がんの発症リスクが低下し、フレイル(加齢による心身の衰え)も予防されていたという。
オメガ3脂肪酸は寿命を延ばす?
この論文で示されたのは、1件の研究の結果であり、ここから最終的な結論を導き出すことは難しい。だが研究チームによると、結果は確かに「オメガ3脂肪酸の摂取が生物学的老化を遅らせる可能性がある」ことを示唆しているという。
いっぽう、カリフォルニア州サンタモニカにあるプロビデンス・セント・ジョンズ・ヘルスセンターの医師(神経科)、クリフォード・シジル氏によると、医師らはこれまで主にコレステロール値のコントロールを目的として、オメガ3脂肪酸の摂取を推奨してきたとのこと。
コレステロール値は年齢とともに高くなるものだが、上昇は心血管疾患の合併症の多くと関連している。そのため、抑制することができれば、寿命を延ばすことにつながる可能性があるという。
ビタミンDと運動の影響は?
ビタミンDは、骨密度を高めることに役立つと考えられており、特にカルシウムと組み合わせると、より効果的だとされている。併せて運動もするようにすれば、骨の健康度をさらに引き上げることができるそう。
シジル氏は、運動は骨がもろくなることを防ぎ、関節の動きを潤滑にし、筋肉量の維持を助けるとして、「これらのすべてを取り入れることが、生物学的老化を遅らせることに役立つでしょう」と述べている。
他にも老化を遅らせる方法はある?
健康的に年齢を重ねていくためにできることは、ほかにもいくつかある。すでに専門家たちが明らかにしているのは、以下のようなことだ。
・毎日30分歩くこと
・定期的に診察を受けること
・社会的交流を保つこと
・食生活を自然食品中心にすること
・規則正しい睡眠をとること
より多くのオメガ3脂肪酸を食生活に取り入れるためには、脂肪分の多い魚を週に2回食べるようにするのがいいとされている。ヴィーガンや魚が苦手な人には、フィッシュオイルのサプリメントをとることがすすめられている。
ただし、新たにサプリメントをとり始めるときには、まずは医師などの専門家に相談することが重要。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
From Women’s Health US